2001年2月1日(木)「しんぶん赤旗」

日本共産党国会議員団総会での志位委員長のあいさつ

(大要)


 日本共産党の志位和夫委員長が1月31日、国会内で開かれた国会議員団総会でおこなったあいさつ(大要)は、次の通りです。

党の真価光らせる奮闘で、参院選前進の大波つくろう

 通常国会の開会にあたりまして、ごあいさつを申し上げます。まず、最初に立木前副委員長が勇退をしたことにともない、大門さんが新しくわが国会議員団の仲間入りをしましたので、ご紹介いたします。(拍手)

 この国会は、二十一世紀はじめての国会です。そういう歴史的国会にふさわしく、二十一世紀の日本の政治、経済、社会のあり方を、大きな構えで問う国会にしていきたいと思います。

 同時に、この国会は、その直後に参院選挙をひかえています。国会論戦を通じて日本共産党の値打ちを光らせるわが国会議員団の奮闘と、草の根のがんばりで日本共産党への支持と共感の大波をつくる全国のみなさんの奮闘が、一つに合流して、参院選挙で立派な成績をおさめる。そのために、がんばりぬくという決意を、まず最初に固めあいたいと思います。(拍手)

 歴史的国会とのべましたが、あまり二十一世紀にふさわしくないKSD汚職と「機密費」問題という二つの腐敗事件で、いま、国民の怒りが大きく広がっています。金権腐敗政治というのは、二十一世紀に「国民が主人公」の新しい政治をおこしていくうえで、一刻も早く一掃すべき前世紀の恥ずべき遺物であります。私たちの真価を発揮した追及が必要となります。

 この問題をみますと、自民党の政治的・道義的退廃はきわまったとの感を強くするわけです。

KSD汚職―本丸・森自民党に攻め込むたたかいを

 たとえば、KSD汚職ですけれども、昨日の野党合同の集会でものべましたけれども、この汚職事件は、これまでの自民党の金権腐敗事件とは違った、新しい悪質な特徴があります。

 一つは、自民党に流れ込んだ十五億円から二十億円以上といわれる政界工作資金の原資が、不況に苦しむ中小業者のみなさんの共済掛け金であった、という問題です。いま、「しんぶん赤旗」で「KSD110番」という取り組みをやっていまして、そこにファクスやメールがたくさんおくられてくるわけですけれども、それをみますと「サギにあったくやしさだ」「共済掛け金返せ」という声がたくさんよせられています。かりにKSDから自民党に二十億円の資金がながれていたとしたら、KSDの会員さんは約百万人ですから、一人あたり二千円のお金が自民党に吸い上げられていたことになります。まさにサギ同然のひどいことがやられている。自民党も落ちるところまで落ちぶれたというような悪質さだと思います。

 いま一つは、KSDの資金によって汚染されていたのは、個々の議員だけではない、自民党が党としてまるごと汚染されていたというのが、大事な問題です。これは、いろいろなルートがありますけれども、一番太いルートは、KSDが幽霊党員をつくり党費を立て替えた十二億円以上といわれる巨額のルートです。この立て替えというやり方で、KSDの意のままに動く議員を国会に送りだし、送りだしたあとは、わいろを渡して意のままに働かせたというのが今度の事件です。

 個々の政治家の疑惑を追及していくのは当然です。小山前議員、村上議員、額賀前大臣らの疑惑糾明は当然ですけれども、それで終わらせてはいけない。自民党の党としての責任、その責任者の森首相の政治的責任、これを徹底的に糾明し、森・自民党の本丸に攻め入り、本丸を攻め落とすたたかいを、この問題では、徹底的にやっていく必要がある。この決意をかためあおうではありませんか。(拍手)

「機密費」疑惑―国民の税金の党略的流用が問題

 「機密費」の問題も、一人の不心得者の起こした個人の横領事件というものではありません。この事件を通じて、国民の税金の党略的流用という問題点が明らかになったところが重大な点であります。

 歴代の官房長官がいろいろな証言を始めました。村山内閣の官房長官の野坂浩賢氏が、ある新聞のインタビューで、「最も多い使い道は、(海外視察のさいの)せんべつだ」「せんべつを受け取る人は与野党問わない。だが、共産党は呼んでも取りに来ない」「三回ほど与野党の国対幹部に渡したことがあった。金で解決するのかと矛盾を感じたが、実際には効果があったのとなかったのとが半々だった」とのべています。たいへんリアルな証言です。

 それから、あるテレビで、宇野内閣の官房長官の塩川正十郎氏が「野党対策に使っていることは事実だ」とのべ、「総理が外遊で海外出張で行くからその費用を負担しろというのは官邸の報償費ではないから、外務省のある枠内からもってこい(といってきた)」と。つまり、いわゆる「上納」ということがやられていたと証言した。

 この二人の証言がでてきたわけですが、野坂氏、塩川氏は、ウソをいう動機はまったくないわけですから、まさにリアルな真実がここに語られていると思います。つまり、「機密費」というものを看板にして、海外視察のせんべつとか、「国会対策」とか、公金の流用が許されないところに国民の税金が使われていた。

