2003年4月10日(木)「しんぶん赤旗」

池袋駅東口での 志位委員長の演説 (要旨)


「東京燃ゆ」の力で、平和と福祉花さかせる
若林氏の勝利を

 日本共産党の志位和夫委員長が八日、東京・JR池袋駅東口で行った街頭演説(要旨)を紹介します。

 みなさん、こんばんは。

 選挙戦は最終盤に入りましたが、この選挙のお訴えのなかで、若林さんの政策と公約、人物を知っていただけば、期待と支持がどんどん広がる、これが私どもの手ごたえです。私たちは、最後まで力をつくします。みなさんのお力で、若林義春さんをどうか都知事に押し上げてください。よろしくお願いします。(拍手、「がんばろう」の声)

 志位氏は、「告示後の論戦を通じて、都民の願いを託せる候補は、ただ一人若林さんであることは明りょうになりました。論戦で、白黒がハッキリついたと思います。三つの大事な争点が浮きぼりになってきました」とのべ、「第一の争点は、平和の知事を選ぶのか、戦争賛成の知事を選ぶのかということです」と強調。イラク戦争の無法性と非人道性を厳しく指弾して、次のようにのべました。

最悪の理由で米のイラク攻撃支持 戦争賛成知事はおひきとりを

 三人の知事選の有力候補のなかで、「イラク戦争反対」と堂々と主張しているのは、日本共産党の若林義春さんだけです。「罪なき人々を殺すな」「世界の平和のルールを守れ」――この声をこぞって若林義春さんに託してください。(大きな拍手、「そうだ」という声)

 石原知事は、イラク戦争賛成の態度を、若林さんから厳しく批判されて、「戦争に賛成するバカはいない」と言ったそうです。しかし、この人が「アメリカの行動を容認すべきだ」「イラク淘汰(とうた)は間違った戦略ではない」と言い、戦争が始まった後は「米国に法的根拠、合理性がある」と言い、戦争賛成の発言を行った事実を消すことはできません。(拍手)

 私はもう一つ、事実を付け加えて告発したい。戦争が始まった後の三月二十四日付の米紙ワシントン・ポストで、石原知事のインタビューにもとづく記事が掲載され、こうのべています。「彼(石原氏)は米国のイラク攻撃を支持している。なぜなら『世界がイラクをいかに扱うかによって、北朝鮮の行動が変わるだろうからだ。彼らは同じ運命に直面していることを悟るだろう』」

 みなさん、ここには、イラク戦争を支持するだけでなく、その支持の「最悪の理由」がのべられていると思います。つまり、イラクのフセイン政権をつぶせば、北朝鮮も戦争の恐怖で威嚇することができる。このことがはっきりとのべられているではありませんか。

 北朝鮮問題で、戦争による解決を望んでいる方はだれもいないと思います。日本国民も、アジアも、世界も、平和的、外交的な手段での解決をみんな望んでいると思います。絶対に武力の行使や武力の威嚇に訴えてはならない問題です。それを平然と口にし、イラク戦争の支持の理由にする人物には、憲法九条をもつ国の首都の知事の資格はないと、私は申し上げたいと思います。

 戦争知事にはおひきとり願いましょう。若林義春さんへの一票こそ、みなさんの平和への願いをいかす確かな一票です。どうか、その願いを託してください。心からお願いします。(大きな拍手)

 志位氏は、「第二の争点は、暮らしを痛めつける国の悪政に、どういう態度をとるのかにある」とのべ、「東京から日本を変える」「国とたたかうかどうかが対立軸だ」などと、あたかも自分が政府とたたかっているかのようにふる舞っている石原知事が、実際にはどういう態度をとっているかと問いかけました。

 志位氏は、中小企業つぶしと国民負担増をおしつける小泉内閣の「構造改革」について、新聞の候補者アンケートで「支持しますか」と問われて、「支持しない」と答えたのは若林候補だけ、石原候補は「どちらとも言えない」、女性の評論家の候補は「ある程度評価する」という回答だったことをあげて、「肝心かなめの問題で、『国とたたかう』どころか、『国いいなり』の態度がはっきりしている」として、次のようにのべました。

