2004年10月19日(火)「しんぶん赤旗」

年金財源口実に 定率減税廃止

大増税3.3兆円

“働き盛り世代”の負担軽減という

国庫負担引上げの目的に反する

衆院予算委 志位委員長が追及


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3.3兆円の大増税計画を追及する志位和夫委員長=18日、衆院予算委

 日本共産党の志位和夫委員長は十八日の衆院予算委員会で、年金問題を取り上げました。基礎年金の国庫負担を二分の一(現在三分の一)に引き上げる財源として、政府が所得税・住民税の「定率減税」を廃止し、三・三兆円もの大増税を庶民に押し付けようとしていることを告発。「“働き盛り世代”の負担軽減という国庫負担引き上げの目的にまったく反する」と追及しました。

小泉首相「一つの選択肢」

 志位氏は定率減税廃止と、すでに決まっている配偶者特別控除の廃止でどうなるかをグラフで提示しました。現在払っている税金がどれだけ増えるかという増税率は、年収五百万―六百万円が22%で最も高く、高額所得者になるほど激減し、年収三千万円ではわずか3%。“働き盛り世代”を直撃する庶民大増税になります。

グラフ

 小泉純一郎首相は「定率減税の縮小というのは一つの選択肢だ」とのべ、庶民大増税計画に踏み出す考えを初めて表明しました。

 志位氏は、国庫負担引き上げの目的について、二〇〇〇年三月、当時の丹羽雄哉厚相が「若年世代の負担の軽減」「保険料の引き下げ」と答弁していることを紹介、「引き上げの目的にまったく反している」と追及しました。小泉首相はまったく答えられず、志位氏は「道理のないことをやろうとしていることを自ら示している」と批判しました。

 さらに九九年から実施された「恒久的減税」で定率減税とともに引き下げられた大企業の法人税には手をつけようとしないことを指摘し、「手をつけやすい庶民増税に手をつけようというこの姿勢が、国民の年金不安をさらにひどくする」と批判。「どこかで財源を調達しなければいけない」などとごまかす小泉首相に対し、公共事業費や軍事費の削減など歳出見直し、減らしすぎた大企業への税率をもとにもどすことなどで財源を確保するという日本共産党の政策も示し、庶民を狙い撃ちにする首相の姿勢を批判しました。

 志位氏はさらに、こうした庶民大増税について、年金法案が審議入りしてからも一度も説明していなかったことをあげ、国民を何度もあざむいて強行した改悪年金法を「白紙にもどし、やり直すべきだ」とのべました。


定率減税

 所得税と個人住民税の税額の一定割合を差し引く減税。所得税額の20%(最大二十五万円)、個人住民税額の15%(同四万円)を控除します。一九九九年度税制「改正」で「著しく停滞した経済活動の回復に資する」ための一環として、所得税の最高税率の引き下げや法人税の税率引き下げなどとともに「恒久的減税」として導入されました。