2002年12月2日(月)「しんぶん赤旗」

政党らしい政党の値打ち光る

県議の議席回復なんとしても 志位委員長が熱く訴え

島根・松江演説会


 日本共産党島根県委員会は一日、松江市で志位和夫委員長を迎えて、いっせい地方選挙と総選挙の躍進をめざす演説会を開きました。

 隠岐島やマイクロバスで山口県境の柿木村からなど、会場の「くにびきメッセ」には千三百人が集まり、選挙勝利に向けた熱気にあふれました。保守系の元町議会議長も知人を誘って参加しました。

 中林よし子衆院議員、尾村利成県議候補が決意表明、いっせい地方選挙の候補者が壇上で紹介されました。

 中林議員は、小泉内閣が出そうとしている「コメ政策の見直し」に言及し、「この亡国の政策を、みなさんと力を合わせて断固はねのけ、安全な食料と農業を守るために全力を尽くしたい」と訴えました。

 尾村候補は「無駄遣いと県民いじめをすすめてきたオール与党の県議会に風穴をあけ、県民のいのちと暮らしを守る議席として働かせてほしい」と力強くのべました。

 演壇に立った志位委員長はまず、イラク問題、日朝問題、日本経済再建の問題をとりあげ、日本共産党の値打ちが、情勢の激動のなかで光っていることを縦横に語りました。この中で、小泉内閣がすすめる「不良債権処理の加速」が、米国の圧力にいいなりですすめられているものであることを告発。(1)国民生活の再建なくして日本経済再建なし、(2)アメリカの横暴から日本の経済主権を守る――という日本共産党の二つの大きな立場を表明しました。

 県政の問題に話をすすめた志位氏は、四十年にわたって日本共産党が中止を求め、ついに中止に追い込んだ宍道湖・中海の干拓淡水化事業について、「住民と党のたたかいの重要な勝利です。同時に、これは島根県政を深くむしばんでいた巨大開発体制の崩壊の始まりでもあります」と強調。

 九五年以降、県議会で日本共産党の議席がないなか、「オール与党」県政が、県民一人あたりの公共事業費が十五年連続全国一を続け、県民一人あたりの借金も全国一という事態に陥っていることを告発しました。

 税金の使い道の例として、三十五億円を投入して造成したのに進出企業が一社もない旭拠点工業団地や、七十億円もかけて建設したものの開通式直後に「通行止め」となり「行き止まり大橋」といわれる浜田マリン大橋など、無駄遣いぶりをリアルに告発。「浪費と環境破壊の巨大開発はもうたちゆかないことを宍道湖・中海淡水化事業中止は示しました。これを機会に、県政の大転換を」と呼びかけました。

 こうした県政の大破たんにたいし、「オール与党」の県議らに反省があるのかと問いかけた志位氏は、自民党議員が「議員がいろいろ要望しても(県は)はねかえさないと」などとのべていることに、地元紙も「予算を審議してきた当事者とは思えない」と批判していることを披露。

 県議会では全会一致が常態化し、十四回の定例本会議で予算、決算案を含む知事提案議案の討論が一度もないことなどを告発し、「そもそも議会が首長をチェックするのは最小限の仕事。日本共産党の県議を送り出し、何としてもこの現状を変える選挙に」と訴えました。

 一方、日本共産党の尾村県議候補が、四年間で三十四回、四百項目もの対県交渉をおこない、要介護認定者への税控除をおこなうよう県に市町村への通達を出させた実績を紹介。「議員でなくても議員以上の仕事をやっている。こういう人が議員になれば、どれだけの仕事ができるか楽しみです」とのべました。

 西郷町では、党議員が介護保険の利用料引き下げのために奮闘し、在宅の利用料で、所得制限なしの全額無料化を実現したことを紹介。これに対し、公明党が県議会で「財政悪化の要因ともなりかねない」などと攻撃し、県も「減免制度は好ましくない」と呼応していることを批判。「市町村が独自の福祉の仕事をしたら、応援するのが県と県議会の仕事ではないか」と指摘。「国民の深刻な暮らしをよくしようとすれば、共産党しかよりどころがありません。暮らしを応援する議員を」と力説しました。

 また東出雲町が、市町村合併押しつけに対し「合併しない」と宣言していることに触れ、希望ある新しい地方政治の流れが島根県にもおこっていることを強調しました。

 自民党はいままでの支持基盤が崩れ、日本共産党以外の野党は自民党に代わる政治のあり方を示せずにいることを指摘した志位氏は、「世界でも国政でも地方政治でも、あらゆる問題で“政党らしい政党”としての活動をしているのは、日本共産党だけです。この党を大きく伸ばそうではありませんか」と呼びかけると、大きな拍手がおきました。

 党の演説会に初めて参加した津和野町の男性(62)は「志位さんの話がたいへん良かった。イラク問題、不況対策など共産党の政策は自分の考えにぴったり。県政での無駄遣いをやめさせるためにも県議を必ず獲得してほしい」と語っていました。

 島根大学で農業を専攻する女性(20)は、「たくさんの人が聞いていて驚きました。県議会の討論がないなどの現実を、もっと多くの若い人が聞いたら県政を変える力になる」と話していました。