2001年1月 6日(土)「しんぶん赤旗」

参院比例代表選挙で
日本共産党への支持をどう訴えるか

全国都道府県委員長会議での志位和夫委員長の報告

(大要)


 五日、党本部で開かれた全国都道府県委員長会議での志位和夫委員長の報告(大要)はつぎのとおりです。


 みなさん新年あけましておめでとうございます。きょうの会議の目的は、「非拘束名簿式」に改悪された参議院の比例代表選挙で、どう党の支持を訴えるかという問題にしぼって、全国の意思統一をはかることにあります。

 今度の参議院選挙にのぞむ基本的な立場としては、すでに大会決定が明らかにしているように、比例代表選挙でも選挙区選挙でも、「政党選択を土台に」という方針をつらぬくことが基本であります。すなわち、日本共産党の支持そのものの大波をつくりだす、これをあらゆるたたかいの土台におく、これが選挙戦の基本であります。

 その大波をおこすうえで、党の支持をどう訴えていくのか、訴えの中身は明りょうであります。第二十二回党大会決定が各分野にわたって深く明らかにした日本共産党の路線と政策を縦横に訴えていくというのが、その訴えの中身であります。

 同時に、どういう訴え方をするかという問題は、選挙制度の改悪という新しい条件のもとで、探求と具体化が必要な問題です。きょうは、この問題にしぼって報告をします。

党大会決定ではどういう確認をしているか

 まず、党大会決定で、この問題についてどういう確認をしているかです。

 第二十二回党大会決議は、「『非拘束名簿式』となった比例代表選挙は、日本共産党と投票してもらっても、日本共産党の候補者名で投票してもらっても、そのすべての票が日本共産党の議席獲得につながる制度である。同時に、比例区の当選順位は候補者の個人名得票数の順位できまる。この制度の特徴をよくつかんで訴えていく」とのべています。

 同時に、その訴え方については中央委員会報告で「これはたたかいの発展のなかで、おおいに自由闊達(かったつ)にとりくみながら、具体化をはかっていきたいと思います」とのべています。

 このように、制度の特徴をよくつかみながら、どういう訴えをするかという具体化は、実践のなかですすめるというのが大会の確認でした。

とりくみのなかで生まれてきた問題点について

 大会後の約一カ月余、この決定をふまえて、全国でさまざまなとりくみがおこなわれてきました。その中で問題点もうまれてきました。

 比例候補者とその地域割りを発表して以降、「政党名でも、候補者名でも、どちらでも自由闊達に、支持拡大をおこなう」ということで、運動がはじまりました。

 そういう方向での意思統一を大会前の県委員長会議でおこないました。

 しかし、とりくみが実際にはじまってみますと、いくつかの問題点が生まれていることも明りょうになりました。

 全国から報告をいただいて、検討してみましたら、つぎのような問題がうかびあがってきました。

 「候補者の紹介がとりくみの中心になってしまって、日本共産党そのものを語ることが弱まる傾向が生まれている」、こういう報告が少なくない県から寄せられました。九名の候補者は知名度はいろいろですが、全有権者の規模でよく知れわたっているという候補者がいるわけではありません。とくに新人の候補者の場合、候補者の紹介にかなりの力がさかれて、党そのものの押し出しが弱まってしまうことは起こりうることです。

 もう一つ、こういう問題点も報告されました。「党内の競争に目がいって、広く有権者に党を押し出すことが弱まっている」という報告であります。

 こんどの「非拘束名簿式」が、候補者個人の得票で当選順位が決まるという制度であることから、どうしても内向きの競争に目がいってしまう。その地域の候補者を落とすようなことがあったら、県としても責任を果たせないということで、なんとか他よりも上回るようにというような調子になってしまう。広く有権者にダイナミックに訴えるというよりも、内向きの競争で上にいけばいいということに目がいきがちだという率直な報告もありました。

 もしそういうことになったとしたら大変まずいことで、たとえ内部の競争で順位が一つ上にいったとしても、全体で票が出なくて沈んだとしたら、これは落選するわけですし、逆に内部の順位でたとえ九人中最下位の九番目であっても、九人全員が当選する得票が出れば、これは当選するわけです。内部の競争に目がいって外にうって出ていないということは本当に一掃しなければならない問題点だと痛感しました。

 もともとこの「非拘束名簿式」という選挙制度がどういう動機で導入されたかといえば、政権党が政党の名前を書いてもらう自信を失ってしまって、政党を選んでもらう選挙を回避して、候補者選挙に選挙の性格をゆがめていく、そういう党利党略からこの制度は導入されたのです。そういう制度が導入されたもとで、わが党の訴えが党大会決定の方針である「政党選択を土台に」という決定から事実上離れて、候補者中心の訴えになったとしたら、これは前進と勝利を勝ちとることはできません。

