2002年8月6日(火)「しんぶん赤旗」
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長野知事選、県議補選の応援で日本共産党の志位和夫委員長が四日、上田駅前で行った演説(大要)は次のとおりです。
こんにちは。日本共産党の志位和夫でございます。(拍手)
きょうは、あいにくの大雨になりましたが、こんなにたくさんの方々が私たちの街頭演説会にお集まりくださいまして、まことにありがとうございます。私からも心からお礼を申し上げます。(拍手)
九月一日投票の長野県知事選挙、県議補欠選挙で、県民のみなさんがどういう審判をくだすかは、日本全国がかたずをのんで注目しています。この選挙は、公共事業のあり方を大もとから問う選挙です。さらに自治体とはどうあるべきかの根本が問われる選挙です。
知事選挙は、田中康夫前知事への県議会による不信任の可否を問う選挙になります。七月五日に、ダム推進の県議会多数派が強行した不信任は、ひとかけらの道理もない暴挙でした(拍手)。県民が選んだ知事が、公約を守って公共事業見直しに取り組んでいるその最中に、数を頼んで無理やり引き下ろす――これは、県民のみなさんにたいする乱暴な挑戦そのものだと私たちは考えております。(拍手)
この暴挙に道理なしと正面から反対したのは、日本共産党県議団の五人だけでしたが、私はこういう立派な県議団を持つことを誇りに思います(拍手)。こうした立場から、私たち日本共産党は今度の県知事選挙では、田中康夫候補を応援して、再選のために力をつくすという決意を、ここで申し上げたいと思います。(拍手)
そして、同時にたたかわれる上田と下伊那での県議補欠選挙はたいへん大事です。上田では、いまお話しした高村京子さんを、必ず勝たせていただきたい。
田中県政にたいして、日本共産党の県議団がとってきた基本姿勢というのは、県民のみなさんの立場にたって、積極的な施策をやるときにはおおいに協力する、意見があるときには率直にものをいうというものです。
この間の田中県政は、日本共産党が一貫して主張してきた県政改革の基本方向――巨大開発中心から抜け出して、福祉・暮らし中心に県政を切り替えようという基本方向で、私たちと田中知事との間に大きな方向の接近と一致が生まれてきました。そういう積極的な方向にそくした施策にはおおいに協力する。ただそのなかでも、高校の授業料の値上げの問題とか、介護慰労金廃止の問題とか、私たちが賛成できないことは、賛成できないと言ってきました。そういう役割をしっかり果たしてきたのが、日本共産党の県議団です。
私たちの県議団は、さきほど石坂団長が言ったように、前回の選挙で議席が二から五に増えて、だいぶ活躍できるようになったのですけれども、まだ数がたらないのです。六以上になりますと、議案提案権、代表質問権が持てるようになります。二つの補欠選挙がありますから、上田でも勝ち、下伊那でも勝って、上田では高村京子さんを代表としておくりだし、日本共産党の躍進を勝ちとらせていただきたい。このこともあわせてお願いいたします。(拍手)
この選挙戦の最大の争点は、「脱ダム」の道をすすめるのか、逆戻りさせるのか、ここにあると思います。具体的には、二つのダム――浅川ダムと下諏訪ダムを中止するのか、それとも推進するのか、争点はきわめて明りょうです。
私は、田中知事が表明した「二つのダムの中止」という立場は、県民多数の声に立ち、道理に立ったものだと考えます。いろいろと資料を拝見させていただいて、二つの点が印象的でした。
第一に、この知事の決定というのは、民主的な手続きにもとづく検討をしっかり踏まえたものだということです。
この間、「長野県治水・利水ダム等検討委員会」がつくられて、一年間にわたる検討をやってきました。これは、ダム推進の立場に立つ県議会議員が提案したそうです。「検討委員会」をつくれば、ひょっとしたらダム推進の方向を出せるかもしれない。それに期待をかけたんでしょう。
しかし、つくられたら、この「検討委員会」は、しっかりした仕事をやりました。まず、「検討委員会」の構成が幅広いものでした。議会のすべての会派が参加しました。市町村長の代表も参加しました。そして専門家も参加して議論がされました。住民も参加し、公聴会など、さまざまな意見ものべる場がもうけられました。そして、多面的な検討が、安全性の問題、環境の問題、財政の問題など、いろいろな角度からやられて、「ダムをつくる場合」と「ダムによらない場合」と、両案が比較対照されて、検討された結果、「ダムによらない」という「答申」が出されました。
