2004年10月31日(日)「しんぶん赤旗」

米軍再編、那覇市長選

高里さん勝利で、
「基地ない沖縄」への新たな一歩を

沖縄・那覇で志位委員長が訴え


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訴える志位委員長=29日、沖縄・那覇市民会館

 日本共産党の志位和夫委員長は二十九日、沖縄県那覇市で開かれた演説会で、米軍再編と沖縄の基地問題、目前に迫った那覇市長選と市議補選(十一月七日告示、十四日投票)の争点について、詳しく解明しました。

 市長選では、市議会前副議長の高里すずよ市長候補(日本共産党、社大党、社民党、民主党、自由連合推薦)が、市議補選では日本共産党の大城チョースケ市議候補が立候補しています。

「基地のない沖縄」へ―沖縄の潮目がかわりつつある

 志位氏は、昨年の宜野湾市長選での伊波洋一市長の当選、今年の参院選での糸数慶子さんの大差の勝利をあげ、「沖縄では、ここにきて流れ、潮目がはっきり変わり始めました」と力説。沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故をうけ、普天間基地の無条件閉鎖・撤去、SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)見直しが「立場をこえた県民全体の要求になったことは、ほんとうに重要な前向きの変化です」とのべました。

「殴り込み」部隊の根拠地としての強化

 そのうえで「今度の選挙がどういう情勢のもとでたたかわれるか」と問いかけ、米軍再編の動きと沖縄の基地問題について詳しく解明しました。

 ヘリ墜落事故が起きた原因が、イラク戦争に出撃するためであったことをのべ、「沖縄の基地は、世界に殴り込むための基地」と強調。そのうえで、沖縄での米軍再編の特徴として(1)「殴り込み」部隊の根拠地としての米軍基地のいっそうの強化(2)在日米軍と自衛隊の一体化―の二点を指摘し「この危険な動きを正面からみすえ、たたかう必要があります」とのべました。

 第一の米軍基地強化であげたのは、SACO最終報告にもとづく二つの新基地建設(普天間基地の代替新基地建設、那覇軍港の浦添移設)と都市型戦闘訓練施設の建設強行です。

 志位氏は、普天間基地の代替新基地建設と軍港の浦添移設について「たんに『移す』のでなく『強化』」と強調。普天間基地では、最新鋭機MV22オスプレイ配備や、本島北部の海兵隊基地との一体運用、浦添の新基地では、水深を深くすることで空母の入港も可能になるなどをあげ、危険極まりない強化ぶりを詳しく告発しました。

 金武町のキャンプハンセン内で建設が強行されている都市型訓練施設については、使う部隊が、米陸軍の「殴り込み」部隊の先兵として動く特殊部隊と海兵隊であることを強調しました。

米軍と自衛隊が一体化―一つの軍隊として海外に出撃

 第二の米軍と自衛隊の一体化の問題について、志位氏は「沖縄でも米軍再編の一つの焦点とされ、自衛隊の増強という新たな負担がのしかかろうとしています」とのべました。

 米空軍嘉手納基地の日米共同使用と下地島空港の軍事使用という米国の提案に従い、日本政府は(1)陸上自衛隊の増強(2)航空自衛隊・那覇基地所属の戦闘機をF4からF15に変更(3)下地島への戦闘機配備―といった自衛隊増強を押しつけようとしています。

 志位氏は、こうした動きを「日米が一体となって海外へ出撃していこうとするもの」と批判。

 「世界に殴りこみをかける拠点として、三つの米軍基地強化プラス自衛隊の増強によって沖縄の基地の飛躍的強化をはかろう―これが『再編』の名でおこなわれていることの正体です。『アメリカだのみ』『政府だのみ』では、ことは解決しません。たたかってこそ道は開ける。基地の重圧をさらに耐えがたいものとするこの動きに、県民が立場をこえて、ストップのスクラムを」と呼びかけました。

「基地のない沖縄」―この思いを立場を超えて

 そのうえで志位氏は、市長選の争点に話を進めました。

 第一に志位氏は「『基地のない沖縄』―革新、保守、立場をこえた県民のこの思いを高里さんに」と呼びかけました。

 志位氏は、平良さん、親泊さんの三十二年間におよぶ革新市政が、那覇軍港と普天間基地内にある市有地の土地使用契約を拒否し続けてきたことなど、県民的な基地返還のたたかいの大黒柱になってきたことを詳しく紹介。「高里さんは、この伝統を引き継ぎ、保守の方々を含めて多くの人々とともに発展させる立場を打ち出している方です」と支持を訴えました。

 一方、相手候補が、基地のたらい回しを定めたSACO合意を「最低限の担保」とのべていることを批判。「『担保』というが、県民の利益に沿う『担保』は一つもない。米国にとって利益となる『担保』価値が盛りこまれているのがSACO。県民の立場でなく、アメリカの立場に立っているといわれても仕方がないものです」と告発しました。

 しかも、安保条約容認、米軍・自衛隊の駐留に「一定の理解」を示す立場から、那覇軍港と普天間基地内の市有地について、二〇二二年までという二十年間もの長期使用契約を結んだことをあげ、「『安保もけっこう、米軍もけっこう、自衛隊もけっこう』の市長に市政はまかせられません」と批判しました。

「市民が主人公」の市政取り戻そう

 第二に、志位氏は「住民の福祉と暮らしを守るという『市民が主人公』の市政をとりもどしたいという思いを、高里さんに」と呼びかけました。

 相手候補が、前回の市長選で、水道料金や国保税の市民の負担軽減を公約に掲げておきながら、逆に下水道料金を値上げし、議会で追及されても、答弁を拒否していることを批判。「公約に責任をもたない。反対のことを平気でやる。指摘されても『知らぬ存ぜぬ』を決めこむ――市長としての基本的な姿勢のうえでも失格ではないでしょうか」とのべました。

 しかも、革新市政時代の宝であった「経済は地元が主役」の原則が壊されようとしていることを指摘。公共事業の分離分割発注が100%から七割台まで落ち込み、那覇てんぶす館などでは、大手企業やその共同企業体が独占受注していることを告発しました。

アメリカが一番恐れているのは、沖縄県民の声が一つにまとまること

 最後に志位氏は「アメリカが一番恐れているのが沖縄県民の声です」と強調。国際法上、不可能とされた祖国復帰を現実のものにした島ぐるみのたたかいや、一九九五年の事件を契機にした島ぐるみのたたかいで、本土の世論の多数派が安保廃棄派になる衝撃的な変化をつくりだしたことを紹介。かつての屋良革新県政、平良・親泊那覇革新市政、宜野湾市の伊波市長をあげ、「『基地のない沖縄』をめざすたたかいが高揚するとき、その支えになったのは、革新・民主の自治体です」と力説。「那覇市長選での高里さんの勝利で、『基地のない沖縄』への新たな一歩を」と訴えました。