2006年4月23日(日)「しんぶん赤旗」

職場問題学習・交流講座

志位委員長の報告


写真

(写真)報告する志位和夫委員長=22日、党本部

 二十二日、党本部で開かれた「職場問題学習・交流講座」で報告した志位和夫委員長は、講座の目的についてのべたあと、情勢の特徴について、暮らし、平和、政党状況について解明し、「党の出番の情勢が展開している。ここに確信を持って政治を語り、党を語ろう」と強調しました。

職場の現状をどうとらえるか

 職場の現状をどうとらえるかについて話をすすめた志位氏は、「労働と雇用のかつてない悪化がすすみ、日本の社会と経済の前途を危うくする事態を引き起こしている」とのべ、財界・大企業の職場支配の戦略として二つの特徴をあげました。

 第一は、非正規雇用への大規模な置き換えがすすんでいることです。その多くが極端な低賃金と差別、無権利状態に置かれており、しかも派遣・請負労働に見られるように、多くが違法・無法を土台にしていることを告発しました。

 第二は、成果主義賃金を根源にした正規労働者の状態悪化が深刻になっていることです。

 「成果主義賃金」の害悪について、(1)賃下げ(2)際限のない長時間過密労働(3)命と健康の破壊、メンタルヘルスの障害(4)公務や教育現場に持ちこまれ住民や子どもに目が向かなくなる―と解明。そのうえで、「非正規雇用、成果主義が、国民生活のあらゆる分野に深刻な問題を引き起こしていることを社会的に広く告発し、社会的な反撃で包囲し、無法・横暴な職場支配を打開することは、日本社会の切実な要請になっている」とのべました。

 志位氏は、「職場の矛盾をどうつかむか」について、(1)財界・大企業は品質の劣化や事故・災害の多発など職場支配を自ら掘り崩す矛盾をつくりだしている(2)しかし、それを自らただそうとはせず労働法制のいっそうの改悪をねらっている(3)労働者への攻撃を後押しする自民党政治の役割がこんなに見えやすいことはない―という三つの観点でとらえることが大切だと強調。日本の労働者階級が置かれている深刻な現状を打開することは、「日本国民の現在と未来にとって重大な意義をもつたたかい。日本共産党と職場支部の果たす役割はかけがえのないものがある」と力説しました。

職場支部の活動どう強化するか

 志位氏は、職場支部の活動を強化する問題について、活動を発展させる基本は「政策と計画」をもった自主的・自覚的な活動に取り組むことにあるとのべました。

 職場に入ったら元気よくあいさつすることから始めて、「しんぶん赤旗」読者を伸ばしている経験を紹介しながら、労働者と日常的に結び付き、人間的信頼関係をつくることを党活動の根本に位置付けることを指摘。そのさい、「党員の苦しみは、労働者みんなの苦しみ」という立場で接することが大切だとのべました。

 成果主義とのたたかいでは、「賃金が下がった」「評価が不公正」など不満や要求の解決を基本にすえてたたかうこと、自治体の職場では成果主義がいかに住民サービスを切り捨てるか、学校では教師の仕事をねじまげるかを告発してたたかうことを提起。国会でも、「しんぶん赤旗」でもリアルに告発していくとのべました。

 非正規労働者を結集するために、正規労働者が非正規労働者の悩みに心を寄せ、その労働条件の改善を重視し、職制も含めた一致した要求にしていく努力、職場・地域が連携した取り組みを強調しました。

 公務員攻撃とのたたかいでは、公務労働者だけでなく住民の暮らしと安全への攻撃だということを広く伝え、住民・国民との連帯で打ち破ろうと呼びかけました。

 後継者をつくる問題では、若い世代の要求から出発し、悩みに心を寄せた活動の大切さについてのべました。また、労働組合の違いをこえ、あらゆる労働者のなかに根をおろす見地が大切だと指摘。日本共産党員としての生き方や、“労働者党員魂”を語り、職場の奥深くに党をつくっていこうとのべました。

 党機関の指導と援助では、不屈に奮闘してきた党員に敬意を持って接し、苦労に心を寄せ実情を聞き学ぶ、長期の目でとらえる、職場の活動を励ます独自の取り組みをおこなう、ことの三つを提起しました。

 最後に志位氏は、「労働者階級の地位と権利の向上ぬきに日本国民の生活条件の改善はありえない」と指摘。「労働者階級は、社会主義・共産主義への前進を歴史的使命とする未来を担う階級だ。そこで多数者となって民主連合政府への道を開くという展望をもってたたかいを前進させよう」と呼びかけました。


志位委員長の報告(骨子)

一、講座の目的――全国からの聞き取り調査をうけて

二、情勢をどうとらえるか――大会決定の生命力に確信を

(1)「ルールなき資本主義」「新自由主義」の害悪が噴き出す

 (2)基地・憲法問題とアメリカいいなり政治、教育基本法改悪について

 (3)政党状況の新たな展開と、日本共産党の役割

三、職場の現状をどうとらえるか――現状打開は日本社会の切実な要請

 (1)低賃金・無権利の非正規雇用労働者の急増

 (2)成果主義賃金を根源にした深刻な状態悪化

  賃下げ

  長時間過密労働

  命と健康の破壊、メンタルヘルス

  公務労働と教職員での矛盾

 (3)職場の矛盾をどうつかむか――三つの観点でとらえる

四、職場支部の活動をどう強化するか――「政策と計画」をもって

 (1)労働者と日常的に結びつき、人間的信頼関係をつくる

  出発点はあいさつから

  労働者の全生活にわたってつきあう

  党員の苦しみは、労働者みんなの苦しみ

 (2)「政策」について――どの問題でも「切実な要求」を出発点にして

  成果主義の職場支配とどうたたかうか

  非正規労働者をどう結集するか

  公務員攻撃とどうたたかうか

  労働者・国民に苦難をおしつける誤った考え方を打ち破る

 (3)「計画」について――後継者づくり、あらゆる労働者に根をおろして

  どうやって後継者をつくるか

  労働組合の違いをこえ、あらゆる労働者のなかに根をおろす

  職場の奥深くに党をつくる

  「しんぶん赤旗」の活動をしっかり位置づける

 (4)学習と党生活の確立――職場支部でこそ日本共産党らしい党づくりを

  綱領学習と支部会議こそ困難打開のカギ

  「仕事も、労働組合も、党活動も」の立場で

  職場支部に在籍している退職者の同志について

五、党機関の指導と援助について

おわりに――労働者階級の歴史的使命と日本共産党