約一年にわたる、しっかりとした、民主的なプロセスをへた、検討がおこなわれているではありませんか(拍手)。この「答申」を尊重して、「二つのダムの中止」を表明した、田中知事の決断というのは、手続きのうえでも、中身のうえでも、だれしも十分に納得のいく、道理あるものだと私は考えます。(拍手)
第二は、県民のみなさんのこの問題にたいする意思は、すでに明りょうだということです。
県世論調査協会の調査によると、二つのダムの中止を支持する人が、58・8%。反対の方は23・8%であります。SBC(信越放送)が行った流域住民を対象にした面談調査も、浅川流域のみなさんでいいますと、「ダム不要」という方が61・1%、「ダム必要」という方が32・4%です。下諏訪ダム・砥川流域でも、「ダム不要」という方が76・7%、「ダム必要」という方が17・0%です。どんな世論調査でも、県全体でも、地元の方でも、だいたい三分の二はダムはいらないといっているのです。
この世論調査で、私が強く印象に残ったことが二つあります。
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一つは、どの調査をみても「わからない」と答えている方は数%とわずかです。つまり、県民のみなさんは高い関心を持ち、明確な意思をもって、明確に判断を下している。ダムの中止というのは、県民のみなさんにとっては突然でも、唐突でもない。長いことずっと願っていたことが、とうとう実現したということではないでしょうか。(大きな拍手)
もう一つ、私が痛感したのは、「ダムをつくったら危ない」と感じている方が多いということです。浅川地域では、「ダムをつくったら危ない」と答えている方は56%です。浅川ダムの予定地では、水を含むと崩れやすくなる裾花凝灰岩といわれる地質だとうかがいました。地すべりが起きやすい。現にすでにたくさん起こっている。それで亡くなった方もいる。そこに住んでいらっしゃる方が、こんなところに「ダムをつくったら危ない」と思っている。しかもこの地域は、活断層が集中している。ダムサイト予定地のすぐとなりの一・五キロ離れたところで、十九世紀には善光寺地震が起こったという記録がある。地震が多発していて、地すべりが起こっているところに、どうしてダムをつくるのか。これはかえって危ないということを、地元で生活している方は、肌身をつうじてわかっているんですね。これも重い結果ではないでしょうか。(拍手)
こうした県民の声にてらしても、「二つのダムの中止」は、当然すぎるほど当然だと、私はいいたいのであります。(拍手)
ほかにも知事候補が立っているようですけれど、一般論としては、「脱ダムに賛成」だとおっしゃるんです。これに反対する人はいない。しかし、具体論になると、田中康夫さん以外は、だれ一人として、浅川と下諏訪の二つのダムを中止すると言っている人はいないではないですか。総論は「脱ダム」に賛成だといっても、各論では推進ではないですか。(拍手)
女性弁護士の方は、自民党中心のオール与党県政の時代に、県の公共事業評価監視委員会のメンバーだった方です。この監視委員会というのは、ほんらいは無駄な公共事業をチェックして、ちゃんと意見を言わなくちゃならないのが役割です。
二つのダムのことも問題になった。しかし、二つのダムについて、事業を継続してけっこうですという結論になった。そういう結論を出したときに、それに異を唱えず、了承したという方です。今度の選挙でも、「ダムは必要という結論もありうる」ということを、おっしゃっている。いま、ダム固執派の県議会多数派が、この人を応援すると伝えられていますが、「この人だったら安心だ」ということで、そういう動きになっていると思います。こういう逆戻りの流れには、絶対に県政を託すわけにはいかないと、私は考えるものです。(大きな拍手)
ダムに固執する勢力、何がなんでもダムをつくりたいという県議会の勢力は、いろいろな攻撃をやっています。私は、それを拝見してみたんですが、結論から言いますと、どの攻撃も、結局は自分のところに振りかかってくる。天につばするものだというのが、特徴だと思います。
一つは、「ダムを中止したら県の財政が破たんする」というのです。「中止すれば四百六十一億円の補助金返還が、国に命じられる。県財政は破たんし、三十人学級もできなくなる」。こんなことを言っています。
しかし、この問題について、わが党の木島日出夫衆院議員が、国会で聞きました。「地元にそういう声があるそうだけれど、ダムを中止したら、補助金を返さなければならないような法的な根拠があるんですか」。そうしましたら、扇国土交通大臣は、法的な根拠を示すことができない。補助金を返さなければならないという法的根拠はないのです。
