2002年7月20日(土)「しんぶん赤旗」

すべての悪法を葬るために最後まで共同の輪を広げよう

7・19全国大集会での志位委員長のあいさつ(大要)


 東京・明治公園で十九日にひらかれた「医療改悪反対・有事法制許すな!7・19全国大集会」で、日本共産党の志位和夫委員長がおこなった国会情勢報告(大要)はつぎのとおりです。


 みなさん、こんばんは(「こんばんは」の声、拍手)。私は、日本共産党を代表して、心からの連帯のあいさつを申しあげるものです。(拍手)

 国会の会期は、残りが十日あまりとなりました。この間の国民のたたかいは、国会論戦とあわさって、政府・与党の悪法強行のシナリオを、大きく狂わせてきました。しかし、有事三法案についても、医療改悪法案についても、その行方は、残る十日あまりのたたかいに、かかっています。すべての悪法を葬るために、最後まで共同のたたかいを広げようではありませんか。(拍手)

有事法制――今国会での成立断念はたたかいの成果、手をゆるめず火種を残さない決着を

 小泉政権が、執念を燃やした有事三法案は、国民のたたかいによって、包囲され、追い詰められ、政府・与党も、今国会での成立は断念せざるをえなくなりました(拍手)。私は、これは、国民の理性と良識がかちとった重要な成果だと考えるものであります。(拍手)

 ふりかえってみますと、国会の途中までは、政府・与党は、しゃにむに有事法制強行の道をひたはしっていました。大きなヤマ場、そして転機となったのは、五月二十一日に、与党が法案の採決の前提となる公聴会の設定を、単独で強行するという暴挙に出たときでした。

 このときに、両手を広げてたちはだかったのが、国民のたたかいでした。与党の暴挙の三日後の五月二十四日に、この明治公園に四万人をこえる人々が集い、“有事法制強行を許すな”の断固たる声をあげました。さらに、六月十六日には、代々木公園で六万人の“有事法制は廃案に”の大集会がもたれました。

 全国ではたくさんの共闘組織がつくられ、国民の世論にも大きな変化がおこりました。多くの国民が、有事法制は、「日本が攻められた時の備え」などではなくて、海外での米軍の戦争に日本が参戦し、日本国民を強制動員するところに狙いがあると、その本質を見抜きつつあります。こうした国民の怒りの声の広がりにおされて、政府・与党も強行の方針を、変更せざるをえなくなったのであります。みなさん、国民のたたかいの力におおいに確信を持とうではありませんか。(拍手)

 しかし、たたかいの決着はついておりません。政府・与党は、次の国会での成立をはかろうと、継続審議にするなどの策謀をめぐらしています。もともと有事法制をつくることは、自衛隊をつくったときからの長年の自民党政府の野望であります。そして、いますすめられている有事法制の動きは、九九年に強行されたガイドライン法――戦争法を、「もっと効果的なものにせよ」という、アメリカの強い圧力をきっかけにして始まったものです。ですからその根はたいへんに深い。私たちも、本腰を入れたたたかいがますます大事になってきます。

 ここで手を絶対にゆるめず、きっぱりと廃案においこみ、後に火種を残さない決着をつけるために、最後までたたかいの輪を広げようではありませんか。(「よーし」の声、大きな拍手)

医療改悪法案は激しい攻防の大づめに――三つの事実にてらしても廃案にするしかない

 医療大改悪の法案は、参議院でのたたかいで、激しい攻防の大づめにあります。私は、つぎの三つの事実にてらして、この法案は廃案にするしかないということを、強く訴えたいのであります。(拍手)

 第一は、この法案は、国民世論では、すでに「廃案」の判定が下っている法案だということであります。(拍手)

 さまざまな世論調査でも、反対が約六割と多数であります。二千六百万――国民の五人に一人が反対署名に参加しました。六百もの自治体が反対の意思表示をつきつけました。そして、この十六日におこなわれた参議院の委員会での参考人質疑では、出席した六人の参考人のうち与党推薦もふくめ四人が「反対」の意思表示を明確にしめしました。与党が推薦した日本医師会の参考人は、「法案に断固反対する」と明言し、「銀行を助けるために投入した公費の何分の一かを医療に導入すればまったく問題はない。いくらでも公費で補う道は残されている」とのべました。そして、この法案に固執するならば、「これまで自民党を応援してきたけど、応援はやめる」ということも明言しました(拍手)。ここに、国民の声がはっきりとしめされているではありませんか。(拍手)

