2002年9月26日(木)「しんぶん赤旗」

〔HP限定〕

日朝首脳会談、イラク攻撃、

経済問題について

CSテレビ朝日ニュースター 志位委員長、大いに語る


 

早野透・朝日新聞編集委員(右)の質問に答える志位和夫委員長

 日本共産党の志位和夫委員長は二十五日放映のCSテレビ「朝日ニュースター」の「各党はいま」に出演し、日朝首脳会談をどうみるかや、米国のイラク攻撃、経済問題について、早野透・朝日新聞編集委員のインタビューに答えました。

日朝首脳会談――

国交正常化交渉の再開合意は「重要な前進の一歩」

 番組のなかで志位氏は日朝首脳会談について「拉致問題で痛ましい事実が明らかになり、国民のみなさんのなかには複雑な思いもあると思うが、大きくみると、国交正常化交渉の再開で合意したのは、重要な前進の一歩だ」と指摘。一九九九年に日本共産党の不破哲三委員長(当時)が二度にわたって交渉ルートを開くよう提言し、それが同年十二月の超党派の訪朝団に結実した経過などを説明。こうした立場から、今回の首脳会談と国交正常化交渉再開を強く支持する立場を表明したと述べました。

 拉致問題では「国交正常化交渉の中で、問題を提起し、解決を図るべき問題だ」と述べるとともに、「『拉致はない』と言ってきた北朝鮮が、その存在と責任を認めて謝罪をした。これは大転換だ。拉致をやったことは許しがたいが、拉致を認めたことは前向きの変化であり、ここは区別して冷静に見る必要がある」と指摘しました。

 志位氏は、世論調査では国民の六割、七割が首脳会談を支持し、国際社会でも評価が非常に高いことをあげ、「日朝が国交正常化の方向に歩みだす、北朝鮮が国際社会の一員になる方向に一歩でも踏み出す、これは世界が望んでいることだ。そういう立場で今後もわれわれは努力したい」と表明しました。

イラク攻撃、有事法制――

首相の対米従属という弱点は深刻

 米国のイラク攻撃に話題が移り、志位氏は、ブッシュ米政権の「国家安全保障戦略」について「先制攻撃を単独でもやるんだということを堂々とホワイトハウスの方針として世界に向けて宣言している」と批判。イラク問題は、「9・11テロ」とのつながりの証拠はなにもない、大量破壊兵器の問題は交渉で解決すべき性格の問題であり、戦争に訴えるべき性格の問題ではないと述べ、「アメリカが乗り出そうとしている戦争にはなんの大義名分もない」と強調しました。

 志位氏は、小泉首相が日米首脳会談(十二日)で「国際協調」を言うだけで反対しなかったことを指摘。「先制攻撃は国連憲章違反であり、『国際協調』でやったとしても無法は無法。『反対』ときっぱり言えなければ国連憲章を守る立場に立っているとは言えない」と批判し、「対米関係での弱点は深刻だ」と述べました。

 さらに、小泉首相が成立を狙う有事法制について「そういう危ない戦略を取ろうとしている米国と一緒に戦争をしようというもので、どうしても葬り去らなければならない」と強調。一方で「北朝鮮との対話に踏み出そうとしているのだから、なんのための有事法制か説明もつかなくなっている」と述べ、小泉首相の「アメリカへの従属姿勢とは厳しく対決していく」と表明しました。

経済危機から国民生活を守るために――

四つの大切なこと

 経済問題では、志位氏は、経済危機から国民生活を守るうえで大事なこととして四つの問題をあげました。

 第一に、社会保障の分野での三兆二千四百億円もの負担増計画をやめることです。“小泉内閣は九兆円の負担増で景気をぺしゃんこにした橋本内閣の二の舞いになろうとしている”という経済アナリストの発言も紹介し、この負担増計画への批判は「心ある人の共通のものになっている」と述べました。

 第二に、所得税の控除見直しや消費税の免税点の引き下げ、外形標準課税の導入といった庶民・中小企業増税の計画を中止すべきだと主張。

 第三に、「不良債権処理の加速」という名で、さらに中小企業をつぶそうとしていると指摘。この一年間だけでも一・五倍も「不良債権」が増え、この政策はすでに破たんしているのに、こんどは日銀が銀行の保有株を買ってリスクを引き受け、「不良債権処理」ができる環境をつくってやろうとしていると批判し、政策転換の必要性を強調しました。

 第四に、失業問題で、家族を含めれば一千万人、国民の約十人に一人が被害にあっていると指摘。「首切り」や転籍の強要といった無法や、雇用保険の切り捨てをやめさせることが大事だと述べました。

 志位氏は、政府が二兆五千億円規模の大企業減税や大銀行への公的資金の注入、日銀による株買い取りを計画するなど大企業・大銀行には至れり尽くせりの姿勢を批判。この問題でも「小泉首相とは断固として対決していく」と述べました。