法的根拠がないどころか、逆に、政府は、九八年の一連の通達で、無駄だと分かった公共事業を、必要な手続きにのっとって中止する場合は、「補助金の返還を求められることはない」と、はっきり通達で明記しているのです。これは当たり前のことです。国に補助金を返さなければならないという理由で、無駄だと分かった公共事業を続けるというのは、だれが見たって不合理でしょう。ですから、さすがに国も、そういう場合には、補助金は返さなくていいですよと、通達ではっきり書いたのです。
実際に、全国でダム事業を中止・休止した七十二のケースがありますけれども、一つだって補助金を返したところはありません。なんの根拠もないんです。いったい「国に補助金を返さなければならない」といってる人たちは、長野県民の大事な税金をどうして国に返したがるのか(笑い)。国はいらないと言ってるのに、どうして返したがるのか。まったく理解不能ではありませんか。(大きな拍手)
そして、「県財政の破たん」といいますけれども、私は、破たんさせたのはだれか、これを胸に手を当てて考えてもらいたいと思うのであります。端的な数字をご紹介します。吉村県政の後半の九〇年代をみますと、県の借金――普通債は、九一年度の末には五千七百九十億円でした。それが、田中県政に引き継いだ二〇〇〇年度の補正予算後には、一兆五千八百五十七億円になった。つまり一兆円も、九年間で増やしたという計算になります。
では田中県政になってどうだったのか。この二年間で見てみますと、一兆五千八百五十七億円が、一兆五千四百八十六億円に、借金残高が三百七十一億円減っているんです。ばく大な借金を引き継ぎながら、減らす方向への努力がはじまっているのです。(拍手)
みなさん、無駄な公共事業を積みまして一兆円も借金を増やしたのは、いったいだれなのか。「三十人学級ができなくなる」というけれど、このみなさんの切実な要望に反対し、妨害してきたのはだれなのか。自分の胸に手を当てて、しっかり反省してもらいたいものだと思います。(拍手)
「ダムを中止したが、代替案がない」という攻撃もしています。これも根拠のないいいがかりです。田中知事は、「検討委員会」の「答申」を踏まえて、代替案の枠組みをちゃんと示しているのです。百年に一度の洪水のさいの基本高水流量――洪水の際にどれだけ水が流れるかの量ですが、これについては当面は変更しないで、河川改修と、森林の整備や遊水池をつくるなどの流域対策、この二つを組み合わせて対応するという、代替案の枠組みは示されています。
そして、その枠組みにもとづいて、七月はじめには、知事を本部長にして、「治水・利水対策推進本部」を設置して、県庁の各部局を横断的に集めて、代替案の具体化作業を始めています。そういう責任ある努力を乱暴に中断に追い込もうとしているのはだれか。それがダム推進の県議会多数派ではありませんか。具体化を妨害しておいて、「代替案がない」「すすんでいない」というのは、まさに天につばするものだということを、私は言わなければなりません。(拍手)
それから相手は、「手法が問題だ」「説明責任を果たしていない」ともさかんに言っています。しかし、私は、知事に求められる「手法」、「資質」というなら、何よりも一番に言わなければならないのは、県民のみなさんへの公約を守ることではないか(「その通り」の声)。そう思うのであります。(拍手)
そして、「説明責任」というなら、県民のみなさんへの説明責任が果たされた結果が、さきほどのべた世論調査の結果ではないかと思うのです。三分の二の方が、ダム建設に反対している。これは、ダムは中止すべきだと、日本共産党が言ってきた、知事も言ってきた、この説明責任が果たされた結果です。その結果が世論調査の数字に示されているではありませんか。(拍手)
逆に、ダム推進の県議会多数派は、二十年以上かかって、結局、流域のみなさんも、県民のみなさんも説得できなかった。説明責任を果たせなかったのは、ダム推進派の方ではありませんか(拍手)。説明責任を果たさなかったというよりも、説明能力がないんじゃないでしょうか。そういわざるをえません。(笑い、拍手)
私は、県議会との関係でいえば、ダム推進の県議会多数派のとった横暴・無法というのは、たいへん恥ずかしいことだと思います。これは、全国で放映されました。六月二十七日の暴挙です。知事がダム中止宣言をやって、これから県議会のなかで、本格的に議論して検討してもらおう、その審議をやっている最中に、聞く耳を持たなかった。
