2006年5月18日(木)「しんぶん赤旗」

国政の熱い焦点と日本共産党

東京・共産党演説会

志位委員長の訴え


写真

(写真)志位和夫委員長=17日、 東京・日比谷公会堂

 日本共産党の志位和夫委員長は十七日、東京・日比谷公会堂で開かれた演説会で、来年に迫った二つの全国的な選挙戦―いっせい地方選と参院選で、日本共産党を必ず勝利させてほしいと訴えました。

国民の大きな流動と激動が起こりつつある

 志位氏は、一月の党大会後の地方選で、日本共産党が議席占有率を6・6%から7・6%に前進させ、獲得議席では自民党百三、公明党百七十五、民主党四十三に対し日本共産党が二百六十一に及んだことを紹介。「この前進の底流には、地方政治での『オール与党』政治の矛盾とともに、国政で自民党政治がゆきづまり、新しい政治を模索する国民の動きがある」と指摘しました。

 小泉「改革」のもとで、自民党の支持基盤の崩壊が進むとともに、保守の人々を含めた日本共産党への期待の流れが起こりつつあることをあげ、「いま打って出れば、新しい前進を開く条件が広がっています。ぜひ来年の選挙では、これを現実のものにするため、がんばりぬきます。みなさんの大きなご支持を」と訴えました。

格差社会の根源にある三つの政治悪にこそメスを

 小泉政治が内政でも外交でもぼろぼろになっているなか、民主党が掲げる「対立軸」路線の中身は、小沢氏の代表就任後一カ月たっても見えてきません。今の政治の構図に触れた志位氏は「自民党政治を変える『対立軸』をしっかり持っている政党は、日本共産党です」と訴え、暮らし、平和、教育の各問題で、日本共産党の値打ちを訴えました。

 暮らしの問題では「格差社会と貧困の広がり」をとりあげ、根底には「新自由主義」の名のもとに進められた三つの政治悪があると指摘。(1)人間らしい労働の破壊(2)社会保障の破壊(3)逆立ち税制――の三点から党の立場を詳しく述べました。

 そして三つの政治悪の根源には、大企業のもうけ最優先の自民党政治の異常なゆがみがあると述べ、「大企業にもうけ相応の社会的負担と責任を果たさせよう。財界・大企業からひも付きの献金をもらわず、正面からものがいえるのは、日本共産党だけ。絶対安心の共産党を伸ばしてください」と訴え、会場から大きな拍手が送られました。

基地強化・改憲―異常な米国いいなり政治ただす

 平和の問題で志位氏は異常な米国いいなり政治の矛盾が、二つの熱い焦点で噴き出しているとして、米軍再編と改憲の問題をあげました。

 米軍再編についての日米両政府の「最終合意」は、反対する自治体・住民に対し、再編計画を問答無用で一つ残らず押しつける内容になっています。また約三兆円とされる日本側負担も、すべてが日本国民を苦しめる基地強化のためです。

 志位氏は、米軍再編は、米軍と自衛隊が一緒に訓練し、一緒に戦争に乗り出す態勢をつくるところに眼目があると述べ、その邪魔になるのが憲法だとして米側が改憲を公然と要求していることを批判。

 そのうえで「日本共産党は二重の責任を果たしたい」として、憲法改悪反対・基地強化反対のたたかいに全力をあげるとともに、その根っこにある安保条約を解消し、九条が本来の生命力を発揮する展望を述べました。

教育基本法を生かした教育改革こそ求められている

 教育の問題で志位氏は、教育基本法改定をとりあげ、政府の全面改定案は、教育の危機をいっそう深刻にするものだと告発。「憲法に反する二つの大問題」として(1)「国を愛する態度」など二十に及ぶ「徳目」を法律に書き込み、政府が強制する(2)政府による教育内容への介入が無制限になり、教育の自主性・自立性・自由が根こそぎ破壊される――ことを詳しく解明しました。

 このなかで、首相が「内心にまで立ち入って評価しない」と述べていることにかかわって、福岡市などでは、小学六年生の通知表に「愛国心」を三段階で評価する項目が盛り込まれていた実態を告発すると、会場からどよめきが――。これに対し市教育委員会が「心ではなく、態度を評価している」と言い訳をしていることに触れ、キリシタン弾圧時の踏み絵の例もあげ「もともと人の心の中に入って評価などできません。だから内心は必ず態度で評価される。現代の“踏み絵”を許すわけにはいきません」と批判しました。

 そのうえで志位氏は、国際的な学力調査でトップのフィンランドが、競争主義を一掃する教育改革の際に日本の教育基本法を手本にした例もあげ、「教育基本法を生かした教育改革こそ必要です」と訴えると、大きな拍手がわき起こりました。

 最後に志位氏は、異常な大企業中心主義と米国いいなり政治の打破、資本主義をのりこえた未来社会に進む高い理想とともに、国民とともに草の根で苦難軽減のためにたたかう日本共産党の精神を強調しました。

 インドでは四―五月の選挙で、西ベンガル州で左翼政権をさらに発展させ、ケララ州で左翼政権を奪還するなど前進を勝ち取っています。志位氏は、三年前のインド訪問時に、自主独立の路線、人民の暮らしを守り抜くために献身するという二つの共通の精神を確認したことを紹介しながら、同時に異なる条件もあるとして、マスコミを含めた反共包囲網の厳しさを強調。このなかで、かつて政策委員長を務めた人物による党攻撃に言及。公党が事実にもとづき道理を尽くして反論したにもかかわらず、一部のメディアが、責任ある反論を無視し、異様な持ち上げをしていることをあげ、「これはほかの国ではありえないことです。日本に特有の事態を突破するには実力が必要です。あと一年間、党の実力をつけることで勝利への道を開きましょう」と呼びかけると、会場から大きな拍手がわきおこりました。