2002年12月14日(土)「しんぶん赤旗」

日本共産党国会議員団総会での志位委員長のあいさつ

(大要)


 日本共産党の志位和夫委員長が十三日の国会議員団総会でおこなったあいさつは次の通りです。


 臨時国会の閉会にあたりまして、ごあいさつを申し上げます。国会の奮闘、本当にご苦労さまでした。

“政党らしい政党”――コントラスト鮮やかになった臨時国会

党国会議員団総会であいさつする志位和夫委員長=13日、国会内

 先日の五中総で私たちは、今日の政党状況について、一方でいわゆる「政党の衰退」といわれる状況がすすんでいる、すなわちわが党以外の諸党が、訴えるべき政治戦略を持てない状況のなかで、”政党らしい政党”として、政党本来の活動を堂々とやっている日本共産党の値打ちが光っているという分析をいたしましたが、今度の臨時国会では、そのコントラストが鮮やかに浮き彫りになったと思います。

 今度の国会は、国際情勢では米軍によるイラク攻撃の危機が深まるなかでおこなわれました。

 この危機にさいして、それぞれの政党がどういう姿勢で立ち向かうか。これは、世界平和にたいするそれぞれの政党の姿勢の根本を問うものになりました。

 日本共産党は、八月末に不破議長が訪中して、中国共産党の江沢民総書記(当時)と「イラク攻撃反対」の一致点を確認したのにつづき、十月には緒方国際局長が中東六カ国の歴訪をおこなって、戦争回避のための大奮闘をしました。こういう世界に働きかける道理ある活動は、国会の論戦でも生かされました。その値打ちが光った論戦が展開されたと、私は思います。

イラク問題――小泉首相の対米追随の地金むきだしに

 一方、小泉政権はこの問題でどういう対応をしたか。

 私は、十月末の党首討論で、小泉首相に対してイラク攻撃反対の言明をすべきだと迫りました。首相は、そのときはともかくも、「戦争によらない解決」ということをいいました。私はそれに対して、「赤旗まつり」の演説のなかで、「そういうのであれば現実の行動でしめせ」といいました。しかし、現実の行動として出てきたものというのは、米軍によるイラク攻撃を既定の事実にして、そしてそれを事実上あとおしする。それが現実の行動として出てきたものでありました。

 これは、イージス艦を派遣するという決定を、国民の声を無視し、そして国会にも諮らずに強行した彼らの態度に、はっきりあらわれました。イージス艦は十六日に横須賀港を出港するということで、反対運動が今日も現地でおこなわれているようでありますけども、この暴挙が強行されました。

 いまなぜイージス艦なのか。政府は、この問題についての正面からの説明はできません。結局、政府の説明を聞いていても「これまでの護衛艦はクーラーが利かない、居住性が悪い」(笑い)とか、わけのわからない説明しかできません。

 しかしイージス艦の派遣が、イラクに対してアメリカが準備している戦争を支援する兵力の増強であるということは、まぎれもない事実です。このことは、自民党の幹事長自身が「対イラク攻撃に浸透する」というものだと位置付けていることからも明らかです。国際法をじゅうりんした無法な戦争に、憲法をじゅうりんして参戦する、みずから決めた「テロ特措法」からしても説明がつかない、そういう行動に出ようとしているわけです。小泉首相の対米追随の、地金がむき出しになった。これは絶対に許すわけにいかないことと強くいいたいと思います。(拍手)

 今日、イラク攻撃に反対する共同の集会とデモも持たれます。国連の枠組みのなかでの平和的な解決をあくまではかるべきだというのが、私たちの確固とした立場であります。この立場で内外の奮闘をしていきたい。

 そして今度の国会では継続となりましたが、有事関連三法案を廃案においこむ課題が、次の国会の大事な課題になってきます。この問題では、きたるべき国会で非常に大きな対決が予想されるわけで、これも私たちが手をゆるめることなく、このたたかいをすすめていきたいと思います。

北朝鮮の「核施設稼働の再開」表明――「日朝平壌宣言」に違反、交渉のなかで解決を

 北朝鮮をめぐって、昨日、核施設の稼働を再開するという表明がなされたことは重大です。ここにいたる経過は、一連のさまざまなものがあったわけですけれど、問題の根本は、十月十六日に北朝鮮が核兵器の開発計画を持っていることが明らかになった。ここに問題の根本がある。これは、核兵器問題をめぐるすべての国際的な合意を順守するとした「日朝平壌宣言」に違反する行為でありまして、この問題の根本をしっかりおさえる必要があります。これは交渉のなかで解決すべき重要な問題です。被爆国の政府としてきちんと筋を通して、交渉による解決が必要だということを、申し上げておきたいと思います。