私は、議事録を読み返してみて、あきれました。知事が答弁をする。ダム推進派の議員の質問に、ちゃんと答弁をしています。答弁すると、ごうごうたるヤジが飛ぶ。ふつうだったら、「ヤジるのをやめなさい」というのが議長の役目です。ところが、ヤジをほったらかしにして、知事に「答弁をやめなさい」という。知事が答弁を続けると、マイクを切って、一方的に休憩宣言をする。推進派は議場からみんな引き揚げて、日本共産党の議員だけが残った。こんな無法は見たことがないですよ(「そうだ」の声)。国会でも、ずいぶん与党の人たちが無法をやりますけれど、ここまでの無法は見たことはない。私も、国会で、マイクを切られたことはありません(笑い)。こんな無法は、ほんとうに恥ずかしいことです。私は、こんな無法なことをやる人たちは、議員の職責の放棄であって、議会人たる資格がないと、はっきり言わなければなりません。(大きな拍手、「その通り」の声)
みなさん、なぜこれほどまでにダムに固執するのか。私は、利権がからんでいると思います。
「しんぶん赤旗」が告発したある内部文書が、それを物語っています。山崎建設といいまして、全国のダム工事の下請けをやっている代表的な企業なのですが、その内部文書を私どもは手に入れました。昨年、これを公表したわけですが、ここには全国のダム工事を受注する「本命企業」の一覧が記載されています。一九九五年の十二月に作成されたものです。
全国のダム、たとえば川辺川ダムはどことどこがやる、浅川ダムはこことこことここがやる。みんな書いてある。そして、その後発注されたダムをみると、二十六あるうち二十二が、その内部文書通りの業者が受注しているのです。浅川ダムでは、前田建設と、フジタと、北野建設、この三つが「本命企業」としてリストに書いてあって、ちゃんとこの通りに五年後にはこの三社が受注している。つまりこの三社が受注することは、五年前にもう決まっていた。これ以上、明々白々な談合の証拠はありません。わが党が、国会でこの資料を提出して追及しましたら、この談合疑惑について、公正取引委員長が、「調査している」といいました。そういわざるをえないほど疑惑は深刻なのです。
そして、浅川ダムを受注した三つの企業のトップの前田建設というのをご存じでしょうか。自民党の国民政治協会に献金しているゼネコンで、全国一位の献金(二〇〇〇年)をしているのが前田建設なのです。全国的に張り巡らされた談合のネットワークがある。ゼネコンは談合で税金を食い物にし、食い物にした税金から自民党に巨額の献金をおこなう。政官業癒着の典型的な構図が、ここにはあるではありませんか。
なぜこれほどまでにダムに固執するのかの答えは、そういう利権構造の一端をにない、利権のおこぼれにあずかろうというほかに、説明がつかないのではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)
ダム固執の県議会多数派は、県の財政を本気で心配しているのでもない。県民のみなさんの命を本気で心配しているのでもない。対話を重視しているのでもない。民主主義を尊んでいるのでもない。ただ自分の利権を守ろうとしてるだけだということを、はっきりいわなければなりません。こんな勢力に、負けるわけにはいかないではありませんか。(大きな拍手、「そうだ」の声)
私が、訴えたいことは、こうした巨大開発の浪費政治から抜け出してこそ、自治体の“本業”である福祉と暮らしを守る道が開かれるということであります。
私は、この点でも田中康夫さんが知事になってからの県政を調べてみまして、いろいろと注目すべき変化があるなと痛感しました。これはもちろん県民のみなさんの運動、日本共産党議員団の頑張り、これがあわさったものと思いますが、三つぐらい注目すべき変化を感じました。
一つは、公共事業と社会保障のいわゆる逆立ち財政が変わり始めたということです。私たち日本共産党は、全国でいいますと毎年、公共事業には五十兆円を使っている、社会保障には二十兆円。この逆立ちした税金の使い道を変える必要があるといってきました。
この点で、長野県の財政をみますと、前のオール与党県政の九〇年代には、県の財政の使い道が、だいたい公共事業に年間四千億円、社会保障に千二百億円。社会保障費の三倍以上を公共事業費に使うというひどい逆立ちぶりでした。それが、田中県政の二年間で公共事業に二千四百億円、社会保障には千四百億円。二倍以内ぐらいのところまで逆立ちが、ずいぶんよい方向に変わってきました。税金の使い方の変化が始まったということが確認できるのではないでしょうか。(拍手)
二つ目は、公共事業の中身の変化です。この中身が、土木、農政、林務――こちらでは「三公共」と呼ばれているそうですが、そういう従来型の公共事業から、福祉・環境型に変わりつつある。
