2001年2月15日(木)「しんぶん赤旗」

首相のゴルフ問題での無反省

退陣の理由になる

党首討論 志位委員長が感想


 「ゴルフ場にとどまってゴルフをつづけたという問題についての無反省ぶりにはあきれた」。日本共産党の志位和夫委員長は十四日の党首討論後、記者団にたいし、森喜朗首相の答弁について感想を語りました。

 志位氏は、首相が受けた第一報が原潜とぶつかり実習船が沈んで、三十五人の乗員がいて、二十五人しか安否が確認されておらず、十人は安否不明というものだったことをあげ、「こういう事態が起こったら、総理が先頭に立って直接乗り出して、対策と救援にあたるということはだれが考えても当たり前のことだが、これについて反省の一言もなかった」とのべました。

 そして、「この問題だけをとっても総理の資格はない。最後に言ったが、国民の命を預かる資格はないということで、退陣の大きな理由になる」と指摘しました。

 さらに、「政府の対応として、現地に送っている桜田外務政務官の対応がひどい。(真相究明の)第一歩の段階で、米軍のいいなりで『救助は満足だ。もう結構です』といっている」と指摘。「総理の姿勢が一事が万事で、政府全体の姿勢になっているということが、今日の質問で明りょうになった。首相の無責任ぶり、政権担当能力、その資格はないということが国民全体のなかにうきぼりになったと思う」とのべました。

 


志位委員長が紹介したハワイ紙の記事から

 ハワイ英字紙「ホノルル・アドバタイザー」(十三日付)は、「潜水艦の対応への批判高まる」の共通見出しを掲げ、「心痛む詳細が判明するにつれ、怒りがつのる」という記事を載せています。記事の要旨を紹介します。

◇   ◇

 ユージン・キャロル(退役)提督は、グリーンビルの乗員たちは、海軍の伝統と国際法からいって、また当たり前の良識からいって、二十六人の生存者たちを救助し、他の犠牲者たちを捜索する義務があった、と語った。

 弾道ミサイル積載原潜サイモン・ボリバールを指揮していたフロリダのジム・ブッシュ元艦長は、次のようにいう。「生存者たちを収容しなかったのはまったく弁解の余地がないことだ。海洋法は、このような事故に巻き込まれた場合、救助のために可能なすべてのことをおこなうべきだとのべている」

 ブッシュ元艦長は、「レスキュー・ダイバーを送り出すことができたはずだ」「ダイバーははしごをおり、手すりに命綱をつけて、生存者のほうに泳いでいけたはずだ」「乗組員が救助のためにあらゆることをやったとは、私には思えない」という。

 ホノルルの海事法弁護士、ジェイ・フリードハイム氏は、「みずから問題を引き起こした場合には、その者に明りょうな責任がある。救助するのが、まったく当たり前の良識であり、人間として当然のことであり、親切というものだ。彼らは子どもたちだ。高校生たちがおぼれているというのに、彼らは捜索もしようとしなかった」。

 カリフォルニアの海事法弁護士のジョン・ギブソン氏は「(グリーンビルの)乗組員がしたことは全く不当だ。彼らは生存者を探そうとさえもしなかった」という。

 「潜水艦がおこなった救助活動は、海の状況からして妥当なものであったと思う。また(事故を)沿岸警備隊にも報告している」と日本外務省の桜田義孝政務官はのべた。彼はキャンプ・スミスでのデニス・ブレア米太平洋軍司令官と会談。両氏は、過去半世紀にわたって築いてきた両国の同盟は依然として強力であることを確認しあった。

 


党首討論でふれた米政府高官の発言

 十四日、日本共産党の志位委員長が森首相との党首討論で触れた“原潜事故は調査中”との米政府高官の発言は次のとおり。

 パウエル国務長官 (潜水艦の乗組員が救助をおこなわなかったとの報道があるとの質問に答えて)

 それらの報道は見ましたが、私はそれについての追加的な情報はもっていません。きっと潜水艦が浮上した後、ハッチを開けて乗組員が外に出る前に、船体を安定させなければならなかったのだと思います。しかし乗組員に何ができたかについて判断を下すのは、少し待ちたいと思います。(十一日放映の米CBSテレビの「フェイス・ザ・ネーション」から)

 


 ライス大統領補佐官・国家安全保障担当 (潜水艦側が救助をおこなわなかったと批判がでているとの質問に)

 すべて疑問は調査中で、現段階で推測するのは賢明でないと思います。すごく混乱した状況だったと思いますが、いずれにしても原因を徹底的に究明します。(十二日放映のTBSテレビ「ニュース23」から)




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