 さらに、外務省の「機密費」が官邸の「機密費」に「上納」されていた。つまり国会の議決に反した違法な予算の操作がおこなわれていた。ここが問題であります。このやみにも深いメスをわれわれは入れていく必要があります。

 この腐敗追及では、われわれ日本共産党がおおいに先駆的役割を発揮することが求められていると思います。私たちは、企業・団体献金の禁止を主張するだけでなく、七十九年間、身をもって実行してきたただ一つの政党です。KSD資金とも、もちろん「機密費」ともいっさい無縁の党が、日本共産党です。「スネに傷」をいっさいもっていない党がわが党でありますから、その清潔な党への国民の期待は非常に強いものがあります。その期待にこたえた奮闘をおおいにすすめていこうではありませんか。(拍手)

腐敗政治への怒りと暮らし破壊の政治への怒りが結びついている

 もちろん腐敗事件の追及とともに、第二十二回党大会決定を縦横に活用して、自民党政治のゆきづまりを経済、外交、憲法、教育などあらゆる分野で告発し、国民的な対案を示していく、スケールの大きな論戦も今度の国会でおおいにとりくむ必要があります。

 たとえば、経済の問題でありますが、この間、全国いっせいにKSD汚職の問題で国民のなかに打って出たわけでありますが、その反応を見ますと、汚職事件への怒りと結びつく形でくらしに関する怒りが噴き出てくる。これが特徴でした。つまり、「景気対策ではまともなことを一切やらないでおいて、中小企業の掛け金をピンはねするなどとんでもない」というような形で、国民から怨嗟(えんさ)の声が聞こえてくるというのが特徴です。

 実際、昨年末から今年にかけての経済情勢をみますと、悪い指標がずらりと出てきました。たとえば、総務省がやっている家計調査をみますと、一九九三年から二〇〇〇年まで八年連続で個人消費がマイナスを記録しています。それから、同じ総務省の労働力調査が、昨日(三十日)でましたけれども、二〇〇〇年の年間平均の完全失業率は四・七%で戦後最悪の水準がつづいています。一月二十二日に内閣府が発表した景気動向指数では、景気の現状、景気の先行きとも、景気の悪化を示す指標が出ました。家計消費、失業と雇用、それから景気の動向、景気の全体が深刻な局面にあります。新たな後退局面に入ったという観測もあるくらい、深刻な事態になっています。

 こういうなかでこの前、森首相がスイスのダボスにいって演説をしたわけですが、“日本経済は失われた十年”だったとまるで人ごとのような(笑い)、演説をやりました。“バブルの経済が崩壊したんだからしょうがないんだ”というような演説ですけれども、経済のこの現状はまさに政治の責任です。

 この十年間、「景気対策」といえばゼネコンにお金をどんどん入れる。大銀行を税金で支援する。リストラの応援をやる。こういうやり方がゆきづまって、いよいよだめになったというのが、いまの現状だと思います。

 こういうやり方をつづけていったら、日本の経済もたちゆかないし、国民のくらしもたちゆかない。大会決定がしめしているように、家計を応援する、国民のくらしを応援する、そういう政治に切り替えてこそ、くらしも経済も財政もたちゆく道が開かれるというのが、いまの経済問題の大事な核心だと思います。

自民党政治切りかえる中身、展望もつ日本共産党の真価発揮を

 二十一世紀の日本の進路にかかわるあらゆる問題を、今度の国会では、取り上げていきたい。そして、あらゆる分野で、自民党政治を大もとから切り替える旗印、中身、展望を持っている日本共産党の値打ちを明らかにし、この党が伸びてこそ、自民党政治を打破する野党の力も強まっていくことを、内外に全面的に明らかにするたたかいをおおいに繰り広げていきたいと思います。

 他の野党との関係では、野党間にはもちろん不一致点もあります。不一致点については率直に明らかにしておおいに議論していく。同時に一致点にもとづく野党共闘は、今度の国会でもおおいに、誠実に積極的に発展させていくつもりであります。KSD汚職の共同の追求はその一つであります。

 それから、予算の問題でも政策責任者レベルで協議がやられておりますけれども、たとえば公共事業費の削減など最小限一致できる内容については四党共同の組み替え提案を出すという方向で、準備がすすんでいます。これまで、野党共闘というのは悪政に反対する「反対共闘」という内容が主だったわけですが、「政策共闘」に一歩を踏み出すというのは大事な発展方向です。この発展のために私たちは、誠実に力をつくすつもりであります。

 今度の国会は、まさに、日本共産党の真価が問われる国会になります。わが党の値打ちが本当に光るように、そして国民の期待にしっかりこたえられるように、議員団が力をあわせてがんばりぬく決意を再度固めあいまして、ごあいさつにしたいと思います。ともにがんばりましょう。(大きな拍手)




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