2002年7月27日(金)「しんぶん赤旗」

日本共産党両院議員集会での

志位委員長あいさつ

(大要)


志位和夫委員長が二十六日の両院議員集会でおこなったあいさつ(大要)は次のとおりです。



両院議員集会であいさつする志位和夫委員長=26日、参院議員団控室

与党は民主主義の当然の要求を拒否して強行に走った

 みなさん、ごくろうさまです。

 昨日の議員団会議で、厚生労働委員会での与党の暴挙という事態に対して、私たちは、二つの要求をもってのぞむということを確認しました。一つは委員会に差し戻せという要求。もう一つは本会議の開会のベルを押すなという要求であります。この二つの要求をもってのぞむということを確認し、野党四党でそうした要求にもとづく活動を与党側に対して、あるいは参院議長に対しておこなってきました。

 しかし相手は一切耳を傾けず、強行の立場に固執し、いまその道を進もうとしています。数の横暴がいま進められようとしています。

 私たちが昨日確認した二つの要求というのは、議会制民主主義のルール破りに対して、民主主義の当然の条件を取り戻せという要求ですから、それすらも一切耳を傾けないというのであれば、われわれは今日の参議院の本会議に出席する条件はありません。ですからこれは、欠席という形で、医療改悪法案に対する断固たる反対の意思を、私たちは表明したいと思います。(拍手)

 野党四党がそろってそういう方向になるということであります。


議会制民主主義のルール破り――衆参両院での暴挙

 私は、今度の医療改悪法案強行の暴挙というのは、幾重にも罪状を確認しておく必要がある暴挙だと思います。

 第一は、やはり議会制民主主義のルール破りという問題です。

 この法案というのは、衆議院段階でも厚生労働委員会で、ちょうど防衛庁リスト問題で国会が空転しているそのさなかに、火事場泥棒的に、与党による一方的な強行採決がおこなわれたという経過がありました。衆議院でも与党の一方的な強行、参議院でも一方的な強行。国民の命綱をたち切る重大法案をこういうルール破りで強行したということは非常に大きな罪として記録されるということをまず糾弾しなければなりません。(拍手)


公聴会すら開かず、国民多数の反対の声に耳を傾けなかった罪

 第二は、国民の声に一切耳を傾けなかったという罪です。

 参議院の参考人質疑がたいへん象徴的でしたけれど、六人の参考人のうち、四人が反対した。日本医師会も、連合も、全労連も反対をした。国民多数の気持ちを反映するものでした。

 これだけの多数の国民が、この苦しい生活の中で、医療費の値上げは我慢ならないという声をあげていることに対して、中央公聴会すら開かなかった。国民の声に一切耳を傾けなかったという点でも、これは厳しく糾弾されなければならないと思います。(拍手)


法案にひとかけらの道理もなし―論理破たんしながらの強行

 第三に、法案の道理のなさであります。

 私たちの衆参の論戦によって、今度の医療改悪法案を強行すれば、深刻な受診の抑制が起こる、そのことが健康悪化を招き、さらには保険財政の悪化を招く悪循環をつくるではないか。あるいは、この不景気をさらにいっそうひどくし、いっそうの税収や保険料収入の低下という悪循環をつくるではないか。こういう問題提起をしましたが、これにたいするまともな答えはありませんでした。

 坂口厚生労働大臣の答弁のなかで印象深かったのは、「ちょっと熱があるとか、のどが痛いぐらいの人は受診を控えるかもしれないけれども、たいして影響はない」という答弁をした。これが医師でもある大臣のいう言葉か。この無情な答弁は、許しがたいものです。つまり、受診抑制がおこるという事実について、認めざるをえなくなりながら、まさに論理破たんをきたしながら、強行にはしった。

 首相のいうように「十分審議が尽くされた」どころか、一番肝心かなめの法案の問題点で回答がなかったということを意味するということにほかなりません。(拍手)


公約破り、不正な口利き――法案提出者に資格なし

 第四に、法案提出者にそもそも資格がなかったという問題です。

 これは衆議院では佐々木憲昭議員、参議院では小池晃議員が追及しましたけれども、この法案の主管大臣をやっている坂口厚労相が所属する公明党は、九八年の参院選でも、二〇〇一年の参院選でも、医療費の値上げに反対、あるいは健保三割負担に反対という公約を掲げた。この党がどうして、この悪法推進ができるのか、というわれわれの追及に対して、大臣の答えは、「高齢化が進むなど状況が変わった」というものでした。公明党が政権に入れば、一気に高齢化が進むとでもいうのか(笑い)。冗談ではありません。

 それから、「連立に入ったから」という言い訳もしました。しかし、連立に入ったことで、自分たちの党の政策が100%できないで、50%しかできないということはありうることですけれども、公約していたことと逆のことはできないのです。

 これはどう言いのがれをしようと、国民をあざむく許しがたい公約違反であるというこの事実も、しっかりとわれわれは記憶にとどめ、国民のみなさんに訴える必要があります。

 さらに、宮路副大臣の問題については、ああいう口利きという最悪のことをやりながら、悪いことをやったという自覚がない。こういう点でも、まさに大臣、副大臣とも法案提出者の資格を欠いていたという問題も明りょうだと思います。

 このように、何重にもこれは道理のない、暴挙だということを、怒りを込めて糾弾したいのであります。(拍手)


負担増の実施を許さないたたかいをすすめよう

 今後のたたかいでありますけれども、いま(本会議開会の)ベルが鳴っていますが、本会議で彼らは一方的な強行採決をおこなうでしょう。

 しかし、たたかいはつづく。実際、今度の医療改悪法案が通ったとしても、実施されるのは、お年寄りの自己負担増が今年秋からです。サラリーマンの自己負担増と保険料の値上げは来年四月からです。

 悪法が強行されたとしても、実施を許さないたたかいを国民のみなさんとともにやっていく決意を固めあいたいと思うのであります。

 そして、医療だけでなく、年金、介護、雇用保険あわせて三・二兆円という負担増が、今年から来年度にかけてかぶせられようとしているわけで、その全体の負担増を許さないというたたかいを意気高くすすめていきたい。(拍手)


悪法推進の大罪をおかした勢力に国民のきびしい審判を

 やはりこういう暴挙をやったものにたいしては、国民の審判をもってこたえたいと思います。秋には、五つの国政補欠選挙がおこなわれます。この五つの国政補欠選挙、あるいはいっせい地方選挙、総選挙、そういう審判の機会で、こういう悪法推進者にたいする厳しい国民の審判を下す。そのために全力をあげるという決意をのべて、私のごあいさつとさせていただきます。(拍手)