2006年1月4日(水)「しんぶん赤旗」

新しい政治の流れ広げる年に

CS番組 志位委員長が語る


 日本共産党の志位和夫委員長は、一日放映のCS番組・朝日ニュースター「各党はいま」新春スペシャルに出演し、昨年の総括や今年の抱負などについて語りました。主な発言を紹介します。聞き手は、朝日新聞の星浩編集委員。


 ――昨年の政治状況をどう総括しますか。

 志位 表面だけ見れば逆流や複雑な流れもありましたが、一年をふりかえって全体の流れを見れば、深いところから新しい政治の流れがわき起こった一年だったと思います。

 憲法改定、とくに第九条を変える動きに対して、国民的な反対の運動が大きく前進しました。昨年一年間で「九条の会」が広がり、草の根の会が三千六百までふえています。

 また、沖縄、座間、横須賀など全国各地で、日米両国政府による基地強化の押し付けに自治体ぐるみで反対してたちあがる動きが大きく前進しました。

 こうした流れを今年は大きく広げ、政治をかえる力となって働く大河にしてゆく、そういう年にしたいと思います。

■小泉路線は土台から壊れている

 ――総選挙後の小泉政権をどう評価しますか。

 志位 小泉首相の路線は、内政、外交ともに、大本のところで破たんに陥っていると思います。

 小泉首相が「改革」として掲げたのは「官から民へ」「小さな政府」というスローガンでしたが、昨年末には耐震強度偽装問題が明るみに出ました。この問題は、当事者の責任が当然問われますが、根本には、一九九八年の建築基準法改悪で建築確認という国民の命にかかわる大事な問題を民間まかせにしたという「規制緩和」があります。「官から民へ」ということをあらゆる分野に広げると何をもたらすかが明りょうになりました。

 外交では、“アメリカとの関係さえ良ければいい”という視野が狭い、ゆがんだ目でしか世界とアジアを見られない一方で、靖国神社を五回連続で参拝するという小泉首相のやり方がアジアとの関係を最悪のところにまで落ちこませました。

 小泉政権は、数の面では威勢がいいように見えますが、中はがらんどうといいますか、土台から壊れている。「規制緩和」で大企業をもうけさせる、アメリカいいなりで憲法をこわし、基地を強化する―この流れそのものを大本からかえる新しい政治がいよいよ強くもとめられている年だと痛感します。

■二つの仕事にとりくむ

 ――〇六年は共産党にとってどんな年ですか。

 志位 〇七年に予定される大きな全国的な政治戦を念頭に、二つの仕事に取り組みたいと思います。

 一つは、国民の要求にこたえ、平和と暮らしを守るたたかいが、政治的立場のちがいを超えて大同団結を強めながら発展するよう、大いに力をそそぎたい。憲法、基地、増税、社会保障、雇用などの問題で、平和と暮らしを守る草の根からの壮大な運動をつくりたいというのが抱負です。

 もう一つは、党自身の実力を質量ともにつける年にしたい。どんな難しい条件や複雑な情勢が展開しても、自力で風を起こし、次の選挙では本格的な前進を切り開く、そういう実力をつけることに力をつくしたいと思います。

■国民に痛み強いる予算案

 ――二十日から始まる通常国会の論戦は。

 志位 政府予算案は、増税と社会保障切り捨てで国民にたいへんな痛みをしいる内容です。一方で、法人税減税の継続に加え、スーパー中枢港湾、大規模な国際空港、大都市の環状道路などの巨大開発の予算を「国際競争力」という名目でうんと増やしています。大企業をもうけさせる減税、ムダづかいにメスを入れ、暮らしをまもる予算への組み替えをもとめていきます。

 ――新規国債発行は三十兆円を下回りましたが。

 志位 いくら三十兆円を下回っても、定率減税の廃止による大増税、医療問題ではお年寄りへの負担増の押し付けなど、国民の暮らしを削り、負担増を押し付けた結果として、こういう数字が出てきてもなんら自慢できる話ではない。

 一方で、大企業に対する減税措置の方は、もともと法人税減税は所得税の定率減税とともに一九九九年に実施されたものでしたが、定率減税はもとに戻して増税しようというのに、大企業の方の減税は恒久措置として固めてしまおうとしています。税の取り方でも使い方でも、大企業や財界のもうけしか考えていない、そういう中での“三十兆円枠”ですから、これは評価できません。