2003年11月1日(土)「しんぶん赤旗」

紙上再現――日本共産党の政見放送

志位委員長のトーク&トーク/21世紀にどんな日本をつくるのか


 日本共産党の政見放送が反響をよんでいます。テレビ「志位委員長のトーク&トーク〜21世紀にどんな日本をつくるのか」(小選挙区用)の大要を紹介します。

2つの改革を提案

 日本共産党の志位和夫です。

 二十一世紀の日本の進路を問う選挙戦がはじまりました。

 いま多くの国民のみなさんが感じている、くらしや平和の不安をどうやってとりのぞき、将来に安心の持てる日本を築くのか。私たち日本共産党は、二つの改革の提案をしています。

 第一は、財界に奉仕する政治から、国民のくらしを応援する政治への改革です。税金の使い道をただして、社会保障を予算の主役にすえ、将来に安心の持てる年金、医療、介護の制度をきずきます。リストラの横暴をやめさせて、長時間労働やサービス残業をただし、安定した雇用をふやします。

 第二は、アメリカいいなりを断ち切る改革です。いまからでもイラクへの派兵は中止すべきです。そして二十一世紀は日米安保条約をなくして、米軍基地のない、ほんとうの独立国といえる平和日本をつくります。

 自民党と財界がすすめている二つの大悪政、消費税の大増税と憲法の改悪を許さないことも今度の選挙の大争点です。二十一世紀の日本を真っ暗闇にしてしまうこの計画をくいとめるため、力を尽くします。

年金・医療・介護

 年金生活の女性(東京) 医療費も上がり、値上げされまして、年金の引き下げなども言われており、安心して暮らすことのできる福祉が、できるのでしょうか。

 志位 税金の使い道を変えれば道はひらけます。日本の場合国民のおさめた税金のうち、社会保障にあてられているのは、29%。欧米を見ますと四十数%と半分近くが社会保障にあてられているのにくらべますと、とても少ないですね、日本は。(グラフ)

 税金の使い道をかえて欧米なみにすれば、新たな負担がなくても社会保障のための財源が十兆円以上はつくれるんです。そうしましたら、年金でも医療でも介護でも明るい展望がひらけてきますね。(女性「そうですねー」)

 もちろんそのためには無駄づかいをやめることが必要です。巨大開発の公共事業とか軍事費、これは思い切って削る、そしてほんとに社会保障を予算の主役にすえる、そういう改革が必要です。

サービス残業

 自動車メーカー勤務の男性(神奈川) とくに、サービス残業ですけれども、何十年も放置されているんですね。

 志位 残業が法律で規制されていない、ただ働きが横行しているというのは、欧米では考えられないことです。財界の横暴を抑えて、くらしと権利を守るルールをつくることが必要ですね。特にサービス残業を一掃することは待ったなし。この無法を一掃しただけで百六十万人の雇用を増やすことができます。私たち共産党は国会で二百回以上の質問を行って、(この二年半で)百五十億円を超える未払い残業代を支払わせることができましたが、これは(サービス残業の)根絶まで、一緒にがんばりたいと思います。

若者の仕事

 フリーターの男性(宮崎) 働こうと思っても仕事がない状態。将来が不安で不安で、自分自身が情けなくなります。

 志位 これは、政治の責任なんです。この六年間で、中小企業は若い正社員を三万人増やしているんですが、大企業は百八万人も減らして、パートや、アルバイトに置き換えている、この動きを応援しているのが自民党の政治です。

 私は、若者を使い捨てにするような企業や政治には未来はないと思う。若い方がたが、夢と希望をもって働ける場を保障せよ、このことを政府や大企業に強く求めていきます。

農業の再建

 農業従事の女性(茨城) いまの政治が農業にたいして冷たいのには、ほんとうに腹が立っています。

 志位 ほんとうにそうですね。日本の食料自給率は40%まで下がってしまいました。コメまで輸入自由化をすすめて、農業の破壊を続けてきた、自民党にはもう農政をあずかる資格はないと思います。

 農業を国の産業の土台としてしっかり位置づけて、自給率を計画的に向上させる。そのためには、とめどもない輸入自由化をおさえること、農産物の価格保障制度を再建すること、家族経営を応援すること。こういう政治が必要です。

消費税増税

 団体職員の男性(兵庫) 消費税が心配です。小泉首相は、「上げない」って言ってたみたいですけど。

 志位 自民党の政権公約をみますと、「消費税率引き上げについても国民的論議を行い、結論を得る」とはっきり書いてあります。これは事実上の増税宣言です。

 テレビでの私との討論でも小泉さんは、「消費税は上げざるをえない状況になる」とはっきり増税の本音をいいました。財界は、税率18%などと増税の大合唱をやってます。反対の声をいっしょにあげましょう。

福祉の財源

 看護師の女性(大分) 消費税増税はいやなんですけど、社会保障のためっていわれると……。

 志位 うん、そもそも社会保障というのは、立場が弱い方々のくらしを支えるためのものでしょ? その財源を立場が弱い方々に重くのしかかる消費税に求めると

いうのは、まったくの邪道ではないでしょうか。

 社会保障の財源は、税金の使い道を変えればちゃんとつくれます。先々、あたらしい財源が必要になったときには、所得の少ない人には少なく、多い人には多く、生活費には税金をかけない。この民主的原則にもとづいて、高額所得者や大企業に応分の負担を求めるべきだと考えています。

イラク派兵

 フリーターの女性(大阪) イラクに自衛隊を派兵する、という問題を、日本としてどうしていったらいいのか?

