2000年11月30日(木)「しんぶん赤旗」
日本共産党の志位和夫委員長は二十九日放映のCS放送朝日ニュースターの番組「各党はいま」に出演し、第二十二回党大会の結果について、また、党のめざす今後の展望、党の運営の問題などについて質問に答えました。聞き手は小林暉昌朝日新聞政治部編集委員でした。(収録は二十八日)
小林 共産党は、先日の党大会で、「前衛政党」といった表現を削るなど、党規約の抜本改正をし、また、新委員長に志位和夫書記局長を選出し、新世紀に向けての新体制を固めました。今日は、新委員長になった志位和夫さんに、新しい党がどうなるのか、また、連合政府をどう展望しているのかについて、お聞きしたいと思います。志位さん、今日はよろしくお願いします。
志位 よろしくお願いします。
小林 どうも、新委員長、就任おめでとうございます。まず、端的に、新委員長になって、党がどう変わるのか、このへんのところを端的に、抱負をのべていただきたいと思うんですが。
志位 抱負ということでいいますと、今度の大会で二十一世紀の早い時期に民主連合政府をつくると(小林「はい」)、いう目標を、あらためて確認し、そのために、なにが必要なのか、政治路線と政策、組織のあり方、規約の改定など、全面的にその方向を明らかにしました。
ですから、長期的な展望にたって、政権をめざすために必要な手立てを、一つひとつ打っていくというとりくみを、しっかりとやりたいというのが一つです。
それから同時に、目の前に迫った政治戦ということになりますと、総選挙あるいは参院選挙ということになりますから、この関門を、必ず前向きに突破して、前回は残念な後退でしたけれども、今度は、前進に転ずるという仕事を、全力をあげてやりたいと思っています。
小林 それぞれの課題については後でそれぞれお聞きしますが、まず、執行部体制についてお聞きしたいんですが、外から見てると、ずいぶん若返ったなと、新委員長も含めてですね、これはどのへんにねらいがあるんですか。
志位 これは、二十一世紀を展望して、長期にわたって働ける指導の集団をつくるということを、相談してきたことなんです。今度の常任幹部会委員は二十名いるんですけれども、そのうち五名が四十代、七名が五十代で、平均年齢五十七歳なんですけれども、常任幹部会という制度が発足して以来、いちばん平均年齢が若いんです(小林「はい」)。二十一世紀ということを展望して、先々までの指導のグループ、集団をつくるということで、みんなで相談してこういう体制になったんです。
小林 注目はトップの人事なんですけども、不破さんの党大会の最後の記者会見など聞いてますと、党は不破さんがまだやるような感じで、国政の方は志位さんに全面的にまかせるという、見ようによっては二頭立て、しかし、党の方が優位という見方からすると、不破院政が残るのかなという見方をしている人もいますが(笑い)、そのへんはいかがなんですか。
志位 私たちは、党のなかにいっさい序列はつけないという考えなんです(小林「はい」)。これは、指導部間でも序列はないですし、それから中央委員会と、たとえば都道府県委員会、地区委員会、そして支部のみなさんの間にも、いっさい上下関係はない。今度の規約でも、「上級」「下級」という言葉は極力なくしたんですね。つまり、日本共産党員として、機能や役割の分担はしているけれども、負っている仕事はみんな尊いわけですから、そういう点では、みんな平等なんですね。
ですから、指導部の間も、なにか序列があるということじゃなくて、国政における党を代表した仕事などは、私が担ってやりますが、議長の不破さんは、議長として党の代表者の一人として、全般にわたっての役割を果たすと。市田さんは、書記局長として、党を代表するいろんな仕事をやるというそれぞれの役割を、それぞれ自然体でやっていこうということなんですよ。
小林 例えば、党務と政務がわかれるというと、自民党なんかの場合は総理と総裁がわかれて分担するなんていう…。
志位 党務と政務を分けたという考えじゃないんですね。これは。
小林 そうすると、二頭立て、ないし三頭立てトロイカなんて言っている人もいますけれども、それは現実、三者並走という感じになるんですか。
志位 「トロイカ」という表現も、あんまり適切な表現じゃなくて、私たちの党の場合、「なになに体制」みたいな、つまり個人の名前と結びついた「なになに体制」というのは、個人の名前が二人になってもあるいは三人になっても、なにか個人の名前と結びついた「体制」という考え方はとらないんです。すべて集団の力で、集団の指導でやっていくと。日常の指導は、二十名の常任幹部会委員がそれぞれ自由かっ達に討論して決めていくということです。三人だけでなにか特別に引っ張っていくというわけでもないんです。これは、(中央委員会のなかでの)役割分担なんです。
