2006年5月12日(金)「しんぶん赤旗」

米軍再編―「日米同盟」を地球規模に拡大

CS放送 志位委員長が語る


 日本共産党の志位和夫委員長は十日放映のCS放送・朝日ニュースターの番組「各党はいま」で、在日米軍再編問題について朝日新聞の本田優編集委員の質問に答えました。


憲法9条改悪の動きに直結

 ――再編の本質は。

 志位 (一日の日米安保協議委員会=2プラス2が発表した米軍再編)「最終報告」に「(日米同盟が)新たな段階に入る」という文言が入りましたが、重大な意味を持っています。日米軍事同盟を、文字通り地球的規模に拡大したというのが本質です。

 もともとは日米軍事同盟の範囲は「日本有事」「極東有事」だった。それが一九九六年の「安保共同宣言」で「アジア太平洋地域」が範囲となった。今度は、それを大きく超えて地球的規模で日米が軍事的な協力体制をつくろうとしています。

 昨年二月の「2プラス2」で合意した「世界における共通の戦略目標」では「テロ」や「大量破壊兵器」への対抗が上がっています。その名のもとにイラク戦争、アフガン戦争がやられた。そういう先制攻撃の戦争に日米が協力して取り組むことがうたわれ、昨年十月(の2プラス2)、そして今回と具体化されてきた。

 先制攻撃の戦争にアメリカが乗り出すとき、その最前線の“殴り込み”基地を日本が提供する。そして自衛隊も提供し、米軍と一体となって地球的規模で行動する。日米同盟が地球規模の侵略同盟として新しい危険な段階に入ろうとしています。

 軍事同盟を強化し、紛争に軍事介入するというのは世界から孤立している道です。アメリカの戦争に自衛隊が参戦することになったら海外での武力行使に踏み出すわけで、憲法九条改悪の動きに直結します。国民が力を合わせて食い止めていくべき大問題です。

再編経費――無法な支出は許されない

 ――米軍と自衛隊の役割分担の見直しは。

 志位 実際の戦争を日米一体でやるという動きがすでに進んでいます。

 例えば、米海兵隊や陸軍が陸上自衛隊と都市型戦闘訓練施設で制圧作戦の訓練をやっている。米本土の基地フォートルイスでは、イラクを想定した架空の街で米兵が命令を出し、陸上自衛隊員が敵を「射殺」するという演習をやっている。滋賀県の饗庭野(あいばの)演習場ではターバンを巻いた「敵兵」を「撃ち殺す」という訓練をやっている。近い将来、イラクのような前線での戦闘を日米共同でやることを狙っていると思います。

 ――グアムの基地強化はどうか。

 志位 沖縄の海兵隊司令部のグアム移転はハワイ、沖縄、グアムの三つを拠点に海兵隊を飛躍的に強化する計画の一環です。グアムを海兵隊・海軍・空軍の三軍合同のハブ(拠点)基地として強化する計画の一環でもある。沖縄には実戦部隊が残り、グアムの司令部のもとでより危険な性格を持つようになる。

 先制攻撃のための米領の基地の強化に(日本が)七千億円も出すのはまったく筋の通らない、二重三重の無法行為です。

 ――再編経費は大変な額です。

 志位 ローレス米国防副次官が再編費用の日本負担総額は三兆円と述べ、その後、「日本の情報をもとに計算した金額だ」と明らかにした。情報源は日本だという内幕が分かってしまった。

 グアム移転費以外もキャンプ座間や沖縄、岩国など国内の基地を強化し、国民を苦しめるためのお金です。無法な支出を絶対に許さないということを強く求めていきたい。

 ――自治体との話し合いが進んでいないが。

 志位 地元の自治体がこぞって反対しているのに、「最終報告」は「地元との調整を認識し、再編案が実現可能であることを確認した」としている。さらに「計画を速やかに、かつ徹底して実施していく」と書いている。こうした強圧的な姿勢では、矛盾は絶対に解決しない、いよいよ広がると思います。