2004年4月7日(水)「しんぶん赤旗」

学生無年金訴訟、国が控訴

坂口厚労相 法的責任認めず


 国民年金の未加入時に障害を負い年金給付を拒否された学生をめぐる無年金障害者訴訟で、国が救済措置をとらずに放置したことを違憲とした東京地裁判決(三月二十四日)について、政府は六日、東京高裁に控訴しました。

 原告団と弁護団はただちに抗議の声明を発表し坂口力厚生労働相あてに提出しました。

 学生のときの障害にたいし国は一九八五年の国民年金法「改正」で、二十歳未満であれば障害基礎年金を支給(それまでの障害福祉年金を含めて引き継いだもの)することにしました。ところが国民年金への加入は九一年まで学生にまかせるという任意制度で、二十歳になってから障害を負っても未加入であれば障害基礎年金は支給の対象外とされました。

 東京地裁は、こうした同じ学生でも二十歳前には支給され、二十歳を過ぎると支給外となる事態を引き起こした国の責任をきびしく批判。「何らの立法的手当をしないまま放置することは憲法一四条(法の下の平等)に違反するものであった」とのべ、これを国の「立法の不作為」として原告の勝訴としました。

 厚生労働省は、地裁判決は「国の立法不作為を幅広くとらえ過ぎている」と判断。国の違法にたいする慰謝料が認められた原告三人について控訴したものです。坂口厚労相は談話で「任意加入の時期のこととはいえ、制度に加入せず、保険料を納めなかった方々の障害について、国の法的責任を認めることはできない」とし、責任を逃れる考えです。

 障害の原因となった病気の初診日が二十歳前であったとして障害基礎年金の不支給が取り消された男性(39)については、判決を尊重し控訴しませんでした。


控訴取り下げよ 志位委員長コメント

 日本共産党の志位和夫委員長は六日、国の控訴に対し、次のようにコメントしました。

 政府が控訴したという報道を憤りをもって聞いた。断じて許すことはできない。憲法一四条に定めた「法の下の平等」に反するという東京地裁の画期的な判決に対する控訴は、無年金障害者のみなさんの長年の願いを踏みにじるものである。政府はただちに控訴を取り下げるべきである。