2005年1月17日(月)「しんぶん赤旗」

災害対策、被災者支援に力つくす

阪神・淡路大震災十周年にあたって

志位委員長が談話


 日本共産党の志位和夫委員長は、十七日の阪神・淡路大震災十周年にあたって、次の談話を発表しました。

 一、阪神・淡路大震災十年目にあたり、この大災害で亡くなられた方々にたいして心からの哀悼の気持ちをのべるとともに、被災者の方々へのお見舞いを申し上げます。災害対策、被災者支援を、政治のとりくむべき最も重要な仕事の一つとして、力をつくす決意を新たにするものです。

 一、震災後十年がたちましたが、被災者の生活再建はまだ途上にあります。災害公営住宅で誰にもみとられることなく亡くなる「孤独死」は、仮設住宅時代からあわせて五百六十人にものぼり、いまもなお続いています。多くの中小企業・地場産業も、震災による打撃を回復していません。

 ところが、国や自治体は、被災者を対象にした「災害援護資金」の強制的回収をはじめ、災害公営住宅からの追い出し、中小業者向け融資の返済猶予を打ち切るなど、震災十年を機に、これまでおこなってきた支援策を切り捨てる動きを強めています。こうした無慈悲な態度をあらため、生活と地域経済の再建への支援を継続、強化することは、政治の重要な責任です。

 十六兆三千億円にのぼる「復興事業費」を、神戸空港などの大規模プロジェクトに重点的に使い、被災者の生活再建を後回しにしてきた政治の姿勢を、根本からあらためることが必要です。

 一、この十年間、被災者のみなさんが最も強く求めたのは、住宅再建への公的支援(個人補償)の実現でした。この問題では、ねばり強い運動によって被災者生活再建支援法が制定されるなど、ようやく一歩が踏み出されました。しかし政府は、いまだに住宅本体の再建にたいする公的支援(個人補償)を認めないという態度をとっており、この「壁」を打ち破ることが、大きな課題となっています。

 この間、鳥取県や新潟県などの自治体では、震災や風水害にさいして、独自の住宅再建への公的支援をおこなっています。被災者生活再建支援法を抜本的に改正して、国の制度として、住宅本体の再建への公的支援の制度をつくることを、強く求めるものです。

 一、災害に強いまちづくりと防災体制の強化は、阪神・淡路大震災の重要な教訓でした。しかし、この教訓は、十分に生かされているとはいえません。

 学校や病院など重要施設の耐震化、住宅の耐震診断と補強、河川堤防の改修などは遅々としてすすまず、消防力の強化も立ち遅れたままです。しかも、政府は測候所の廃止をすすめ、中越地震で生き埋めの母子の救出に大きな貢献をした消防研究所の廃止を打ち出すなど、防災対策に逆行する施策さえすすめています。

 日本列島は、全国どこでも震災の危険が存在します。インド洋大津波の経験に見られるように、地震にともなう津波の問題も深刻です。その危険から国民の生命と安全をまもるために、災害に強いまちづくりに本腰をいれ、観測・予知体制、警報システムなどをふくめた防災体制の強化をはかることは、政治に課せられた急務であることをあらためて強調するものです。