2002年9月30日(月)「しんぶん赤旗」

日本共産党の勝利で流れ変えよう

県民不在の「オール与党」県政

茨城・つくば市

志位委員長が訴え


 十二月に迫った茨城県議選での勝利をめざして、日本共産党茨城県委員会は二十九日、つくば市のつくば国際会議場で志位和夫委員長を迎えて演説会を開きました。

志位委員長をむかえて開かれた日本共産党大演説会=29日、茨城・つくば市、つくば国際会議場

 広範な人々に声をかけるなか、地元つくば市の藤澤順一市長や保守系議員、JAや農業委員など農業関係者らが参加。取手市からはバス四台を連ねて参加するなど、第三会場までびっしり埋めた千九百人の熱気でいっぱいになりました。

 志位氏は冒頭、四年前の県議選で日本共産党が一議席から三議席へ一気に躍進したことが、県政を変える大きな力となって働いたことを強調。「現有三議席を必ず確保し、六候補の全員当選を」と支持を訴えました。

 志位氏は、日朝国交正常化交渉やイラク攻撃などの外交問題、暮らしと経済、原子力行政の問題などを解明しながら、日本共産党が“道理に立った外交”をになえる政党であり、国民の暮らしと安全に責任をおう政党であることを力説。そのうえで県議選にかかわって、「橋本・茨城県政には自民党と『オール与党』によって『自治体が自治体でなくなる』という二つの変質がおきている」と告発しました。

自治体の本業が粗末に――暮らし応援の県政こそ

 第一は、「福祉と暮らしを守る」という自治体の本業が粗末にされていることです。リアルな数字をしめした志位氏の話に会場からは何度もどよめきがおきました。

 たとえば、特別養護老人ホームの入所待機者数は、介護保険導入前に比べ四・五倍の三千六百人(今年三月現在)に急増していますが、県は国の基準にもとづく定員数の確保さえやろうとしていません。介護保険の保険料・利用料減免制度をつくった市町村を応援するどころか、「制度の趣旨に反する点がある」と国いいなりでおさえつける始末です。

 国保料は一世帯あたり平均で約十八万六千円と全国第二位。国保会計への県繰り入れ額は、県民一人あたりでみると全国平均の五分の一にすぎません。

 さらに、橋本県政は三歳未満の乳幼児医療費無料制度に、九八年から一部負担を導入しました。

 志位氏は、ことし十月から国が乳幼児医療費の自己負担を三割から二割に引き下げるなかで、県の負担は二億七千万円軽減されること、一部負担の廃止で無料化に必要な県負担は二億三千万円になるという県当局が提出した試算を紹介。「このお金をあてただけでも一部負担は廃止し無料化を復活できます。それをやらなかったらまさに流用になるではありませんか。日本共産党の躍進で暮らしを粗末にする県政をきりかえよう」との訴えに、大きな拍手がおきました。

“開発神話”――大破たんしても無反省でつづける

 第二の変質は、大破たんした「開発会社」化を無反省につづけていることです。「開発神話は曲がり角に来ている。…『受け皿』を用意すれば、黙っていても、人や企業が寄り集まってくる時代は去った」(茨城新聞)との批判記事も紹介しながら、志位氏は“開発をすれば需要がおこる”という“開発神話”にしがみついている県政をズバリ批判。

 たとえば、五万トン級の大型コンテナ船をよびこもうと常陸那珂港には国・県と地元自治体で二千百二十億円を投入しましたが、現在のコンテナ航路は韓国と中国の三航路だけ。うち二航路は日立港から振り替えたもので、寄航するコンテナ船は三千〜七千トン級どまりで、港の経営のため毎年三〜四億円の税金が支出されながら、開業以来赤字のままです。

 常陸那珂港の南側の阿宇ケ浦海水浴場の砂浜は港の影響で最大五十四メートルも後退しました。海底の砂利が露出し、今年の夏だけで救護本部を訪れたけが人は、昨年の二十五倍の九百八十六人にのぼりました。

 「港は貨物が外国から流れてくるところ。ところが貨物は流れてこず、税金や砂浜が流出するなどこんなでたらめな話はないではありませんか」との訴えに、どっと笑いと拍手が。志位氏は、二〇一三年完成をめざしてすすめられている中央ふ頭、巨大防波堤建設計画の中止を強く求めました。

 さらに志位氏は、利根川と那珂川を二つの地下トンネルで結ぶ霞ケ浦導水路の見通しのなさを告発。すでに完成した利根導水道は一度も使われず、未着工部分を残している那珂導水道も県自身が水需要見込みを「過大だった」と間違いを認め、四割減にする事態になっていること、こうした愚かな巨大開発に金を注ぎこんだツケが関東七都県でいちばん高い水道料金になっていると批判すると、どよめきが何度もおきました。

3議席でかわった県政――この力がのびるかどうかが最大の焦点

 「こうした逆立ち県政をただす力をもっている政党は日本共産党だけです」と訴えた志位氏は、六十六の県議会定数の八割近くを自民党が占めるもとで茨城新聞がコラムで、前回選挙で日本共産党が一気に三議席になったことを「強固な壁に微小ながらも穴をあけたとはいえないだろうか」「小さな穴が広がるのか、それともふさがるのか。県政界の流れを方向づける戦い」と書いたことを紹介し、「日本共産党がのびるかどうかが最大の焦点です」と訴えました。

 日本共産党が一議席の時代には少人数学級を提起しても、「オール与党」も県も木で鼻をくくったような対応をしていたが、三議席に躍進して一般質問でとりあげ、三十人学級に必要な予算の試算を行わせるなかで、県民運動が広がり、県内九割の市町村で請願が採択されるようになり、今年一月から小学校一年生を対象に三十五人学級が実現したことを紹介。県議選ではこの力をもっとのばして「自治体らしい自治体」をとりもどす希望ある結果を必ずだそうとよびかけ、大きな拍手と歓声がわきおこりました。

 これに先立ち、県議選の加茂さちえ、佐藤せいごう、ふじた邦良、山中たい子、つかごし恵子、大内くみ子の六候補が「県民の声を県政に届ける現有三議席の確保と新たな議席獲得を必ず」とそれぞれ力強く決意表明。

 応援演説にたった倉持庄次郎・クラモチ株式会社社長は「働く人の立場を不安定にする不良債権処理を許さず、共産党の躍進でわれわれの生活を守ろう」と訴え。浜田篤信・霞ケ浦生態系研究所長は「霞ケ浦の環境を守る先頭に立ってきた共産党の勝利で今まで以上の活躍を」とよびかけました。

 取手市からきた会社員の男性(50)は、「県政の遅れは知っていたが、演説を聞いてどう変えるかの方向性が見えてきた。それは共産党の議員を増やすこと。三議席を守り、増やすことが重要だ」と話していました。