「四つの緊急要求」は大同団結できる旗印 大運動わきおこす先頭に

 臨時国会に対して国民がいちばん望んだことは、この経済危機からどうやってくらしと営業を守るかという方策を明らかにすることでした。

 私たちはこれに対して、「四つの緊急要求」をかかげ、日本経済の主役であり土台である家計消費と中小企業にしっかりとした支援を行うことによって、内需を活発にし、日本経済をたて直すという方策を大きく示し、国会の論戦でもがんばり抜きました。

 大事なことは、この「四つの緊急要求」という旗印が、国民の立場の違いを超えた共同のたたかいの旗印になりつつあるということです。それは全国をまわっても痛感いたします。

 一昨日も、日本医師会をはじめとする医療関係四団体が共同で緊急声明をだして、患者負担増凍結を求めましたが、これは非常に重要な動きです。それから、中小企業に対する外形標準課税導入などに反対するということで、日本商工会議所を中心とする中小企業四団体が共同の声明をあげています。これも大事な動きです。

 それから、これは私の最近の経験ですが、一昨日沖縄に行ってまいりまして、琉球新報社の主催する「琉球フォーラム」という場で講演する機会がありました。行ってみましたら、沖縄の経済界、政界から垣根を越えてみんな集まっている場であったわけですが、そこで私たちの外交政策、経済政策を話しまして、「四つの緊急要求」についてもおおまかな話をしましたら、終わったあとの感想を聞きましても、これだったら違和感なく一致できるという話も聞かれました。

 ですから、これは本当に大同団結できる旗印なのです。「緊急要求」をかかげた大運動を国民的にわき起こしていく先頭に立って奮闘したいと思います。(拍手)

日本経済――国会論戦で明らかになった小泉内閣の売国的な本質

 一方、小泉政権はこの経済危機に対してどういう態度をとったかということを振り返ってみますと、自分で国会を召集しながら何の方策も出しませんでした。国民の苦しみに対する何の思いも、この政権は臨時国会の中で示しませんでした。熱中したのは「竹中プログラム」、「不良債権処理の加速」という処方せんを必死になってすすめるということでした。

 しかし、これが中小企業の倒産と貸しはがしをひどくするというだけでなく、もっと深刻な問題をはらんでいるということが国会論戦で明らかにされました。

 すなわち、米国の大手の投資銀行、投資ファンドなどの勢力に、日本の金融と産業を明け渡すという、売国的な本質をもっているということが国会の質問のなかで明らかになった。非常に奥深い、そして深刻な動きであります。

 ですから、私たちは、いまの経済に対して二つの大きな旗印が必要だと考えています。一つは、「四つの緊急要求」をかかげて国民の暮らしを守る。もう一つは、アメリカを中心とする国際金融資本の支配から日本の経済主権を守る。こういう旗印も大きくかかげて、大きく国民のなかで対話と共同、運動を広げていくために、全力をあげる決意を新たにしたいと思います。(拍手)

南アジア諸国歴訪――野党外交の積み重ねのうえにたって

 わが党の野党外交はこの間、多面的で豊かな成果をあげてきたわけでありますけれども、十五日から二十五日まで日本共産党の代表団が南アジアに訪問することになりました。日曜日に出発します。三カ国の政府と日本共産党との公式の交流を始めることが一番大きな目的です。同時に、この三つの国というのは、非同盟運動のなかで、その歴史においても、今日においても重要な役割を果たしている国です。そして日本共産党は非同盟運動との共同、そして将来は日本もこの流れに合流するという展望をもっている党ですから、そういう党として、とくに平和の問題をはじめ、さまざまな意見交換をおこなっていきたいと抱負をもっています。

 同時に、インドにはインド共産党(マルクス主義)という大きな党があります。この党とも会談の予定があります。インド共産党、スリランカ共産党とも会談の予定があります。インド共産党(マルクス主義)というのは、西ベンガルとトリプラという二つの州で政権党でありますけれども、とくに西ベンガルは二十五年間、四半世紀にわたって政権党として奮闘して大きな実績をあげているわけで、その成果もしっかり見聞してきたいと思っています。この間、さまざまな野党外交の積み重ねをふまえて、おおいにがんばってきたいと思っています。

値打ち輝く党の真価発揮し、選挙勝利のために奮闘を

 いよいよ選挙であります。いっせい地方選挙まであと四カ月。解散・総選挙も流動的な局面に入ってまいりました。五中総でも確認しましたが、いまの激動の情勢にふさわしく、またその値打ちが輝いている日本共産党の真価にふさわしく、「攻めの構え」を確立しておおいに意気高く、元気よく次の選挙での勝利のために奮闘しようではありませんか。この団総会でもその先頭に国会議員団が立つということをお互いに誓い合って閉会にあたってのごあいさつとさせていただきます。(拍手)