 第二に、この法案の道理のなさは、すでに明りょうだということです。

 国会質疑をつうじて、国民負担増によって医療保険の赤字の穴埋めをするというやり方は、“二重の悪循環”をつくるだけであるということが、明らかになりました。

 一つは、医療費の自己負担の引き上げが、受診抑制を深刻にし、国民の健康破壊をすすめ、それがいっそうの医療費増大につながるという“悪循環”であります。

 もう一つは、医療費の負担増が、家計に打撃をあたえ、景気をいっそう悪化させ、それが税収入の減少にも、保険料の収入の減少にもつながり、国の財政も、保険収入も、赤字がさらに拡大し、結局いっそうの国民負担増をもたらすだけだという“悪循環”であります。

 みなさん、この“二重の悪循環”の道をすすめば、国民の健康は破壊される、医療保険の土台は壊される、そして日本経済はますますがたがたになる――このことは、火をみるよりもあきらかではないでしょうか。(拍手)

 この“悪循環”を断ち切る道はあります。医師会の代表がのべたように「いくらでも公費で補う道は残されて」います。税金の使い道を、暮らしと社会保障最優先にきりかえさせようではありませんか(拍手)。そのために長野県で大問題になっているようなダムに象徴される、税金の無駄づかいを国民の力でやめさせようではありませんか(拍手)。世界一高い薬剤費、製薬大企業のぼろもうけにもメスをいれようではありませんか(拍手)。そうすれば負担増によらない解決の道は開かれる。いまからでもその道への転換をはかることを、強くもとめていこうではありませんか。(拍手)

 第三に、この法案を提出した政府・与党には、そもそも医療を語る資格がないということであります。

 宮路厚生労働副大臣が、帝京大学医学部の入試について依頼をうけ、口利きで不正入試に関与し、政治献金を受け取っていた事実が、わが党議員の追及で明るみにでました。

 国民に巨額の医療負担増をおしつける計画をつくった張本人が、将来の医師を養成する医学部の不正入試に関与し、自分は献金を懐に入れていた。しかもあきれたのは、このことがあきらかになっても、当人は「往々にしてある」ことだと悪いことをやった自覚がないことであります。この副大臣は辞任においこまれましたが、福田官房長官は、辞めた理由を「法案審議に野党が応じないから」だと責任をなすりつけ、こちらも悪いことをやったという自覚がない。副大臣も、政府も、悪いことをやっておきながら、悪いことを悪いとまったくわからなくなっているところまで、モラルがなくなっているではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

 辞めても一件落着になりません。みなさん、昔から「医は仁術」というではありませんか。人の道――まともなモラルをもちあわせていない勢力に、医療を語る資格はありません。私たちは、宮路前副大臣、帝京大学総長の参考人招致を最優先の課題として強くもとめるものであります。本人も「往々にしてある」といっているのですから、真実をあらいざらい国会で語ってもらおうではありませんか。(拍手)

 みなさん、政府・与党は、医療改悪法案を、来週の二十五日の委員会で強行採決するスケジュールをえがいています。法案の行方は予断を許しません。しかし、大義と道理が、われわれにあることは明りょうです。最後まで国民の共同を広げ、廃案のために力をつくそうではありませんか。(拍手)

来年度は社会保障3兆円こす史上最悪の負担増の危険――たたかいは国政の大きな焦点に

 みなさん、この国会での帰趨(きすう)がどうなろうとも、今年から来年にかけて国民負担増に反対するたたかいは、国政の大きな焦点になります。

 実は、来年度の負担増は、医療保険の一兆五千百億円だけではありません。来年は介護保険でも、保険料値上げが予定され、二千百億円の負担増となります。年金保険でも、物価スライド凍結の解除――年金の引き下げが予定され、九千二百億円の給付減の危険があります。雇用保険でも、保険料引き上げが予定され六千億円の負担増の危険があります。私は、一昨日の党首討論で、来年度は、社会保障だけで合計三兆二千四百億円という史上最悪の負担増の年になる危険がある、この事実を告発いたしました。

 そして、小泉首相にただしました。“こんな不景気のなかで、こんな巨額の負担増をかぶせたら、国民の健康と生活への打撃はもとより、日本経済にたいしてはかりしれない打撃となる。首相はいったい経済への影響をどう認識しているのですか”と追及しました。しかし首相は、経済への影響がどうなるか、いっさい答弁ができませんでした。およそ経済のことを考えてもいない、心配もしていない、無責任きわまる姿はあぜんとするほどだったのであります。私はよく“小泉政治に外交なし”といいますが、小泉政治には“経済”もないではありませんか(拍手)。この不景気に三兆円をこえる負担増をおしつけるなど、絶対に許せるものではありません。私たちは、腰をすえてしっかりとたたかいぬく決意をここで表明するものです。(拍手)

 平和でも、暮らしでも、もはや小泉政権にこの国のかじ取りをまかせることはできません。すみやかな解散・総選挙によって国民の審判をあおげ――このことを最後に強く要求し、日本共産党はみなさんとともに最後までがんばりぬくことを表明し、あいさつとします。(大きな拍手、歓声)