小林 結局、だけど、リーダーは委員長なんでしょう。
志位 国政において、党を代表する仕事は、委員長の仕事だということで確認しています。ですから、たとえば党首討論とか党首会談などは私の仕事になってくるということになります。
小林 問題は、実際に政治路線がどういうふうに発展していくのかということが注目されるところなんですけども、不破さんの場合、かなり、ソフトイメージをそうとう広げて、共産党の、なんというんですか、ある意味では広がりを見せたところがあったと思うんですが、さらにそれを加速させるんですか。それとも、かなり慎重になるんでしょうか。記者会見では、柔軟頑固路線とかいう(笑い)言葉も出ていましたけれども(笑い)。どっちへいくんでしょう。
志位 これはね、自然体でこの間もやってきて、私たちは、自分で自分たちの路線を、“柔軟路線”といったことはないんですよ。柔軟あるいは現実的に見えてきたというのは、おそらく、いまの日本の政治が求めるものと、私たちの路線がかなりフィットしてきたというか、合致してきたということが映っていると思うんですよ。
ですから、そういう意味では、いまの日本の政治や社会が提起するいろいろな新しい問題は、財政にしろ、経済にしろ、外交にしろたくさんありますが、あらゆる問題について、私たちが責任を持って、柔軟で現実的な処方策をもって、国民のみなさんに「なるほどこういうことだったら共産党に政権をまかしても安心だ」と思っていただけるような方策を持つことは、私たちは今後もどんどんやります。
同時に、そのなかで、われわれの大きな路線、理想、これはある意味では、頑固に貫くという立場を、とっていくつもりなのです。つまり、自民党政治をおおもとから打ち破っていく、そしてこれにかわる新しい政治をおこしていく、たとえば日米安保条約といった問題についても、未来永劫(えいごう)、軍事同盟があって、基地があるという状況を、当たり前というふうにしないで、かならずなくしていくという展望をもって、これにのぞんでいくという、こういう大きな私たちの路線、これはしっかり貫くという点で、これは統一したものなのだということをいっているんです。
小林 とくに規約でも国民政党という位置付けが前にでてきてますけど、志位さんとして党のカラーをださなくてはいけないと思うんですが、これを機会になにか思いきって、こんなことをやるというのはないんですか。
志位 これも、今度の規約改定でしめした党のあり方として、民主集中制という考え方はしっかり堅持していくというのは、今度の規約改定でも明りょうです。つまり、これは、方針を決めるときには、みんなで民主的に討論を尽くす、決まった方針は実行していくという当たり前のことなんですが、これはしっかり貫く。
同時に、こんどの規約改定では、いろいろと新しい時代の要請にこたえ、党の発展段階に即した党のあり方の発展もあるんですよ。たとえば地方の“自治権”ということが明記されたんですね。つまり、地方の問題については、地方の党機関が、“自治権”を行使して自分で決めていくということを規約にはっきり書きました。
それから、さっきもいったのですが、「上級」「下級」という言葉は、極力なくしたんですよ。党組織と党組織の間には、上下関係があるのではない。役割と機能の分担はあるけれども、どちらが上でどちらが下という関係は、党全体としてないという考え方も盛り込みました。
ですから、大きなところでは、民主集中制という組織原則を貫きながら、いまの時代の要請、党と国民との関係、党の発展段階に即したずいぶん新しい発展も、こんどの規約の改定には、盛り込まれているんです。
そういう不断の自己改革の努力というものを、私たちもしていかないといけないということは、大いに心がけていきたいと思っています。
小林 地道な努力を積み重ねていくということなんでしょうけれども、たとえば、世間をあっといわせるような、共産党のイメージだと、たとえば政党助成金を受け取らないというようなのを、もう一転して、もらって、それを科学的社会主義の研究所をつくるとか、インターネット時代に対応して、発信装置をがっとつくるとか、なにか思いきった展開みたいなのはないんですか。(笑い)
