2005年11月27日(日)「しんぶん赤旗」

11・26座間大集会での

志位委員長の情勢報告


 二十六日に座間市で開かれた「キャンプ座間への米陸軍第一軍団司令部の移転阻止!11・26大集会」では、日本共産党の志位和夫委員長が情勢報告をかねてあいさつしました。大要を紹介します。

 おあつまりのみなさん、こんにちは(「こんにちは」の声)。日本共産党を代表して、心からの連帯のあいさつを申し上げます。(拍手)

■基地強化・永久化のくわだて許すわけにいかない

 十月二十九日、日米協議にもとづく米軍再編にかかわる「中間報告」で、キャンプ座間に米陸軍の新司令部(UEX)と、陸上自衛隊の「中央即応集団」の司令部を置くという方針が明らかになりました。私は、まずみなさんとともに、基地の強化・永久化をはかるこのくわだては、絶対に許すわけにいかないという声をあげたいと思います。(拍手)

 座間市と相模原市では、市長さんを先頭に、自治体ぐるみで反対運動を展開し、両市で二十七万もの反対署名が集まりました。その反対署名をつきつけられた政府は、「地元の意思を重く受け止めます」といいましたが、これがその結果だとでもいうのでしょうか。(「けしからん」の声)

 小泉首相は「自治体と相談し、自治体がOKしたら、米側と交渉する」と言明していました。しかし、相談どころか、何の情報もなく、日米合意だといって一方的におしつける。まさにこれはだまし討ちのやり方ではないでしょうか(「そうだ」の声、拍手)。

 相模原市の小川市長は、「戦車にひかれても、相模原のために命をかけてやる」と徹底的に反対をつらぬくことを表明されました。座間市の星野市長は、「ミサイルが撃ち込まれても阻止する」とのべられました。

 私は、この勇気ある姿勢に心からの敬意をのべるものであります(拍手)。

 立場の違いをこえ、自治体ぐるみでの断固反対のたたかいを揺るがず発展させるならば、基地の強化をストップさせることはできます。ここに勝利のカギがあることを訴えたいし、ともに力をあわせて頑張り抜く決意を申し上げたいと思います。(拍手)

 防衛庁長官は、座間市の星野市長に、「これは百年の計画」といったそうです。戦後六十年、基地に苦しめられたあげく、さらに今後百年、二十二世紀まで居座る新しい基地をつくるということになります。絶対に許すわけにいかない。

 ラムズフェルド国防長官は「歓迎されない場所には米軍は駐留しない」とのべました。まさにここが「歓迎されない場所」ではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

 その言明が真実ならば、住民がこぞって反対している基地強化計画は撤回するべきです。「中間報告」の白紙撤回を強く求めるものであります(「がんばろう」の声、拍手)。

■米軍再編計画の二つの柱――世界への迅速展開と同盟国との協力強化

 さて、みなさん。今回の米軍再編計画の狙いはどこにあるでしょうか。

 いま、アメリカ・ブッシュ政権が地球的規模ですすめている米軍再編計画は、二つの柱からなっています。

 一つは、イラク戦争のような先制攻撃の戦争をたたかうために、米軍を、世界のどこにでも迅速に展開できる、機動的な軍隊につくりかえることであります。

 もう一つは、この戦争をともにたたかううえで、同盟国との軍事的協力体制をつくりあげることであります。

 この二つの柱にそって、地球的規模での米軍再編がいますすめられているわけですが、いったい、世界の国のなかで、この方針にそって、基地機能が本格的に強化されようとしている国がほかにあるでしょうか。ドイツからは大規模な撤退をすすめる計画です。本格的に基地強化をすすめようとしている国は、この日本しかないのです。

 そして、その日本の基地機能の強化計画のなかでも、キャンプ座間の強化計画は、沖縄の基地強化計画、山口県・岩国の基地強化計画とならんで、重大な要の一つを占めています。

■新司令部(UEX)が移設されると、どういう事態がひきおこされるか

 米陸軍第一軍団の司令部を改編した新司令部(UEX)とは、米陸軍が全世界への出撃=「殴り込み」態勢を強めるために編成を進めている最新鋭の司令部です。

 それがキャンプ座間に来ると、どういう事態が引き起こされるか。私は三つの点を告発したい。

■(1)米陸軍の「殴り込み」部隊――「ストライカー旅団」の司令部

 第一に、新司令部(UEX)は、「ストライカー旅団」と呼ばれる米陸軍の「殴り込み」専門の部隊の指揮をより本格的に行うことになります。

 「ストライカー旅団」とは、八輪駆動のストライカー戦闘装甲車を三百両装備し、千両の車両と三千六百人の兵隊からなる部隊です。イラクに出撃し、多数の住民、女性やお年寄りや子どもたちを殺りくしてきたどう猛な部隊であります。その司令部になるというのが第一の点です。

