2003年10月18日(土)「しんぶん赤旗」

世界の流れに逆行するイラク派兵

計画をただちに中止せよ

志位委員長が記者会見

名古屋


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記者会見する志位和夫委員長=17日、名古屋市

 日本共産党の志位和夫委員長は十七日午後、演説会で訪れた名古屋市内で記者会見し、国連安保理でイラク新決議一五一一が採択されたことについて次のようにのべました。

 一、小泉首相は、日米首脳会談で、イラクへの自衛隊派兵の表明をすると報じられている。防衛庁・自衛隊は、派兵の準備にすでに着手している。

 しかし、イラク派兵法が建前としている「戦闘地域には行かない」にてらしても、イラクの状況は、とうてい派兵を許すようなものではない。米英軍への攻撃が激化するとともに、攻撃の対象は国連などにも拡大している。状況の悪化のため、一時期六百人以上いた国連の外国人スタッフが撤退を余儀なくされ、いまは三十人以下にまで減っている。

 この根本には、戦争が無法であったこと、そのうえに不法な占領支配をつづけていることへのイラク国民の憎しみと怒りの広がりがある。そのことは、アナン国連事務総長も、「占領がつづくかぎり、抵抗は広がる」と警告していることである。

 こうした泥沼化したイラクに、自衛隊を送りこむことは、日本もまたイラク国民の憎悪と攻撃の対象とされることになる。この計画の中止を強くもとめる。

 一、イラクの復興問題にたいする国際的な対立の構図は、きわめて明りょうである。

 第一は、だれが復興支援を主導し、どういう枠組みのなかで支援をおこなうのかという問題──国連中心の復興支援か、米英軍主導の占領支配かという問題である。

 第二は、占領終結の見通しと段取りの問題──イラク国民による国づくりへの早期の移行か、それとも占領行政の継続・固定化かという問題である。

 この対立で、前者の立場に圧倒的多数の諸国がたち、後者の立場にたっているのはアメリカなど一握りの国々である。

 イラクに関する国連安保理の新決議一五一一も、こうした対立のなかでの産物である。そこには国連の役割や、イラク国民への主権返還などで、一定の前進もみられる。同時に、米英軍主導の枠組みの基本を変えるにはいたっていない。

 だから、フランス、ドイツ、ロシアは、決議案採択にさいして、共同声明を発表し、決議案を「正しい方向への一歩」として支持しながら、「国連の役割」「イラク国民への責任移譲」の二つの点で問題があったとして、軍隊も、資金拠出もおこなわないという態度を明確にしている。中国政府も同様の立場の表明をおこなった。これが世界の多数の国のとっている態度であり、世界の流れである。

 一、日本政府は、どういう枠組みで復興支援をおこなうべきかについて、何らの道理ある立場もしめさず、ただ米国の要求につきしたがって、米英軍の占領支配を支援するための派兵と資金拠出につきすすもうとしている。この恥ずべきアメリカいいなりの姿勢こそただすべきである。