2006年5月16日(火)「しんぶん赤旗」

教育基本法改悪阻止へ 国民的運動を

共産党がアピール発表

志位委員長が記者会見


 日本共産党は十五日、教育基本法改悪に反対するアピールを発表し、志位和夫委員長が国会内の記者会見で公表しました。また、党中央委員会に市田忠義書記局長を本部長、石井郁子副委員長を本部長代理とする教育基本法改悪反対闘争本部を設置しました。同日、党国会議員団主催の教育基本法改悪に反対する緊急集会を衆院第一議員会館で開き、志位委員長が報告しました。


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(写真)記者会見する志位和夫委員長(右)、市田忠義書記局長=15日、国会内

闘争本部を設置

 アピール「子どもたちのすこやかな成長をねがう みんなの声と運動で、教育基本法改悪をやめさせよう」は、「法案の問題点がどこにあるのか、日本共産党がどういう立場でこれに対するのかについての基本」(志位氏)を明らかにしたもので、五つの柱からなります。

 第一の柱は、教育基本法を変える理由について、政府が国民に納得のいく説明を何一つしていないことを批判しています。

 第二と第三の柱は、法案の内容を批判しています。志位氏は「法案は、全体として『教育の目的』を、子どもたち一人ひとりの『人格の完成』から『国策に従う人間づくり』のための教育に百八十度転換させることに最大の眼目がある」と指摘。憲法にかかわる大問題として、二つの角度から批判しました。

 その一つは、新設される第二条が「教育の目標」を規定して「国を愛する態度」など二十にわたる「徳目」を列挙し、その「達成」を義務づけ、それが評価されることです。

 志位氏は「政府の意思で、特定の内容の価値観が強制され、子どもたちの柔らかい心が、政府が決める特定の鋳型にはめこまれることになる」とのべ、憲法一九条が保障する内心の自由を侵害するものだと厳しく批判しました。

 二つめの角度は、教育に対する権力の統制・支配が無制限のものとなり、教育の自主性と自由が根底からくつがえされることです。志位氏は、「国家権力が無制限に教育内容に介入することが許されるか。これは憲法にかかわる大問題だ。教育は子どもの内面的価値に直接かかわる文化的な営みであり、教育の自主性、自律性、自由が最大限保障されなければならない。法案はこうした憲法の立場と真っ向から背反する」と強調しました。

 第四の柱では、法案の狙いを「海外で戦争をする国」「弱肉強食の経済社会」づくりという「二つの国策に従う人間づくり」にあると批判しています。志位氏は、「教育に『勝ち組・負け組』を持ち込んで、この二つの国策にあわせて教育を改造しようというところに狙いがある。絶対に認めるわけにはいかない」とのべました。

 第五の柱は、教育基本法改悪問題が日本の進路にかかわる国民的課題であることを強調しています。志位氏は「国民的な運動を急速に広げることを強く呼びかけたい」とのべました。


国会での扱い 三つの提案

 志位委員長は、教育基本法改悪法案の国会での扱いをめぐり、日本共産党として三点を提案したいと強調しました。

 一つめに、国会として、教育基本法がもつ準憲法的な性格にふさわしい文字通りの徹底審議を保障することを求めました。

 二つめに、法改定にあたっては、国民的な議論を保障し、国民各層からの意見を十分反映させることを大原則にすべきだと求めました。

 三つめに、政府・与党内の密室協議で法案作成がすすめられたことを指摘し、徹底審議をするためには、政府・与党内での議論内容、その資料について国会に報告すべきだとのべ、必要な資料の提出を求めました。

 その上で、志位氏は、「私たちは徹底審議を通じて廃案を目指すが、この三点は、野党全体の共通の要求になりうるものだと思う。一致点での連携も大いに追求し、文字通りの徹底審議をおこなうことを強く求めたい」とのべました。


改悪法案 きょう審議入り

 衆院議院運営委員会は十五日の理事会で、教育基本法改悪法案の趣旨説明と質疑を十六日の本会議でおこなうことを決めました。

 また、与党側は、十六日の本会議終了後、ただちに衆院教育基本法特別委員会で趣旨説明をおこなう構えです。