志位 政党助成金の問題は、共産党がもらわない分を、ほかの党にいっちゃうのはくやしいので、もらって福祉に使ったらとかというご意見もあるんですが、やはり制度自体が、国民の税金の分け取りという憲法違反の問題点をもっているのとあわせて、もらうことによる政治の腐敗という問題があるのです。政党が腐っていく。実際、そういう汚職事件もでていますよね。ですから、これは頑固にもらわないという立場を貫いて、そして、制度そのものをなくすということを、一刻も早く国民のみなさんと一緒にやりたいと思っています。
小林 あっというようなところでは(笑い)…。
志位 この問題ではない(笑い)。私たちはそういうつもりなんです。
小林 党活動のことで、最後にお聞きしたいのは、五年後に五十万党員という目標を掲げていますけれども(志位「はい」)、かつては七十万が目標だったようですけれども、それからみるとかなり厳しいなという感じがしますが、これはどう達成されますか。
志位 これは、私たちはこんどの大会でもずいぶん自己分析的な解明をやったのです。一時、党員の数が三十六万人まで減った時期があるのです。これは、ソ連の党が崩れたりしたもとで反共の逆風の影響もあったんですけれども、主体的とりくみとして、党員の拡大ということを弱める弱点もあったと。この点はきちんとはっきりさせて、やはり党を支えるいちばんの根幹は、一人ひとりの党員のみなさんの自覚的な活動ですから、党員を増やすということを、うんと党の活動の柱に位置付けて、これは五年がかりの計画ですけれども、五十万の党をかならず今度はつくろうということを決めました。
このように私たちの方針の問題点もよく分析しながら、新しい方向を定めて、そして、大会に向けて「大運動」というのをやりまして、だいたい七月からですから、四カ月ぐらいですけれども、一万一千数百人の新しい同志をむかえました。若い方もかなり入ってきました。だいたい四カ月で一万人ですから、このペースで、ずっと発展させていけば、五十万という党をつくることは夢じゃない。
いまの力がだいたい三十八万数千人というところですから、これが五十万というところまで到達した場合には、いろんな意味で、質的に違った仕事ができるようになる。国民の要求をとらえた活動でも、あるいは選挙運動でも、あるいはさまざまな自治体の運動でも、まったく違った新しい活力が党にみなぎると思うので、ぜひこの仕事はやりぬきたいですね。
小林 今度はちょっと綱領や規約の話に入りたいんですが、綱領はいよいよ改定が日程にあがってきた。これはいつごろまでにやるんでしょうか。
志位 綱領の見直しの仕事については、きのう(二十七日)の常任幹部会で、次期定期党大会の課題になるだろうと(小林「はい」)。そういうことを確認しました。(小林「すると二年後ぐらいまでにはできるということですか」)二年ないし三年後ということになると思います。じっくりとその間、研究が必要だと思っています。
小林 中身の問題なんですが、考え方自身は「かわらない、かわらない」といってますけれど、表現などをわかりやすくかえることによって、本質もかわっていくということもかなりあるんじゃないですか。
志位 基本の路線については、私たちはいまの綱領の路線に自信をもっているんですよ。たとえばいちばん大きな柱の一つとして、日米安保条約をなくして、独立・中立の日本をつくるという柱があるんですけれども、アジアの流れをみましたら、ASEAN(東南アジア諸国連合)をみましても、圧倒的に非同盟・中立ですよ。そして朝鮮半島にもああいう平和の激動が起こって、南北首脳会談がおこなわれる。アジアをみますと、圧倒的に平和の流れがおこっているわけですから、もう軍事同盟というのは、アジアの流れからみたら、ほんとうに時代錯誤の遺物みたいになってきているわけですね。
ですから、たとえば軍事同盟をなくした独立・中立の日本をつくるという展望も、これは私たち、二十一世紀にますます輝いてくる展望になると思っていますし、綱領の基本的な路線については、私たちは大いに自信をもっているんです。
ただ、綱領がつくられた原型は、一九六一年の第八回党大会にあるんですけれども、このときは綱領論争というのが当時ずっとあって、いろんな議論がされる過程のなかで、全党の合意がかちとられて、ああいう綱領にいくんですね。つまり、内部的な意思統一という色合いが強くて、国民にむけたメッセージ、宣言ということはあまり念頭になかっただろうというような時代のものなんです。