医療費値上げ 肝心かなめの問題で 「国いいなり」 の石原氏では、 暮らしは守れない

 とくに、医療費の値上げの問題は深刻です。お年寄りの医療費値上げに続いて、この四月から、サラリーマンのみなさんの健保自己負担が三割に引き上げられました。私は、医療保険として、三割負担は限度をこえた重さだと思います。保険というのは、いざという時のために、高い保険料を払っていらっしゃるわけです。ところが、病気になったら、三割の負担が重すぎて医者にかかれない。これでは、何のための保険ということになる。小泉首相のいうように、健保が二割で、国保が三割だから、健保を三割にあげて格差をあわせるというのではなく、国保を二割に下げて、格差をあわせるのが政治の責任だと訴えたいのであります。(拍手)

 この問題で、石原知事の態度は情けない。都議会で日本共産党議員団が知事を追及しました。「国に対して物申すというなら、医療費値上げ中止をせまれ」と言ったのに対して、知事は「国民に適正な負担を求めたものと理解しております」と、まったくの官僚答弁です。「国とたたかう」どころか、みなさんの命を守るという問題で、「国いいなり」の態度ではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

 若林さんは、「『値上げされた医療費をもとにもどせ』と国に対して堂々と主張する」と訴えました。頼もしいかぎりです。若林さんが、知事としてそれを国に対して要求したら、まさに東京から日本の政治を動かす力となることは間違いありません。こういう知事こそ求められているのではないでしょうか。(拍手)

 志位氏は、第三の争点として、「『都民の福祉と暮らしを守る』という地方自治体の根本を何よりも大切にするのか、それとも投げ捨てるのか」をあげ、福祉への態度で、石原都政の福祉切り捨てを批判する若林氏に対して、石原候補が「バカの一つおぼえみたいに反対しかしない」と悪ばを放つだけで、反論も、弁明すらできずにいる事実をあげ、「このような人物には、地方自治体の首長になる資格はない。若林義春さんで、福祉の花開く東京を、つくろうではありませんか」と訴えました。

 教育への態度では、公約で「三十人学級の導入」を掲げている唯一の候補が若林氏であり、石原氏が都議会で「児童生徒が社会性を養うための生活集団として、一定規模が必要であり、引き続き四十人学級とする」と答弁した事実をあげて、「教育の切実な要求までこういう言葉で敵視する姿勢は許せない。教育の願いを、子どもを大事にしようという願いを本当に生かせる一票は若林さんへの一票です」とのべました。

 さらに、巨大開発に対する態度で、「自治体が福祉や教育のための仕事をまじめにしようとすれば、巨大開発の無駄遣いにメスを入れる勇気が必要です」と強調。新聞の候補者アンケートで「知事になれば公共事業を削減しますか」という問いに、「削減する」ときっぱり答えたのは若林氏だけだったことをあげて、「福祉への態度、教育への態度、巨大開発への態度の三つの問題で、どれも都民のみなさんの願いにこたえる政策を示しているのは、若林さんだけではないでしょうか」とのべたのに続き、次のように訴えました。

都民いじめからまともな都政へ 石原都政と 「オール与党」 に立ち向かってきた日本共産党だからこそ

 「若林さんだけ」というのには理由があります。石原都政の都民いじめの政治は、事実上の「オール与党」、自民、公明だけではなく、民主やネットと二人三脚で推進してきた。その悪い政治に正面から対決をつらぬいたのは日本共産党だけで、その東京都の責任者が若林さんだからです。

 女性評論家の方が出ていますが、都政をめぐる三つの問題のどの問題でも、石原都政を変える立場を示せません。それどころか、お年寄りの福祉手当を目の敵にしてきた。保育所の民営化の旗ふりをしてきた。それに加えて、政府の審議会では、外形標準課税の旗ふりまでしてきました。外形標準課税というのは、中小企業のみなさんにとっては、第二の消費税と同じです。赤字の中小企業にも全部かぶさってきます。人件費にもかけられます。この不景気のなかで、雇用を維持している中小企業に、こんな税をかぶせたら、まさに雇用破壊税になるではありませんか。私は、この方には都政を変えたいという願いを託すわけにはいかないと思います。

 みなさん、若林義春さんへの一票こそ、みなさんの平和の願い、暮らしの願い、まともな都政への願いを生かすことのできる確かな一票です。

 あと五日間、「東京燃ゆ」という状況をつくり、春をよぶ勝利をかちとり、福祉の花を咲かせようではありませんか。絶大なるご支持を広げていただくことをお願いして、訴えにかえさせていただきます。(大きな拍手、「がんばろう」の声)