2002年5月16日(木)「しんぶん赤旗」

沖縄復帰30周年 志位委員長が会見で談話発表

「あってはならない現実」を21世紀にはなくすために

──沖縄復帰30周年にあたって


 日本共産党の志位和夫委員長は十五日、国会内で記者会見し、沖縄復帰三十周年にあたって「『あってはならない現実』を21世紀にはなくすために」とする談話を発表しました。


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記者会見する志位委員長=15日、国会内

 一、きょう五月十五日は、沖縄が、祖国日本に復帰して三十周年の記念日にあたります。三十年前のこの日に、沖縄県民が願ったのは、“核も基地もない平和で豊かな沖縄の実現を”ということでした。

 しかし、それから三十年たったいま、県民のこの願いが、実現したとは到底いえない現実があります。

 ――いまなお全国の米軍基地の75%は沖縄に集中し、県土の11%は基地に奪われたままです。米軍基地は、絶え間のない米軍犯罪と事故、人間らしい環境の破壊など、県民の命と安全を、脅かしつづけてきました。復帰後の三十年をとっても、米軍による犯罪件数(検挙)は五千件をこえています。

 ――この基地が、縮小・撤去にむかうどころか、名護市の米軍シュワブ基地周辺に最新鋭基地を建設する動きなど、二十一世紀にわたってアメリカの世界への介入戦争の最前線基地として固定化・強化されようとしています。

 ――復帰三十年をむかえた今日も、沖縄の経済と暮らしは、全国平均二倍の失業率、全国平均の70%の県民所得など、深刻です。その根本的な原因は、基地によって、沖縄がもつ豊かな条件を生かした経済発展が阻まれてきたことにあります。

 初代公選主席の屋良朝苗氏が、復帰に先立って「沖縄にはあってはならないことがおきているのが現実」と告発した米軍基地体制は、なお県民を苦しめつづけています。半世紀以上もの長期にわたって、外国基地のこんな過酷な重圧をおしつけられている土地は、世界に他に類がないといっても過言ではありません。

 「あってはならない現実」を二十一世紀もつづけていいのか――これが復帰三十年にあたって、すべての日本国民に問われています。

 一、この三十年間、基地のない沖縄をめざす県民のたたかいには、さまざまな曲折がありましたが、この現実の打開をめざす沖縄県民の意思は、一貫しています。

 復帰三十年にあたって、沖縄タイムス紙と朝日新聞が共同で実施した世論調査では、沖縄の米軍基地の今後について、「ただちに全面撤去する」と「段階的に縮小する」と答えた県民は87%にのぼりました。名護での新基地建設など基地の県内移設には、過去の調査を上回る69%が「よくない」と回答しています。基地のない平和で豊かな沖縄をめざす「沖縄の心」は、脈々と生きています。

 日本共産党は、あの悲惨な沖縄戦への道を日本がすすんでいた時代から、天皇制がすすめた侵略戦争と暗黒政治にいのちをかけて反対をつらぬいた唯一の党として、沖縄が米軍基地の重圧から一日も早く解放されるために、広範な人々と協力を広げ、たたかいを前進させる決意を、新たにするものです。


政府主催の式典は欠席

志位委員長が表明

 十五日の記者会見で志位委員長は、十九日に政府と沖縄県が開く復帰三十周年の記念式典について「いまの政府がとっている(沖縄の米軍基地の固定化・強化をねらう)方針のもとで式典をもったとしても、沖縄の深刻な基地の現状を前向きに打開する式典にはなりえない。基地の現状を容認し、固定化していくものにならざるをえない」とのべ、党として欠席する考えを明らかにしました。