2003年2月8日(土)「しんぶん赤旗」

一気に6倍近い値上げ

患者の痛み わからぬ首相

在宅酸素療法患者の見た志位質問


 去年十月からの高齢者医療費の負担増で、「在宅酸素療法という治療が危機にひんしている。酸素がなければ生活の質が大幅に低下するばかりか、命を縮めてしまう」。小泉首相に迫る日本共産党の志位和夫委員長。七日行われた衆議院予算総括質問をテレビでみた在宅酸素療法の患者の思いは−−。


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在宅酸素のパイプを鼻につけ志位委員長の質問をテレビでみる加藤さん=7日、横浜市

 夫婦で年金暮らしをする横浜市の加藤安雄さん(74)と正子さん(65)。安雄さんは「患者や中小企業、失業者の痛みが小泉首相はまったくわかっていない」と怒ります。

 肺結核で左の肺はほとんど機能しません。右の肺も衰え、肺活量は健常者の四分の一。四年前から在宅酸素療法をするように。高齢になってスタミナもなくなって在宅酸素の助けを借りています。「自己負担は高額だろうと心配したけど、予想より軽くて良かったと、当時は思ったものです」

 ところが、去年十月から、それまで月千七百円だった自己負担が九千五百円に。一気に六倍近い値上げです。それに月二回の通院に片道千六十円のタクシー代がかかります。介護保険料が月に夫婦で八千八百円、国民健康保険料は一万九千二百円。

 「志位さんのいうとおり肺の機能が低下すると食欲がなくなり睡眠も短くなり衰弱します。その延長上に死がある。在宅酸素をやめることがどんなに深刻な問題か。小泉首相は志位さんの質問をはぐらかして答弁しない。まったくけしからんですね」と安雄さん。

 福祉関係で働いてきた正子さんは、「さまざまな事情で低所得になった人がいます。そういう人の暮らしと命をまもるのが福祉であり、医療制度のはず。それに逆行する小泉政治には本当に腹がたつ」。

 安雄さんは、「小泉首相は社会保障制度を維持するため、負担増は仕方ないという。しかし、税金の使いかたを変えればいいんです。ムダな公共事業や軍事費を削ればいい。健保の三割の凍結法案や老人医療費の負担軽減で、他の野党も政府を追及しているようです。この方向でやってほしいですね」といいます。


百万の味方得た

 NPO法人「日本呼吸器障害者情報センター」副理事長の遠山雄二さん(74)の話

 志位委員長の今日の質問は、私たち在宅患者にとって、百万の味方を得たようで感謝しています。在宅酸素療法を受けている患者の多くは、少ない年金で生計を立てています。昨年の医療費自己負担の定率制への値上げによって、医療費がとても高くなり、払えない人が増えています。治療を中止して酸素が吸えず、苦しくて、死んだほうがましと訴える人もいます。事実、自殺する人がどんどん増えているのです。自民党や厚生労働省は実情をよく調べてください。

 遠山さん自身も、在宅酸素療法を受け、六年目を迎えています。


傍聴席にも怒り

 「ちゃんと質問に答えろ」「命にかかわることだぞ」。七日の衆院予算委員会での志位和夫委員長の質問で、傍聴席はしばしばざわめきに包まれました。

 神奈川県の関春治さん(63)は、「年金生活だが、実際の国民の生活は念頭にないのだなと痛感した。人命にかかわる問題について問われているのにまともに答えようとしない。この内閣は破たんしてますよ」。

 緊迫するイラク問題についても、「査察の継続、強化」を言わない小泉首相。

 「傍聴は初めて」という神奈川・藤沢市の男性(68)は、「志位さんの質問は筋道が通っていた。なのに小泉さんは、アメリカについて絶対に何も言わない。日本はアメリカの州のひとつなのかと思いましたね。意見を言えないなんて、主権国家じゃない」。

 志位委員長の地元である千葉市の国分玄一さん(73)は、「政治とカネの問題では、最近の長崎の例をあげて、自民党の病巣を明らかにしたと思う。地方選挙が近いですが、共産党が勝たないとだめだ」と語りました。