そういう点でいいますと国民のみなさんがあれを読んで、共産党の路線はこうだとすぐわかっていただけるという点では、ちょっと難しい、分かりづらいという問題をかかえているのは事実なので、これをどう国民のみなさんにわかりやすいものにするかというのは、なかなか大きな仕事だと思っているんです。
これは口でいうのは簡単なんですけど(笑い)、なかなか言葉一つとりましても、社会科学的な厳密さと、わかりやすさというのをどう結合するかというのは、どこをとってもなかなか難しい仕事なんで、じっくりよく吟味しながらやっていきたいというように思っています。
小林 たとえばアメリカ帝国主義とか日本独占資本とか、われわれは安保世代なものですから、非常にまだじっくりわかるんですが、いまの人たちでいうとああいう表現自身もなんかよくわからなくなっているんじゃないかという気がするんですが、そのへんはそういう表現も変わるということなんですか。
志位 帝国主義という概念は、これは社会科学的な概念として、非常に深くて包括的な内容をもっていますから、この四文字でいろんなことを表現できる概念なんですよね。これも一つの研究課題ですね。
小林 あと関心のあるのはとくに二段階、民主主義革命から社会主義的変革へという道筋で、いまさかんに日本改革論のなかで、共産党の人たちは、第二段階にすすむのは、みなさんの国民的合意があってからすすむんですよということで、経営者なんかとの懇談でもさかんにそれをいわれてますよね。そうすると前段の民主主義、資本主義のなかでの民主主義の改革、革命ということであれば、それをずっと強調するのであれば、あえて、あまり共産主義ですとか社会主義とかいうのをうたわなくてもいいのかなと、むしろ社民主義でいくんだといった方が、日本のいまの政治勢力のなかで、むしろいいポジションがおさめられるんじゃないかという感じがするんですけれども、そのへんは影響しないんですか。
志位 やっぱり政党というのは、現在に責任を負うとともに、未来のこともきちんと展望を明らかにする、その責任を果たす必要があると私たちは考えています。ですから、現在、おっしゃられたように、資本主義の枠内での民主的改革をすすめる、この点での国民の多数の大同団結をかちとりながら、この仕事をやりとげていくというのが当面する課題なんですけれども、それで人類の歴史は終わりかといったら、われわれはそう考えてないんです。
資本主義で人類の歴史を閉じ込めてしまうようなそういう歴史観に私たちは立っていない。いま世界を広くみますと、失業の問題一つとっても、失業者の数は人類史上最悪ですよ。それから環境破壊の問題、あるいは南北格差の問題、資源の浪費の問題、あらゆる点で矛盾がでている。いまの資本主義という制度が未来永劫つづくだろうという立場にはわれわれは立たない。やはりこれはいずれは、資本主義自身がもっている矛盾が原動力になって、つぎの新しい社会に発展することになるという展望を、われわれは持っていますから、この展望は、堂々と未来の展望として明らかにするという責任が、政党としてあるんじゃないでしょうか。
小林 規約と綱領の問題で一つ、さきほど民主集中制の話がでたんですが、わかりやすい言葉にするというと、民主集中制というのはわかりづらいんじゃないかなと。われわれはイメージとして常に上意下達とか、志位さんがさきほど強調されているように、地方の自治権を認めるとか、よくいわれている「支部が主役」というこの用語からすると、なんかちょっとイメージに合わないなという、外からみると印象があるんですが、いかがですか。
志位 民主集中制という言葉自体は、民主主義という問題と、集中というのは行動の統一ということですから、この言葉自体から誤解を受ける余地はないと思うんですよ。よく中身を説明していけば。
これは、さきほどもいいましたけど、方針を決めるときによく討議をする。こんどの大会の場合でも、二カ月にわたる全党討論をやって、そして、でた意見を全部ふまえて、中央委員会報告をやって、もちろん大会での討議をやって、修正をやって、決議案を仕上げていくわけですけれども、これだけの作業をやるというのは、本当に民主主義の徹底した党ですよ。
そういう民主主義の徹底と、決まったことをみんなで実行するということ、これをあらわす言葉として、誤解を受ける要素がないと思うんです。
「前衛党」という言葉は、その中身は将来をきちんと見とおして、不屈にがんばるという意味なんですけれども、どうも「前衛」があると「後衛」があって、共産党が国民を指導しているというような誤解を受ける余地があるんで、これは言葉としてとった方がいいだろうとことになったんですけれども、民主集中制という言葉は、民主主義ということと行動の統一ということをあらわす言葉として適切な言葉だと思うんですよ。