 志位 イラクの現状は米英軍などへの攻撃が激しくなって、泥沼化がたいへん深刻です。その根本は、米英による戦争が無法だった、そのうえに、不法な占領支配をやっている、というところにあります。その占領を応援するために自衛隊が行けば、日本も憎しみと怒りの的になって、たいへんな事態になります。

 イラクの派兵は中止すべきです。そして、国連中心の復興支援の枠組みをつくって、日本は非軍事の方法で、人道支援をすべきです。

憲法9条

 年金生活の男性(神奈川) 憲法がいま、ひじょうにあぶない状態になってきており、とても心配です。

 志位 自民党は「政権公約」で、「二〇〇五年、憲法改正に大きく踏みだします」と宣言しています。なぜ、憲法九条をこんなに目の敵にするかといいますと、アメリカが地球的な規模でおこなう戦争に、自衛隊が何の歯止めもなく参戦できる仕組みをつくるためです。

 かつて日本軍国主義の侵略戦争の被害をうけたアジアの国々にとっては、憲法九条というのは、二度と再び、ああいう不幸なことは起こさない証しとして、とても大切に考えられています。この改悪はどんなことがあっても許すわけにはいきません。

日米安保

 介護福祉士の女性(沖縄) 安保条約がなくなると、日本は孤立するっていわれますけど…。

 志位 うーん、アジアを見てください。北朝鮮との関係をかかえている韓国を除けば、アメリカの軍事基地をおき、軍事同盟を結んでいるのは日本しかありません。東南アジア、ASEANの国々では、平和友好の条約を結んできましたけれども、最近これに、中国とインドが参加して、非同盟・中立・平和の大きな流れが広がっています。(地図)

 二十一世紀の日本が、日米安保条約をなくして、アメリカとの関係では対等・平等の友好条約を結ぶ。そして、アジアで起こっている、この平和の流れに参加する。これは一番、未来のある道だと思います。

◇ 志位 自民党政治をおおもとから変えるほんとうの変革の党、国民の利益に背く悪い政治にはきっぱり対決する「野党らしい野党」、日本共産党への大きなご支持をよろしくお願いいたします。

メールで電話で 反響

「見て」と運動するといい 党本部に寄せられた感想から

 「政見放送を見ました。今までの選挙の中でも見てきましたが、一番感激≠オました。時間が十分のようにも感じました。内容がうまくまとまっていたからでしょうか。見た途端に引きつけられました」(メールでの感想)

 「政見放送を見ました。すごくいいと思います。共産党の政見放送は何種類あるんですか。『政見放送を見てくれ』という運動をされるとよいと思います。ぼくらが『共産党に投票してください』と話してもなかなかうまく話せない。これだけの政見放送があるのであれば、『政見放送を見てください』というだけでも、大きな効果がある」(電話、中年男性)

 「共産党はわかりやすいですね。それに引き換え自民党の放送はひどい。現在の不況、いろいろな問題については全く無責任で、自分たちのせいではないといっているようでした。民主党もなんだか信用できません。『つよい日本』って誰が求めているんでしょうか? 国民は『やさしい日本』を求めていると思います」(メールでの感想、男性/北海道)

 「政見放送を見たが、他党とくらべてすごくよかった。音楽や明るい声ではじまるところもいい。市民の方々が出て、『助かった』など実感がつたわってくる」(電話、中年女性/東京)

平和の流れ 初めて知った

 東京・港区の「日本共産党といっしょに日本をかえるネットワーク」の青年たちは、みんなで政見放送を見ました。

 「志位委員長のトーク&トーク」について、会社でケーキを作っている大城奈々子さん(26)は「みんな同じような疑問をもっているんですね。消費税も社会保障に使うのなら仕方がないと思っちゃうけど、そうじゃないということがよくわかった」「なんて答えるか、同じ質問を他党にしてみたい」と目を輝かせます。

 印刷会社に勤める佐々木祐恵さん(26)が「ASEANや中国、インドなどアジアで平和の流れができているというのは初めて知った。日本も日米安保より、そっちに加わった方がいいと思った」と言うと、大城さんも「私も初めて知った」とうなずきます。

 フリーターの斎木玲さん(26)は「仕事を探しているのにまだ決まらない。雇用の問題をなんとかしてほしい。(政見放送は)すごく共感しました」と言って、日本共産党への期待を語り始めると止まりませんでした。

 いっしょに見たドキュメント風の「国民が主人公」の政見放送も、「サービス残業代を企業に払わせたのがすごい」「チュニジアにもよばれるなんてすごい」と、「すごい」「すごい」の連発でした。