2004年6月23日(水)「しんぶん赤旗」

参院選 党首討論からみえてきた 4つの重大問題

国民の立場に立つ日本共産党の姿鮮明に


 自民党政治の大もとのゆがみをただす日本共産党、悪政に居直る自民・公明、与党ときっぱり対決できない民主――。日本共産党から志位和夫委員長が出席した二十一日の「五党党首討論会」(日本記者クラブ主催)や二十日のテレビ討論(NHK「日曜討論」)は、二十一世紀の日本を左右する重大問題をめぐっての各党の違いが鮮明になりました。年金改革、消費税増税、多国籍軍参加、憲法問題でみてみると――。

年金改悪法

志位 「きっぱり廃止、国民的討論で 安心できる制度を」

小泉 「だれがやっても同じ」と開き直り

岡田  年金目的に消費税増税迫る

 国民の七割、八割が「納得できない」とする年金改悪法をどうするのか―。「実施を中止し、国民的討論でみんなが安心できる年金制度をつくろう」(志位氏)とよびかける日本共産党と、他党との違いが明らかになりました。

 一つは、「年金改革はだれがやっても給付は減らし、保険料は上げざるをえない」(小泉純一郎首相)と開き直る自公両党との違いです。

 志位氏は居直る首相にたいし、「公共事業の浪費、軍事費にメスを入れる、高齢化を支える新たな財源は大企業、大資産家にヨーロッパ並みの負担をしてもらう、ここに踏みこまないから、いまのような議論になる」と指摘。「年金は国と国民の一種の契約だ。信頼されない年金制度は成り立たない」とのべ、政府のやり方を批判しました。

 もう一つは、民主・岡田克也代表との違いです。

 岡田氏は、“改悪法の「白紙撤回」をしなくても協議には応じる”との姿勢を示しました。同時に、“消費税増税、年金「一元化」の方向性をはっきりさせよ”と、年金目的に消費税を増税すべきだという立場から、負担増では自民・公明と変わらないことを示しました。

 志位氏は、自公民の「一元化」論が「年金を貧しくしていく一元化だ」と批判。保険料を厚生年金に合わせれば、事業主負担のない自営業者の負担は数倍にはねあがることなどを指摘しました。そして、低すぎる給付水準と年金空洞化という二つの問題点を打開する日本共産党の「最低保障年金制度」を示しました。

消費税増税

志位 「社会保障でとってはならない手段」

小泉 「議論は大歓迎」

岡田 「与党は財源としての方向示せ」

 党首討論ではとくに年金などの社会保障財源をめぐって、消費税増税を競い合う自公・民主と消費税増税に頼らない年金改革を示す日本共産党の違いが鮮明になりました。

 「年金(目的)消費税をつくって投入すべきだ」(NHK)と公言する民主・岡田氏は、日本記者クラブの討論でも「消費税を(年金一元化の)財源として考えるのか方向性を出せ」と与党に迫りました。

 小泉首相は「私の任期中は消費税は上げない」と繰り返しながら、「(増税の)議論は大歓迎だ」との立場です。

 志位氏は、自公両党が、二〇〇七年度をめどに「消費税を含む抜本的税制改革」を実現することで合意し、民主党が〇七年度から「年金目的消費税」3%導入を提案していることを指摘。「三党合意」は「二〇〇七年度に消費税増税というところに合流していくような内容が真相ではないか」と批判しました。

 そして、「(消費税は)一番弱いものいじめの税金だ。社会保障というのは弱い方の立場を支える制度だから、これは絶対とってはならない選択だ」とのべ、税金の使い方・集め方を「国民のくらし第一」に変える民主的改革の方向を示しました。

多国籍軍参加

志位 「米軍の残虐行為の共犯者に」

小泉 「米英との信頼関係」

神崎 「まったく問題ない」

岡田 「必ずノーというわけではない」

 自衛隊のイラク多国籍軍参加は憲法の根幹にかかわる重大問題です。武力行使につながることからどの世論調査でも、「反対」58%(「朝日」二十二日付)、同54%(「毎日」十五日付)と「賛成」の三割を大きく上回っています。

 「多国籍軍に『参加』し、『一員になる』ことは、自衛隊が残虐行為の共犯者になることを意味する」。志位氏は、多国籍軍の指揮権を握る米軍がイラク・ファルージャでの住民虐殺を行い、さらにパウエル米国務長官も“七月以降も同じことをやる”とのべていることを告発、多国籍軍参加反対と自衛隊の即時撤退を強く求めました。

 「自衛隊の活動は現在と変わらない」(首相)「まったく問題ない」(公明・神崎武法代表)とする自公両党への痛烈な批判です。

 首相は「日本が自衛隊を指揮するから、武力行使と一体にならない」などと弁明。その「担保」として、米英両政府との「了解」をあげました。

 しかし、この間の党首会談や討論会での志位氏の追及で、「了解」が公使レベルの口頭「了解」なるものであり、「アメリカ、イギリスとの間の信頼関係」(首相)にすぎない実態が明らかになりました。

 志位氏は「軍隊の指揮権にかかわる問題、憲法にかかわる問題だ」(NHK)とのべ、公使レベルの「了解」では「担保」にならないと批判しました。

 一方、民主党は多国籍軍参加に反対していますが、「自衛隊を送ることについて必ずノーというわけではない」(岡田氏、NHK)という立場です。実際、四月末には菅代表(当時)が国連のアナン事務総長と会談し、新たな国連決議が出れば多国籍軍派遣を「検討」すると表明。「そう発言したのならきちんと(多国籍軍参加で)対応するのが筋でないか」(神崎氏)と矛盾をつかれました。

憲法改悪

志位 「9条守り抜く国民的共同を」

小泉 「多くの協力で改憲を」

岡田 「国連待機部隊は改憲が基本」

 参院選公示を前に、改憲に向けた「論点整理」「中間報告」を相次いで発表した自民、公明、民主各党。その狙いが九条改憲にあることも浮き彫りになりました。

 神崎氏は「自衛隊を明記するとか、国際貢献をもっとできるようにとの議論はある」と表明。首相は「多くの政党の協力をえる形で憲法改正がなされた方がいい」とのべ、九条改憲でも公明党と「協力できると思う」と路線で違いがないことを明らかにしました。

 国連待機軍の創設を検討している民主党。首相に「これは憲法改正したうえでの議論か、現行憲法内の議論か」と問われた岡田氏は「憲法改正してからの議論が基本だ」と、九条改憲の姿勢を示しました。

 志位氏は、こうした九条改憲の狙いが「海外での戦争はできないとしてきた歯止めを全部取り払い、日本を海外で戦争をする国につくり変える」ものだと指摘。世界的にも先駆的条項として注目される九条を守りぬく国民的共同に力をつくす決意を表明しています。


三党合意

 自民、民主、公明の三党の幹事長が五月六日、年金改悪法案の衆院通過を前提に、年金「一元化」などに向けた協議機関設置で合意したもの。合意にもとづく「修正」案では「税、保険料等の負担と給付の在り方」の「見直し」を明記しており、消費税増税に道を開くものとなっています。