小林 今度は話をすすめて民主連合政府の展望なんですが、いったいいつごろを具体的に想定しているんですか。
志位 これはまだ、具体的に日程表が、いついつと、五年後十年後というところまでは熟してないですね。私たちは、二十一世紀の早い時期といっておりまして、この早い時期がどれだけ早いかというのは、われわれの主体的な努力にもよりますし、情勢の客観的展開にもよりますし、いろんな要素によって、これはだいぶ幅があります。われわれとしてはできるだけ早い時期に実現したいと思います。
小林 いまの情勢では、野党で連立を組むという形のものが想定されるんですが、いま民主党なんかよくいっているのが綱領を変えなきゃとか、党名を変えなきゃとかいっているんですが、ひとつ端的な例をいえば、党名の変更の話なんですが、例えばこのあいだの党員の意見集をみますと、「共産党」という言葉はいやだという人も出てますよね。スターリンとか毛沢東のイメージが焼きつきすぎているんじゃないかとか、そんな声を聞くと、一方で規約で「日本共産党」と明記しているんですが、規約で決めるんだったら意外と簡単に変えられるんじゃないかなんていう説も(笑い)あるようですけれども、そのへんはどうなんですか。
志位 先ほどいったように、政党というのは現在の問題に責任を負うとともに、未来の終局的な、目指すべきものにも責任をもって明らかにするということが大事だというのが私たちの考えで、私たちの党名には、われわれの目指す未来社会の終局的な目標が刻まれているんですよ。
われわれは社会主義、共産主義の社会ということを展望しているんですが、このもつ特徴は、規約の第二条に党の性格規定があるんですが、そこにもはっきり、具体的な内容としてのべているのですけれども、一つは人間による人間の搾取のない社会、二つ目はあらゆる抑圧や戦争のない社会、三つ目は本当に自由で平等な人間社会。こういう社会が、われわれが理想とする社会であって、これは決して願望ではなくて、資本主義自体のもっている矛盾によってそういう社会の発展が開かれる。人類史的にはそういう条件が二十一世紀には、世界的規模で熟するときがくるだろうというのが、われわれの大きな展望なのです。
だから、日本共産党という名前は、ロマンチックな、人類史的名前だというふうに私たちは考えていまして、大いにロマンある雄大な名前として大事に使っていきたいと思っています。
小林 聞きたいことはいっぱいあるんですが、志位さんはおそらくこの番組でレギュラー出演していただけるんじゃないかと、そういう意味で個人的な「志位像」をお聞きしたいんですが(笑い)、まず入党したときの動機というのはどういうことだったんですか。
志位 私は父も母も共産党員なので、育った環境ということでいいますと、党に近い空気を吸って育ったんですが、直接のきっかけは、大学に入って、ちょうど田中角栄内閣のときだったんですが、小選挙区制が国会に出てくるという情勢があったんです。そのときにかなりキャンパスでも大議論、大運動が起こりまして、ストライキをうって、国会までだいたい七百名ぐらいだったかな、東大駒場からデモでいきました。そういう運動を通じて、やっぱり一番の民主主義の守り手が共産党だと、そこで輝いている姿がありましたから、それにひかれて、そういう運動の中で古典を読んだり、党の文献を読んだりしながら、入党をする決意をしました。大学一年生のときです。
小林 個人的データをいろいろみていますと、非常におっと思うのは、たとえばクラシック音楽が好きだとか、ピアノもひかれるんでしょ。そのへんは(笑い)、確か連弾をしている写真を見たことがありますけれども…。
志位 ピアノはひきます。だいたい毎日一回はひくようにしていまして、最近、少し初心にかえって練習を始めているところなんです(笑い)。あとはほとんどもっぱら、聞くほうなので、ピアノの腕前はたどたどしいものなんですけれども、やっぱり音楽というのは、言語の世界とはまた違った魅力がある世界で、私の人生にとってかけがえのないものであって、一生つきあっていきたいと思っています。
小林 きょうはもっと個人的な話をもう少し聞きたかったんですけれども、いろいろ、工学部出身ですとか、おっと思うようなところがあるんですが、また政治もどんどん動いていくと思いますので、その節目節目でじっくりお話を聞きたいと思います。きょうはお忙しいなか、ありがとうございました。
志位 どうもありがとうございました。