■(2)世界のあらゆるところに「展開」し、陸海空・海兵隊を「統合」して指揮する司令部

 第二に、新司令部(UEX)はそれだけでない新しい機能をもつことになります。

 「中間報告」を見ますと、新司令部(UEX)について、「展開可能で統合任務が可能な作戦司令部」と書いてあります。

 「展開可能」とは、司令部そのものが戦争の最前線に移動するということです。国防総省当局者は「UEXは世界中どこでも展開する」といいました。座間を本拠地にして、世界のあらゆるところに司令部自体が出撃するのです。

 そして「統合任務が可能」とはどういう意味か。新司令部が陸軍だけでなく、海軍、空軍、海兵隊をふくめた米四軍の「殴り込み」部隊を統合し、指揮する司令部機能をはたすということなのです。これはまさに恐るべき計画といわなければなりません(「そうだ」の声)。

■(3)陸上自衛隊の海外派兵部隊も一体となって海外に出動する体制が

 そして第三に、陸上自衛隊の「中央即応集団」の司令部も配備されようとしています。

 「中央即応集団」というのは、緊急即応連隊、パラシュート部隊、ヘリコプター部隊、特殊作戦部隊などをたばねてつくられようとしているものです。陸上自衛隊の海外派兵部隊です。

 この司令部も座間に置かれ、米軍と自衛隊が一体になって海外に出動する態勢をつくろうとしているのです。

 相模総合補給廠(しょう)にも、この動きに連動して、陸上自衛隊の戦闘部隊千三百人が移駐するという計画です。あの巨大な総合補給廠は返せというのがみなさんの気持ちではありませんか(拍手)。返すどころか、強化しようというのです。有事となれば、キャンプ座間と一体に、相模総合補給廠が戦争の一大拠点とされる危険があります。

 これがいま引き起こされようとしている事態なのであります。

■座間を世界とアジアの平和を脅かす震源地にしてはならない

 新司令部(UEX)とは、「ストライカー旅団」と呼ばれる米陸軍の「殴り込み」部隊を指揮し、戦争が起これば戦争の最前線に自ら移動し、陸軍・海軍・空軍・海兵隊の米四軍の「殴り込み」部隊を統合して指揮し、陸上自衛隊とも一体になって海外での紛争に介入する。文字通りの「殴り込み」戦争専門の司令部であります。

 小泉首相は、今回の基地強化計画について、「平和と安全の代価」だといいました。こうして自治体に問答無用でおしつけようというのです。

 「代価」の一言で問答無用のおしつけとは許せない。この声が全国で広がっています。

 私は、くわえてもう一ついいたい。それは、いまお話ししてきたように、新司令部(UEX)は、日本の「平和と安全」とはまったく無関係だということです。

 「平和と安全」どころか、座間を、地球的規模での「殴り込み」戦争の根拠地にし、世界とアジアの平和を脅かす震源地にかえようというのが、ことの本質です。

 キャンプ座間の強化計画に反対するたたかいは、座間市民や相模原市民にとって重要なたたかいであるだけではありません。これは世界とアジアの平和を守るたたかいです(拍手)。私はそのことを訴えたい。そこに確信をもって頑張り抜こうではありませんか。(拍手)

■勝利するカギは自治体ぐるみのたたかいと全国的な連帯

 最後にみなさん。このたたかいに勝利するカギは、自治体ぐるみのたたかいを発展させるとともに、全国の連帯を強め、広げることにあることを強調したいと思います。

 基地強化の動きは全国に及んでいます。

 横須賀では、原子力空母の配備の計画がもちあがり、市ぐるみの反対のたたかいがおこっています。

 沖縄の海兵隊の基地の強化のために、「美(ちゅ)ら海」を埋め立てるとんでもない計画に、島ぐるみの怒りが沸騰しています。

 山口県・岩国では、空母艦載機の移転をふくめた大規模な強化の計画に怒りがふきだしています。

 全国各地の自衛隊基地を米軍機に使用させる計画にたいして、どこでも怒りがわきおこっています。

 どこでも自治体ぐるみの反対の動きであります。それぞれのたたかいを前進させるとともに、全国が互いに連帯し、連携し、日米両国政府による基地おしつけを包囲する壮大なたたかいを発展させようではありませんか。(大きな拍手)

 私たちも最後の最後までみなさんとともにたたかい抜く決意を重ねて申し上げて、連帯のあいさつとします。(大きな拍手)