 そういう問題点が大会後の実践のなかで明りょうになってきました。

「比例代表は日本共産党へ」の訴えを基本に

 それでは比例代表選挙での支持の訴えをどのようにおこなうかということでありますが、これは、「比例代表選挙は、政党そのものを選択する選挙です。日本共産党と書いて投票してください」と訴えることを基本としたいと思います。

 もちろん有権者との対話のなかで、候補者名での投票を望む方があれば、それを歓迎するのは当然であります。しかし、訴えの基本はあくまで日本共産党への投票の訴えとするということにしたいと思います。

 まず第一に、日本共産党という名こそ、知名度抜群の名前であります。これに勝る知名度を持っている候補者は、これは全国広しといえどもありません。

 第二に、もっとも広い層に支持を広げることができるのも、党そのものへの訴えです。この間の国政選挙でいろいろな結果がありますけれども、この三回の選挙では、比例票と選挙区の票は、参議院選挙でも総選挙でもほとんど変わらない。比例の方が多い場合もあります。もっとも広い層に支持を広げることができる訴えであります。

 第三に、だれもがとりくめる訴えであります。すなわち、すべての党員のみなさん、後援会員のみなさん、だれでも日本共産党の支持を訴えることはできます。日本共産党員であれば自分自身が日本共産党の一員であるわけですから、その党にたいする自分の誇りを語り、政策を語り、支持を訴えることはだれでも党員だったらできることです。だれでもとりくめる活動ということです。

 第四に、分野別の後援会の力を全国的に縦横に発揮できる訴えであります。分野別の後援会には、労働分野、女性分野、青年分野、業者分野、さまざまな分野がありますけれども、それぞれの分野別の後援会の力を存分に発揮できる、もっともやりやすい訴えであります。

 そういうことを考えるなら、党への支持を正面から訴えてこそ、対話と支持拡大の飛躍が可能になる。ここはひとつずばりと割り切って、「比例代表では日本共産党と書いてください」ということで訴えていきたいというのが、こんどの方針の提起であります。

すべての機関と支部が得票目標をやりきる構えで

 それでは「九名の比例候補の全員の勝利をめざす」とした確認があるわけですが、これをどうやって実行するかという問題です。

 そのために、すべての党機関、党支部が、みずから決めた得票目標を文字どおりやりきる構えで、選挙勝利のためにやるべきことをやりきるということがなによりも重要となります。

 こんどの大会決定では、これまでの有権者比得票目標という考え方をあらためて、その選挙で必ず責任をもって達成すべき目標として、得票目標ということをそれぞれ自主的に決定するという方針を確認しました。この大会決定にもとづいて、各都道府県委員会が決定した得票目標を合計しますと、一千万票を超えます。ですから、これをやりきれば比例代表の九人の全員の勝利をめざすということが、現実のものになってくるわけであります。こういう大きな構えでとりくむことが、何よりも大切であります。

比例候補者の地域割りをどう位置づけるか

 最後に、そうしますと九名の比例候補者の地域割りという問題を、どう位置づけるかという問題が出てきます。それについては次のような二つの位置づけをしていきたいと思います。

 第一の位置づけは、地域割りというのは、それぞれの比例候補者の活動地域の分担とするということであります。つまり、それぞれの候補者が、日常的にそれぞれの担当地域の有権者との結びつきを強め、支持を拡大する、その先頭に立つようにする。そういう活動地域の分担という位置づけにしたいと思います。

 第二の位置づけとして、さきほど有権者との対話のなかで候補者名での投票を望む方があればこれも歓迎だということをのべましたけれども、そういう方があればその地域を担当している候補者名での投票をお願いすることを基本とするようにしたいと思います。

 私たちの提起は、以上であります。「非拘束名簿式」というのは、本当に党略的で姑息(こそく)な政権の延命策なのですが、そのたくらみを打ち破るには、われわれも新しい選挙制度ですからいろいろな試行錯誤もあるが、それこそ全党の知恵と力を発揮して、むこうの党略を打ち破っていく必要があります。

 きのうの常任幹部会ではこの問題について突っ込んだ議論をおこないまして、こういう提起をきょう都道府県委員長会議を緊急に開いてみなさん方におこなうことを確認しました。あとはみなさんの方から意見、質問をいただいて、意思統一をはかりたいと思います。以上であります。




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