2002年6月21日(金)「しんぶん赤旗」

鈴木議員逮捕、延長国会への対応

朝日ニュースター

志位委員長が語る


 日本共産党の志位和夫委員長は十九日、CS放送「朝日ニュースター」の「各党はいま」に出演し、鈴木宗男前自民党衆院議員の逮捕問題、会期延長とその後のわが党の国会対応などについて、朝日新聞政治部・くらし編集部の梶本章記者のインタビューにこたえました。


自民党全体の腐敗体質と汚染が問われている

 このなかで志位氏は、鈴木議員逮捕という事態を受けた今後の追及点についてのべ、第一に口利き政治という自民党の体質そのものの問題をあげました。とくに政治資金規正法にのっとって届け出た政治資金がわいろと認定されたことの重要性を指摘。「政治腐敗の根源に企業献金がある。そこにメスを入れずにきたことがいまの事態をつくっている」とのべ、「私たちは企業献金自体の禁止を求めているが、それがまさに問われている。少なくとも公共事業受注企業からの献金は禁止するという法案を出しているが、これだけの疑惑国会でそこを通さなかったら国会はなにをしているかが問われる」と強調しました。

 第二に、ムネオ・マネーが自民、公明の五十八議員に流れていた問題の政治的・道義的責任の追及です。志位氏は「自民党という党が公共事業などに群がって利権を得て、『表』からも『裏』からもお金を吸い上げて、それを配る。配ることによって党内の地位をあげて総理・総裁を目指そうという党だということが明らかになった」とのべ、「自民党全体が汚染されているということが深刻に問われている」と強調しました。

 また、小泉首相が疑惑が噴出しても「本人が釈明すること」、進退が問題になっても「本人が判断すること」とのべるだけで、「自らの所属議員の腐敗にメスをいれようという姿勢がひとかけらもない」と批判。自民党の「自浄能力」のなさを指摘しました。

高薬価問題で新しい動き

 志位氏は、延長国会にどうのぞむかを問われ、四大悪法(有事法案、医療改悪法案、郵政関連法案、個人情報保護法案)のすべての廃案をめざす立場を強調。

 そのなかで、医療改悪法案にかかわって、高薬価の問題で新しい動きを紹介しました。それは、厚生労働省が六月十日に国立病院向けに出した通達です。そこでは、“新薬偏重を見なおしてもっと安い薬に切りかえるべき”だとしています。志位氏は「私たちがずっといってきた高薬価の仕組みを直せということを政府自身が部分的にせよ認めざるを得なくなった変化だ」とのべ、「国民に負担を求めることが先にありきでなく、こちらの方にメスをいれていかに負担を取り除くかという真剣な議論が必要だ」と強調しました。

今国会の異常な事態をどうみるか

 また、「四大法案が(当初の)会期末になっても成立のめどがたっていない異常な事態をどう見ているか」と問われたのにたいし、志位氏は、簡潔に四点を指摘しました。

 第一は、「法案を出した政府・与党の腐敗と不祥事が噴出したことが一つの要因だ」ということです。鈴木疑惑、加藤紘一疑惑、井上裕疑惑だけでなく、農水省のBSE(狂牛病)問題での失政、外務省の瀋陽事件などにたいする対応、防衛庁の個人情報リスト事件など、「政治も行政も頭から腐っている状態が出てきた」とのべました。

 第二に「出してきた法案も、どれもが国民の利益に沿わないものであることが明らかになった」ことです。有事法案にたいし、最初は少数だった反対派が多数派になってきたことを紹介し、「四つの法案は、すでにどれをとっても国民のなかでは反対派が多数だ」と指摘しました。

 第三に、与党の国会運営が「国会を運営するまともな司令塔もなければ見通しもない。国会運営について当事者能力がなくなっている」ことです。

 また、志位氏は、アメリカとの関係でも小泉首相が、アメリカの先制攻撃論や非核保有国への核攻撃を「選択肢の一つ」として理解すると答えていることをあげ、「ここまでアメリカの無法な戦争を理解すると表明した総理はいない。アメリカのいうことは何でも結構、財界の言い分はなんでも取り入れる。この姿勢が半世紀続いてきて、とうとう自民党がまともな国政運営能力を喪失したというところにきているのがいまの状況だ」とのべました。