2005年8月15日付「しんぶん赤旗」に掲載
十四日放映のテレビ朝日系「サンデープロジェクト」で、日本共産党の志位和夫委員長、民主党の岡田克也代表、社民党の福島瑞穂党首の野党三党首が討論しました。このなかで、小泉・自公政権が進める「構造改革」と庶民増税の問題で、自民党と民主党の間に違いがないことが鮮明に浮かび上がりました。
討論の冒頭、志位氏は、今度の選挙にむけてのスローガンを聞かれ、「たしかな野党が必要です」と紹介。「『改革』の名での弱い者いじめの政治、庶民への大増税、憲法改定で『戦争する国づくり』が進められようとしている。『二大政党』というけれど、自民も民主も違いが見えてこない」と指摘。司会の田原総一朗氏も「自民党と民主党、違いがないのではといわれているが」と問いかけました。
これにたいし、岡田氏は「構造改革」や改憲の問題では反論せず、増税の問題で、次のようにのべました。
岡田 三年間の歳出削減の間は、大きな増税はしません。もちろん、その後は今の財政の状況を見たときに、ぜんぜん増税なしで済むとは思っていません、率直に申し上げて。そのことは否定しません。
岡田氏は、三年後の大増税を明言。そのうえで強調したのは、その前におこなう増税策でした。
岡田 まずは三年間は大きな増税はしない。ただし「子ども手当」を月額一万六千円出すべきだ。そのための財源として、今の控除を整理する。消費税(の増税)も入れて、(年金の)保険料も軽くしていく。
志位 今おっしゃられていることは、控除の見直しはするというんでしょう。つまり、配偶者控除や扶養控除は廃止する。
田原 (民主党は)政府税調のいっていることはやるわけだ。
討論で岡田氏は、政府税調が進める配偶者控除や扶養控除の廃止とともに、消費税増税も推進することを明確にしたのです。しかも、これらは「大きな増税」ではなく、民主党が政権につけば、ただちにやることだというのです。さらに三年後には、「大きな増税」が待ちうけているというのです。
各種控除については、福島氏も「見直していく必要はある」とのべ、控除の廃止・縮減路線に理解を示しました。
志位氏が「結局、扶養控除、配偶者控除をなくしてしまおうというのが問題だ」とのべ、配偶者控除と扶養控除の廃止路線を批判すると、次のようなやりとりになりました。
志位 控除というのは、何のためにあるか。配偶者控除といったら、配偶者の方の最低生活費のためには税金をかけない。そこからきているわけです。ここに税金をかけるというのは、憲法で保障された生存権を侵害するものです。
岡田 配偶者控除は、専業主婦の方に対する、ある意味で優遇でもある。
福島 配偶者控除や扶養控除は、高所得者にとっては優遇になる。
控除廃止の本質をごまかす岡田、福島両氏に対し、志位氏は「控除見直しというのは、課税最低限が下がるわけですよ。結局、低所得者に対する重い増税になります」ときっぱり批判しました。
岡田氏は「控除制度は、所得税を払っていない方には何の意味もない」と発言しました。これは現在、非課税の給与所得者でも控除廃止で、課税対象となる現実をみない議論です。
田原氏が、小泉・自公政権が争点に掲げる郵政民営化問題について、民主党の立場を質問。岡田氏は「(郵便貯金の預入)限度額を五百万円に引き下げる。その分、お金は『民』へいく」と、郵貯に預けられていた資金を民間銀行に流れるようにすることを強調。そのうえで「民営化かどうかは、次のステップの話だ」「自民党の今回の郵政民営化法案は、これは『民営化』じゃない」とのべ、将来の民営化を選択肢の一つとしました。
これに対し、志位氏は民営化反対の立場を次のようにのべました。
志位 郵貯・簡保が民営化されたらどうなるかは、一般の銀行を見れば、わかるんですよ。いまの一般の銀行は、この六年間で、四千もの店舗を減らした。都市部からも過疎地からも減らしている。民営化になったら、採算第一ですから。
これに対し、田原氏は「それはよくわかる。そういう意味では、共産党はスジが通っている」とのべました。