2003年10月19日(日)「しんぶん赤旗」

三つどもえ争点はっきり

財界主役から暮らし応援
米国いいなりをたちきる
消費税増税、憲法改悪阻む

参院埼玉補選 志位委員長があべ候補応援


 総選挙に先立つ全国唯一の国政選挙、参院埼玉補選(二十六日投票、定数一)をたたかう埼玉に日本共産党の志位和夫委員長が十八日、駆けつけました。小泉首相も同日、県内三カ所で演説、民主党も十九日に菅直人代表を投入するなど、自民、民主と三つどもえの総力戦。越谷市での志位委員長の街頭演説には、千人を超す聴衆が足を止めました。

 志位氏は埼玉の参院補選について、「三つの政党、三つの流れのたたかいです。自民党、民主党、日本共産党−どの党が伸びれば政治は変わるのか、争点はすでにはっきり見えてきました」とのべ、三つの大きな争点を解明しました。

 第一の争点−財界主役の政治から国民の暮らしを応援する政治への改革を訴えているのは日本共産党のあべ候補だけです。志位氏は(1)税金の使い道をかえて、社会保障を予算の主役にすえる(2)暮らしを守るルールある経済社会をつくる−という二つの改革を提案しました。

 そのうち雇用の確保を強調したなかで、「産業活力再生法」で人減らしを進める大企業が減税措置を受けていると告発。「この法律を推進したのが自民党、その改悪に賛成したのが民主党です。人減らしを応援する勢力に国民の暮らしを託せないのは明らかではありませんか」と力をこめ、大きな拍手を受けました。

 第二の争点−米国いいなりを断ち切り、その根っこにある日米安保条約をなくして、ほんとうの独立国をつくることを訴えているのも、あべ候補だけです。

 志位氏は十七日の日米首脳会談で小泉首相が「やるべきことはきちんとやる」とのべ、米軍のイラク占領支配への資金提供と自衛隊派兵を約束したことを批判。国連安保理のイラク新決議をめぐって、同決議に賛成のフランス、ドイツ、ロシア、中国さえ、米軍主導の枠組みのままでは、軍隊も金も出さないと表明したことと対比し、「それが世界ではあたりまえです」と強調しました。

 そして民主党が新決議を受けて「様子をみて判断する」とのべていること、同党のマニフェストに「自衛隊の活用をふくめた支援を行う」とあることを指摘し、「イラク派兵問題でも、平和と憲法の道理にたって自衛隊派兵反対を貫き、国連中心の枠組みをつくり、そのもとでの人道支援を主張しているのは、日本共産党のあべさんしかいません」と力をこめました。

 第三の争点−消費税大増税と憲法改悪の二つの大悪政への態度でも、反対しているのはあべ候補だけです。

 志位氏は消費税増税について、「政権公約」や幹部の発言などを紹介し、「自民党と民主党が税率引き上げの競争をやっている」と指摘。「社会保障の財源に消費税をあてるのは邪道中の邪道です」として、当面は予算の無駄を削って社会保障のために十兆円の財源を確保し、将来は大企業や高額所得者に応分の負担を求めるという日本共産党の提案を説明。「わが党はこういうしっかりとした提案をもっています。安心して増税反対の声をあげようではありませんか」と呼びかけると、大きな拍手がわき起こりました。

 憲法改悪をめぐっても、自民党と民主党が改憲を競い合っていることを批判。「悪い政治の競い合いのなかから新しい政治、希望ある未来は生まれません。消費税増税と憲法改悪という大悪政に対して、国民の立場で堂々とたちはだかる『野党らしい野党』−日本共産党こそ求められています」と強調しました。

 最後に志位氏は今回の選挙戦の特徴として、この三つの争点では自民党と民主党が同じレールを走っていること、その背景に財界のくわだてがあることを告発しました。

 小泉首相が日本経団連からの献金を「喜んで受け取る」と表明したこと、民主党も経団連に献金を求めていること、民主党と自由党の合併の“仲人”が財界人だったことを紹介。「財界が保守二大政党をつくり、自分たちに都合のいい政治を国民に押し付けようという作戦です」と指摘。「財界による政界買収・支配のたくらみを許してはなりません。財界からの献金をびた一文受け取らない清潔な党、ほんとうの改革の党、悪政に反対を貫く『野党らしい野党』−日本共産党を勝利させてこそ、日本の政治を変えることができます」と力をこめ、あべ幸代候補への支持を呼びかけました。 あべ幸代参院候補=前=は、県内で十万五千人にのぼる深刻な青年失業問題にふれ、「青年の雇用を促進する国の制度をつくります。再び私を国会に」と呼びかけました。森原公敏衆院北関東ブロック比例代表候補は「アメリカいいなりの政治を変えるために全力をつくす」と訴えました。

 就職活動の帰りという大学四年の春日部市の男性(21)は「三十社ほど面接を受けましたが、まだ就職先が決まりません。フリーターにはなりたくない。あべさんや志位さんの言っていた雇用問題、解決してほしい」と話していました。