2003年4月5日(土)「しんぶん赤旗」

平和・暮らし・地方政治

政党の値打ち 丸ごと問われる選挙

道府県議・政令市議選が告示

日本共産党の躍進で新しい政治の流れ大きくs

埼玉、大阪で 志位委員長が訴え


 茨城、東京、沖縄を除く四十四道府県議選と、北九州を除く十二政令市議選が四日、告示されました。東京では、都議補欠選挙(大田区)と同再選挙(文京区)がおこなわれます。投票日は、十都道県知事選、札幌市長選と同じく十三日です。日本共産党は都道府県議選で、三百九十四人(推薦含む)、政令市議選で百七十一人の候補者が力強く第一声をあげました。米英軍の無法なイラク攻撃が激化するなか、平和でも暮らしでも、地方政治の問題でも、国民とともにたたかい、政党に求められる本来の役割を発揮する日本共産党の値打ちを訴えました。志位和夫委員長が埼玉、大阪で、市田忠義書記局長が京都、愛知で訴えたのをはじめ、党幹部、国会議員が日本共産党の躍進を全力で呼びかけました。


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県議選・政令市議選での志位委員長の訴えを聞く人たち

 政令指定都市になって初の県議・市議選が行われる、さいたま市のJR浦和駅西口前で第一声をあげた志位委員長は、千六百人の聴衆を前に今回の選挙戦について、「世界と日本の大激動のなかでたたかわれ、政党の値打ちが丸ごと問われる選挙です」と意義づけ、平和、暮らし、地方政治の三つの問題で明りょうとなっている争点を訴えました。

 第一の争点は、「平和の党を選ぶのか、戦争の党を選ぶのか」ということです。

 「イラク戦争で犠牲とされているものは何か」と語りかけた志位氏は、それは、罪なき市民が米英軍の攻撃で命を落としていることであり、国連憲章の平和ルールがふみにじられていることだ、と指摘。クラスター爆弾や劣化ウラン弾などの残虐兵器が使われ、米英の研究者の集計によるイラクの民間人死亡者は、すでに少なく見積もっても五百七十四人、多くて七百三十三人にのぼること、「この戦争を許せば、ことはイラクだけにとどまらず、米国が世界中のどこでも気に入らない政権を転覆し、米国流の価値観と政治システムを力ずくで押しつける、恐怖と無法の世界となってしまう」とし、「平和のためにともにたちあがりましょう」と訴えました。

 この無法性、非人道性をいっそうあらわにしたイラク戦争に、小泉首相、自民党、公明党などがただちに「戦争支持」を打ち出したばかりでなく、米国いいなりの立場で、反戦平和の世論を敵視していると糾弾。

 日本共産党は、各国政府と「戦争反対」で合意を築く野党外交を展開し、自主独立の党として米国に堂々とものが言える唯一の政党だと力説し、「党をつくって八十一年間、反戦平和を貫いてきた筋金入りの平和の党が日本共産党です。平和の希望、未来への希望をたくしてください」と訴えました。

 第二の争点は、「国民の命と暮らしを守る党か、これを破壊する党か」の選択です。

 小泉内閣、自民・公明は、今年から来年にかけて、医療、介護、年金など国民のあらゆる分野で四・四兆円もの負担増を押しつける“国民の暮らし破壊の勢力”とのべ、(1)医療費の値上げが国民の命と健康を危険にさらす(2)巨額負担増が家計を破壊し、日本経済を破たんに導くものだ、と告発しました。

 イラク戦争の懸念で外需(輸出)の見通しは悪化。内需が重要となっていますが、その六割を占める家計消費といえば、リストラと倒産、失業で「昨年に比べ平均5%の所得減。年収四百万円の人は二十万円減っている。ここに四兆円の負担増をかぶせたらどうなるかは火を見るよりも明らかだ」とのべ、小泉内閣、自民・公明に日本経済のかじ取りの資格はないことを訴えました。

 サミット諸国のなかで税金に占める社会保障支出割合が極端に低い日本の「逆立ち」財政を転換すれば、増税なしに社会保障の充実ができると強調。医療費値上げ凍結は国民的世論になり、地方議会で意見書や決議があがるなか、どこでも反対しているのが公明党だとのべ、「『福祉の党』の看板も外したらどうか。『福祉切り捨ての党』がよくにあう。こういう勢力に負けられません。暮らしの願いをこぞって日本共産党にお寄せください」と訴え、大きな拍手に包まれました。

 第三の争点として志位氏は、「『福祉と暮らしを守る』という地方政治の命を守りぬく党か、これを破壊する党か」と訴えました。

 国が悪い政治を押しつけている時だけに、本来なら地方政治の出番です。ところが、全国の多くの自治体では、共産党以外の「オール与党」によって、肝心の福祉の仕事が投げ捨てられ、「開発会社」のような仕事に熱中する「逆立ち」政治が行われ、四十七都道府県のうち、三十四が「オール与党」議会となっています。

 志位氏は、「埼玉でも土屋自民党県政と『オール与党』によって『逆立ち』政治が行われている」ことを介護、医療、教育、巨大開発の各分野で詳しく明らかにしました。

 このなかで、特別養護老人ホームの待機者が五千八百人と介護保険が導入されてから三年間で急増していることを告発。県内の介護施設整備は国の基準すら下回り、保険料・利用料が高く在宅でも支えきれなくなっている実態をただす必要があると訴え、「施設整備に本腰を入れてとりくみ、保険料・利用料の減免にとりくんでいる市町村の努力を応援することこそ県政の務めではないか」とのべました。

 志位氏はさらに、革新県政時代につくった六十八・六十九歳のお年寄りへの県独自の医療費助成制度の廃止や、県立高校つぶしを計画し、浪費が浪費をよぶ「新都心」づくりに熱中するのでなく、福祉・医療・教育に税金を使うべきだと訴えました。

 前回七議席から十議席、その後の補選で十一議席へと県議会第二党に躍進した日本共産党県議団が、県民の運動と結んだ建設的提案で、中小企業振興基本条例の制定、少人数(三十八人)学級の実現など県政を動かしてきた実績を紹介。

 「この力を大きくしてください。世界でも史上空前の反戦運動が広がり、日本でも幅広い国民的な暮らしを守れの声が広がっています。地方政治でも徳島、長野、高知など新しい希望ある変化がおこっています。二十一世紀を希望に満ちた世紀にするその第一歩の選挙にしようではありませんか」と訴え、大きな拍手に包まれました。

 自民党員だったという、さいたま市の石塚与平さん(68)は「まったく志位さんの話のとおりだ。医療費は上がるし、年金はカットされる。埼玉にはこれ以上『新都心』はいらない。自民党に政治を任せていたら、大変なことになる。陰ながら支援していたが、今回は公然と共産党を応援するつもりです。ぜひ、がんばってほしい」と語り、拍手を送っていました。