2001年10月16日(火)「しんぶん赤旗」

戦後初めて 現実におきている戦争への自衛隊参戦の法案

憲法にかかわる重大な問題点は明りょう

徹底審議で廃案を

志位委員長が小泉首相と会談


 日本共産党の志位和夫委員長は十五日夜、小泉純一郎首相との党首会談にのぞみ、アメリカの軍事攻撃について、「テロ根絶のためには全世界の大同団結が何よりも大切であり、そのためには国連中心で制裁と“裁き”という手段をつくすことが必要だ。この道へのきりかえが重要であり、そのためにも米軍の軍事報復の中止が必要だ」と強調。日本政府もこの選択肢を真剣に検討すべきだとのべた上で、報復戦争参加法案について「わずかな審議でも、憲法にかかわる重大問題が三点明りょうになった」と指摘しました。

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小泉首相(中央右)との党首会談にのぞむ志位委員長(中央左)、市田書記局長(左端)。右端は山崎自民党幹事長=15日夜

 第一に、「テロ根絶のためとして米軍が行動すれば、白紙委任的に日本がその戦争に参加する仕組みになっている」ことです。

 志位氏は、米軍の軍事行動への協力が、地理的にも、米軍の活動内容の点でも限定がなく、事前に米軍の軍事作戦は知らされないと指摘。一例として、国際赤十字が中止を求め、対人地雷禁止条約に抵触するといわれている非人道的なクラスター爆弾をあげ、こうしたものも日本が輸送することになるとのべました。

 第二は、「武力行使と一体でないから憲法違反ではないという議論がいよいよなりたたなくなっている」ことです。

 志位氏は、国際基準では日本のおこなう活動はすべて集団的自衛権行使にあたり、NATO(北大西洋条約機構)が集団的自衛権の発動としておこなおうとしていることとほぼ同じ活動であり、憲法違反だと強調しました。

 第三は、「難民支援は自衛隊派遣の理由にならない」ということです。

 志位氏は、「難民支援は国連諸機関やNGOなどがとりくんでおり、その支援こそが重要だ。米軍の側にたって参戦している日本がおこなえば、攻撃対象とされ、逆に難民を危険にさらすことになる」と指摘しました。

 最後に志位氏は、「今度の法案は戦後初めて、現実におこなわれている戦争に自衛隊を派兵させる法案だ。ガイドライン法では、『万一の場合』が建前だったが、今度は、戦後初めて日本の軍隊が他国の人を殺し、日本国民の戦死者が出る危険のある法案だ」と警告。「これだけの問題が噴出しているのに、戦争が起きたからといってまともな審議もなしに通すことは大きな禍根を残す。徹底審議のうえ廃案にすべきだ」と主張しました。

 国連中心に告発と制裁の軌道に切り替えるべきだと迫る志位氏に対し、小泉首相は「武力行使しないと(ビンラディンが)出てこない」などとのべました。

 志位氏が重ねて「(国連の)具体的な手はずはまだとられていない。制裁もしていないし、身柄の引き渡しすら要求していないではないか」と追及すると、小泉首相らは沈黙せざるを得ませんでした。




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