二〇〇一年度予算では、公共事業費の総額は14%減りました。しかし、特養ホームだとか、ケアハウスだとか、福祉関連の公共事業の予算は、77%増えました。今年からは、“宅幼老所”という、お子さんとお年寄りをお世話できる、小さな単位のケア施設にも予算がつき始めたということをうかがいました。そういうきめこまかい、本当に暮らしに必要な公共事業に変わり始めた。
森林整備に力を入れ始めたという点も、私は、注目すべきだと思いました。森林整備というのは、何よりも環境保全になる、山間部の雇用対策にもなる、そして林業の振興にもなる。この二年間で予算を50%増やしたということもうかがいました。
これは、公共事業の中身を変えれば、公共事業の予算総額を減らしても、立派にやっていけるということです。
巨大開発というのは、たくさん税金を使ってもみんな中央に吸い上げられてしまいます。私たちが調べてみましたら、五億円以上の大型事業ですと、県の外の企業に仕事の七割がいってしまう。ダムになりますと、数百億円規模の巨大事業です。これは県外のゼネコンなどに仕事の八割がいってしまう。大型のもの、とくに巨大ダム開発は、お金を注ぎ込んでも、注ぎ込んでも、中央に吸い上げられてしまう。ところが、さきほど言った、福祉の施設とか、森林の整備とか、こういう事業でしたら、地元の業者のみなさんでやっていくことができます。
こういう方向をすすめば、私は、公共事業の総額を減らしながら、福祉をよくし、雇用を守り、地域経済を活性化する道も開かれる。それへの一歩がみんなの力ですすみ始めたというのが、私は、この二年間だということを訴えたいと思うのであります。(拍手、「そうだ」の声)
三つ目に、「三十人学級」の実現です。今年から小学校一年生で三十人学級が始まったと聞きました。これは、長い歴史を持つ運動があります。県民のみなさんの中で一千万もの署名が集まった。百もの自治体が、請願をした。そういう、長い県民のみなさんの運動がある、日本共産党のたたかいがある。そういう中で知事も、三十人学級を決断しました。
「信濃毎日」の投書欄を見ていましたら、上伊那にお住まいの教員の方の投書が載っていました。「少人数学級は大きな励まし」という投書です。この方は、働き盛りの熱心な教員が忙しすぎて急に亡くなるということが相次いでいる、それほど激務だということを訴えて、こうのべておられました。「三十人学級の実現は、子どもたちと教職員への大きな励ましである、教育現場に託された課題は多い、私たちは、それらに微力でも、誠実に応えていきたい」。行政の側が教育条件の整備に力を入れてくれるんだったら、教師も誠実にがんばろうじゃないかという、温かい流れを、うれしい流れを、ここに感じるではありませんか。(拍手、「そうだ」の声)
もちろん、福祉の本格的な拡充というのは、これからの課題です。
いま、国の政治では、今年から来年にかけて社会保障だけでも三兆二千億円を超える負担増が押しつけられる危険がせまっています。私は、先日の党首討論でこの問題を取り上げました。医療費の値上げ、介護保険料の値上げ、年金の切り下げ、そして雇用保険料の値上げ、これを四つあわせたら三兆二千億円をこえる危険がある。こんな不景気のときに、命と暮らしの支えになる社会保障で、こんな負担増を押しつけるというのは、絶対やってはならないことであります。
国の政治がそういう冷酷非情な政治であるときこそ、地方自治体の出番じゃないでしょうか。国の政治が、暮らしの支えになる社会保障を切り捨てようというとき、そういうときこそ自治体が、役割を果たすべきです。介護保険では高すぎる利用料や保険料の減免制度をつくる、乳幼児の医療費の窓口無料化をかちとる。このみなさんの願いを、どうか日本共産党に託していただきたい。よろしくお願いいたします。(大きな拍手)
今度の選挙の争点は、たいへんはっきりしています。そして、大きな変化が始まっている。長野県の変化は、全国に希望をあたえる変化です。この変化を絶対に後戻りさせてはなりません。どうかみなさん、不法で、横暴で、どんな道理もない、不信任の強行という暴挙をうけた選挙で、田中康夫さんの再選を必ずかちとろうではありませんか。(拍手)
そして上田では、高村京子さんをみなさんの代表として、必ず県議会に送り届けてください。日本共産党の県議団の力をもっとつよくして、県民のみなさんの声がしっかり届く県議会をつくっていくために、みなさんの絶大なご支持を、高村京子さんにあたえていただきますよう、心からみなさんに訴えまして、私の話を終わらせていただきます。(拍手)
雨の中、最後までご清聴ありがとうございました。(大きな拍手、「がんばれ」の声)