2004年2月14日(土)「しんぶん赤旗」

2・13大集会での志位委員長の発言(大要)


 十三日夜、東京・明治公園で開かれた「守ろう! 平和といのち 2・13大集会」で、日本共産党の志位和夫委員長が行った発言(大要)を紹介します。

国民への説明もなし、国民の声を聞く姿勢もなし――これは首相失格

 日本共産党を代表して、心からの連帯のあいさつをおくります。小泉内閣は、国民の多くの反対の声をふみつけにし、憲法をふみつけにして、自衛隊のイラクへの派兵を強行しました。

 私が、まずきびしく批判したいのは、戦後はじめて戦争状態にある他国に、武装した自衛隊を派兵する――日本の歴史を大きく変える道にふみだしながら、小泉首相には、国民への説明責任をはたそうという姿勢がまったくないことです。国会での答弁が苦しくなって、小泉首相の口からきまって出てくるのは、「あなたとは立場が違う」という言葉です。しかし、立場が違うからこそ議論をつくすべきが国会ではありませんか。(拍手)

 さらに小泉首相には国民の声をまともに聞く姿勢もありません。宮崎県の高校生が、「武力によらないイラク復興支援」をもとめ、五千三百人分の署名を集めて、はるばる東京まで請願にいきました。ところが首相は、その感想を問われて、「読んでいない」としたうえで、「国際政治、複雑だという点を、先生は生徒に教えるべきだ」と、頭から否定する発言をしました。これは許せません。高校生が書いた請願署名を読むと、小泉首相よりもはるかに幅広い国際政治への視野をもって、自分の言葉で平和の思いをつづっています。未来を担う世代が真剣な思いで請願をよせてきたら、その中身がたとえ自分とは立場が違っても、それを正面から受け止め、その努力と勇気を認めることこそ、一国の首相のとるべき態度ではありませんか(「そうだ」の声、拍手)。高校生には請願を行う権利がないかのような発言をしてはばからない。私は、この一つをとっても首相失格だと思うのであります。(「そうだ」の声、拍手)

深刻な矛盾が、いよいよ広がらざるをえない

 こういうやり方で派兵を強行して、この先がどうなるでしょうか。「派兵という既成事実をつくれば何とかなる」と考えていたらとんでもない。私は、三つの深刻な矛盾が、今後広がらざるをえないと思います。

 第一は、世界の平和のルールとの矛盾です。米英がイラク戦争の最大の「大義」とした大量破壊兵器が見つからない。それどころか米国の調査チームを率いていたデビッド・ケイ団長が、「もともと保有していなかった」と証言しました。この証言は衝撃をあたえ、とうとう八日のNBCテレビで、ブッシュ大統領本人も、「『フセイン政権が大量破壊兵器を保有している』といったのは明らかに事実ではなかった」との問いに、「そのとおりだ」と認めました。嘘(うそ)が戦争のはじまりだった。この戦争で殺されたイラクの罪なき民間人は一万人をこえています。ブッシュ大統領と小泉首相はこの責任をどうとるのでしょうか。イラク戦争には「大義」などなかった。国連憲章をふみにじった侵略戦争でありました。その戦争が占領という形でつづいているイラクに自衛隊を派兵することは、侵略戦争への加担であり、世界の平和のルールへの挑戦にほかなりません。(拍手)

 第二は、日本国憲法との矛盾です。国会の論戦をつうじて、イラクに派兵された自衛隊は、法的にも占領軍としての地位が保障されること、占領軍の指揮下におかれること、米軍の軍事作戦への支援など占領支配の一翼を担う活動をおこなうことが明らかになりました。しかし憲法では占領への参加を「交戦権の行使」「武力の行使」として固く禁止しています。あたり前の話です。占領とは、戦争状態がつづいているということであり、占領に参加するということは、戦争の一方の当事者になるということだからです。これを憲法違反といわずして何というのでしょうか。

 第三は、派兵の根拠としたイラク特措法との矛盾です。この法律は、もともと憲法違反の法律ですが、それでも「非戦闘地域」でしか活動できないなどの建前がありました。ところがイラクの現実は、この建前も通用しません。そこで政府はどうしたか。わが党が入手した自衛隊先遣隊の報告書案がものがたっています。ファクスで日時が特定できましたが、先遣隊が到着する前に報告書案ができていた。都合の悪いことは隠し、都合のよいことだけをならべたてたものだということがわかりました。これでは昔の大本営発表と同じではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

戦争は嘘からはじまり、派兵も嘘からはじまった

 この戦争は嘘からはじまりました。その戦争への派兵も嘘からはじまりました。この道に未来はありません。深刻な矛盾は広がらざるをえません。

 自衛隊派兵計画の中止、派兵した部隊の即時撤退を強くもとめて、たたかいをさらに広げに広げようではありませんか。(大きな拍手)