2002年4月26日(金)「しんぶん赤旗」

平和と人権じゅうりんの「戦争国家法案」許すな

衆院和歌山2区補選

おくむら候補応援 志位委員長が訴え


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「おくむら規子候補の勝利で悪政への厳しい審判を」と訴える志位和夫委員長=25日、和歌山・JR海南駅前

 日本共産党の志位和夫委員長は二十五日夕、和歌山入りし、投票日(二十八日)を目前にした衆院和歌山二区補選の日本共産党のおくむら規子候補応援のためJR海南駅前で街頭演説に立ちました。有事立法が国民を罰則つきでいかに総動員するか、志位委員長の生々しい訴えに、駅前広場につめかけた仕事帰りの人や高校生など千人を超す人たちは、身じろぎもせず、真剣なまなざしで聞き入り、「平和と人権じゅうりんの戦争国家法案を許すな」との訴えに、大きな拍手と歓声でこたえました。

 志位委員長は、今度の選挙は、政権発足から一年たって、小泉内閣の正体がはっきりしたなかでの選挙だとのべ、とくに和歌山二区で出ている他の候補は、「一人は自民党公認候補」、「もう一人は自民党公認漏れの候補」だと指摘。「自民党が二つにわれた、どちらの候補でも政治は変わらない。自民党政治と正面から対決しているおくむらさんが勝ってこそ、政治を変える道が開かれる」と力説しました。

 志位氏は、選挙の選択の基準として、(1)腐敗政治をただす力をもった政党はどこか(2)国民のくらしを支える力をもった政党はどこか(3)憲法と平和を守る力をもっているのはどの党か――の三つの角度から解明しました。

 腐敗政治の問題では「二つの巨悪」である鈴木・加藤疑惑、機密費の問題と、日本共産党が果たした役割をくわしく解明し、結党以来八十年間、企業献金をびた一文受け取らず、機密費にも無縁で、なにものも恐れず追及できるこの党が大きくなることがもとめられていると訴え。「汚れきった政治をきれいにし、政治不信をなくしていくためにもおくむらさんを国会に送ってほしい」と呼びかけました。

 くらしの問題では、とりわけ医療の大改悪をストップさせようと訴え、今回の改悪は国民負担を一兆円増やし、国民のあらゆる層に犠牲をしいるものだと告発。今回の改悪だけでなく、二年後にすべてのおとしよりから保険料をとりたてる抜本改悪がされようとしているとのべ、この根底には自己負担を重くして医療の抑制をはかろうという考えがつらぬかれていると指摘。これでは国民的規模で健康悪化がすすむことになると告発し、日本共産党が提案する解決策として(1)ムダな公共事業にメスをいれ、社会保障を財政の主役にして国が医療に責任を果たすこと(2)世界一高い薬価に本格的なメスを入れること―の二点を強調。「こうしたほんとうの改革にとりくめるのは、日本共産党のおくむらさんしかいない」と訴えました。

 憲法と平和の問題では、有事立法について、「アメリカが戦争をおこしたときに、国、自治体、公共機関、そして国民を総動員する戦争国家をつくることがこの法案のねらいです」と告発しました。

 志位氏はまず、おかしてはならない国民の基本的人権がじゅうりんされ、戦争に無理やり動員される問題をあげました。法案には、戦争への「国民の協力」が義務付けられ(「武力攻撃事態法案」第八条)、「自由と権利」の制限も法律で決めれば何の制約もなくできることになっています(同第三条四項)。さらに地方自治体に首相が「指示」し、従わない場合は、首相が「直接執行」できることになっています。NHKや民放、NTTや電気、ガスなどの指定公共機関には、民間であっても首相が「指示」権を持ちます。

 志位氏は、「ある日突然、有事立法が発動され、テレビはどこをつけても首相の訓話だけが流れてくることになりかねない。言論と報道の自由も規制される道が開かれる」とのべ、「なかでもひどいのは、罰則つきで物資の保管命令が出せることだ。従わなければ懲役・罰金の脅しで、ガソリンスタンドもコンビニも米屋さんも戦争に動員されるという事態がつくられます」と指摘。「この法律は、戦争に反対する人、協力しない人を犯罪者にするものだ。こんなに明りょうな憲法違反はない。絶対に許すわけにはいかない」と力をこめました。

 さらに志位氏は、法案がいう「武力攻撃事態」とは、「武力攻撃のおそれ」や「予測される場合」にも発動されるもので、首相が「武力攻撃のおそれがある」「攻めてくるだろう」と予測しただけでも、有事法制が発動されると指摘。

 ガイドライン法でいう「周辺事態」とも重なるものだとのべ、「アメリカが海外のどこかで介入戦争をはじめ、自衛隊が参戦し、その自衛隊を支えるために国民を罰則つきで総動員する、これがこの法律の本当のねらいです」と強調しました。

 志位氏は、「八十年間反戦平和をつらぬいてきた政党として、有事立法をくいとめるためにがんばりぬくことを約束したい」とのべ、大きな拍手に包まれました。

 そして「備えあれば憂いなし」というが、危険な「備え」をつくり、「憂い」なく戦争にのりだしたことが、戦前の歴史の教訓であることを紹介しながら、「最大の備えは憲法九条ではないか」とのべ、清潔な政治、くらしを守る願い、憲法と平和への願いをおくむらさんにと呼びかけると、大きな拍手と声援がわきおこりました。

 おくむら候補は「金権腐敗政治にノー、国民に痛みを押しつける小泉『改革』ノーの審判を下そうではありませんか。命とくらしを守る願いの一票を私に託してください」と訴えました。

 男性(42)は「志位さんがいうとおり有事法制は危険なもの。共産党には憲法九条を守ることを貫いてほしい」と話していました。

 海南市の男性(76)は「整理回収機構に不動産を全部とられ会社もつぶれた。今の時代、共産党以外どこにがんばるところがある。がんばってくれ」と話していました。

【衆院和歌山2区】

 海南市、橋本市、海草郡(下津、野上、美里の各町)、那賀郡(打田、粉河、那賀、桃山、貴志川、岩出の各町)、伊都郡(かつらぎ、高野口、九度山、高野の各町、花園村)