2001年6月2日(土)「しんぶん赤旗」

「学力の危機」打開のため力をあわせよう

志位委員長が訴え


 日本共産党の志位和夫委員長は2日、京都・城陽市での演説で、「21世紀の日本の国民の未来の大事な問題の一つ」として子どもの「学力の危機」の打開について訴えました。

 志位氏は、各種調査でも「学校の勉強がわからない」「学校の勉強が嫌い」という子どもが多くなっていることを示し、「子どもたちのなかで『学力が危機』というべき現状が広がっている」と述べました。

 その原因として志位氏は、子どもたちを管理主義でしばりつけ、競争主義で追いたててきた長年の自民党の教育政策の行き詰まりがあることを指摘しました。

 その第一は、学習指導要領の押しつけによる「つめこみ」の教育です。小学校1年生でおぼえる文字数が1958年改定の学習指導要領では117字だったのが、来年度から実施の学習指導要領では222字と倍に増え、そのうえ授業時間が減らされている実態などを告発しました。

 第二は、「競争によって、子どもたちをふるいわけ、序列をつけることが、子どもたちを傷つけていること」です。志位氏は、98年に国連子どもの権利委員会が日本政府に、「過度の競争的な教育制度によるストレスのため、子どもが発達のゆがみにさらされている」と是正勧告を出していることも紹介。

 高校入試が競争激化をもたらし、「内申書重視」によって「入試の日常化」が起こっていることが子どもたちをさらに圧迫していると指摘。「競争主義で子どもたちを勉強に追いたてるやり方が行き詰まっていることが『学力の危機』という形であらわれている」と述べました。

 そのうえで志位氏は、「すべての子どもたちに基礎・基本がよくわかるまで教えるという学校教育の任務が果たせる改革をやろうというのが日本共産党の提案です」と説明。

(1)学習指導要領の押し付けや子どもの発達と成長を無視した詰め込み教育をやめて、国民的な討論によって基礎・基本とは何かをよく厳選して適切な形で配置し、すべての子どもがわかるまで教える学校をつくろう

(2)競争によるふるいわけでなく協力を教える学校をつくろう。高校入試選抜を改革し、全員が入れる全入制にしよう

――と二つの提案を行いました。

 志位氏は、「教育の目的を『人格の完成』と定めた教育基本法の理念を21世紀の指針とすべきであり、改悪するのはまったく間違ったやり方です」と批判しました。




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