2005年1月18日(火)「しんぶん赤旗」

阪神・淡路大震災10年

新たな出発誓う

道半ば生活再建、前進を

6433人犠牲 忘れない


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阪神・淡路大震災10周年の、神戸のまちを見下ろす諏訪山公園で献花する人たち=17日早朝、神戸市

 「あの日」から十年――。六千四百三十三人が犠牲になった阪神・淡路大震災(一九九五年一月十七日)からちょうど十年となった十七日、被災地では、公共施設で、「慰霊碑」前で、災害復興公営住宅で、公園で、街角のさら地で、追悼の催しが無数におこなわれました。この日、多くの住民が、犠牲者の前で新たな出発を誓いました。救援復興兵庫県民会議や日本共産党、市民団体は、いまだ道半ばの生活再建や公的支援・個人補償の前進を訴えました。

白菊の花を手に

 震度7の激震が起きた午前五時四十六分。神戸市中央区の諏訪山公園で開かれた早朝追悼集会(救援復興兵庫県民会議主催)に訪れた四百人の参加者は、冷たい雨が降りしきるなか、ちょうちんと白菊の花を手に、犠牲者に黙とうをささげました。

 眼下の街を見つめていた多井中勲さん(64)は「ちょうどこのそばで被災したんですよ。妻と息子に『玄関にこい!』いうて叫んで…必死でした」と十年前をふりかえりました。「街を見てたらようここまで復興したなと思うけど、さら地もようけあるし、苦しい生活を送ってる人も多い。復興はまだまだ先です」とものべました。

 畦布和隆・兵庫県労働組合総連合議長は「政府の厚い壁を押し返してきた十年間でした。安心して暮らせる災害補償制度確立をめざします」と、決意をこめたあいさつをしました。

 神戸市三宮の東遊園地の「慰霊と復興のモニュメント」で献花した西宮市の西沢千寿さん(80)は「震災で友人を三人亡くしました。このモニュメントに初めてきたんですよ。十年たちましたが、忘れてはいけないと思う」と、ハンカチで目頭を押さえながら語っていました。

追悼式典 志位委員長が献花

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兵庫県追悼式典で献花する志位和夫委員長=17日、兵庫県公館

 兵庫県などが主催する「阪神・淡路大震災10周年追悼式典」が十七日、神戸市の県公館で開かれ、遺族、政府、自治体、政党の代表など四百人が出席しました。日本共産党から志位和夫委員長が出席し、献花しました。

 追悼式典では井戸敏三県知事が「大震災の経験と教訓を共有し、安全・安心な兵庫づくりに全力をあげる」との式辞をのべました。遺族を代表して、震災で夫、長女、二女を亡くした村松京子さんが「悩み苦しみ、励まされ勇気づけられてきた十年でしたが、これからは精いっぱい生き抜いていく決意です」と語りました。さらに「人間のつながりの貴さをわたしたちは決して忘れないだろう」とする宣言が読み上げられました。追悼式典には天皇と皇后が出席しました。

 日本共産党からは中村雅宥県議も出席し献花しました。

 志位委員長は式典のあと、神戸・三宮の東遊園地にある「慰霊と復興のモニュメント」を訪れて献花。震災犠牲者の名前が刻まれたモニュメント地下、竹製の灯ろうを集めかたどった「1・17」の大きな文字を見て回り、犠牲者を追悼しました。