2006年6月14日(水)「しんぶん赤旗」
日本共産党の志位和夫委員長が十三日の「拙速な米国産牛肉の輸入再開を止める国民大集会」でおこなったあいさつ(大要)は次の通りです。
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多くのみなさんのご参加に心から感謝します。政府は、六月下旬の小泉首相の訪米にあわせて、米国産牛肉の輸入を再再開しようとしています。日本国民の命より、アメリカへの忠義立てを優先する政府の姿勢は、絶対に許されるものではありません。
今年一月二十日に、米国産牛肉の輸入が停止されてから五カ月となります。この間に明らかになったことは何でしょうか。
その第一は、アメリカ側には、二十カ月以下で特定危険部位除去という、日米で合意したルールすら、それを順守する体制もなければ、意思もないということです。
まずルールを守る体制がありません。わが党の国会議員団は、訪米調査で、米国食肉処理場の膨大な違反記録を入手しましたが、その杜撰(ずさん)な体制は恐るべきものでした。全米一の処理能力をもつタイソン社のレキシントン工場では、一年たらずのうちに十三件もの違反が多発しています。牛の脊髄(せきずい)除去をした作業員がつかった器具を洗浄消毒せずに他の牛の脊髄除去をしていた、三十カ月未満と判定された牛を調べてみたら十歳程度の牛だった、こういう仰天するような違反が繰り返されています。
ルールを守る意思もありません。五月におこなわれた日米政府の専門家会合の後、米政府側は記者会見で、一月に米国産牛肉輸入を全面禁止したのは「過剰な反応だった」として、今後危険部位混入が発生しても扱った食肉処理施設だけの禁止にとどめ、再度輸入全面禁止をすべきでないと語った。駐日米公使は「背骨は危険部位とは思わない」とまでいいました。その無反省、厚かましさは、評する言葉もないほどひどいものではありませんか。
第二は、日本政府が、米国にたいして、本気になってルールを守らせる姿勢が、まったくみられないということです。
五月におこなわれた日米会合で、日本側は「輸出条件の順守体制に問題はない」とするアメリカ政府側の報告書を追認してしまいました。日本だけでなく、香港や台湾でも、BSE(牛海綿状脳症)対策で禁止している骨付き牛肉が、何度も見つかっているのに、「問題なし」とする報告書を追認するとは、どこの国の政府でしょうか。
政府は、「日本政府が査察をおこなうから大丈夫」というが、全米一違反が多いことが明らかになっているグレートオマハ社のオマハ工場を、昨年十二月日本政府は査察しながら、特に問題を指摘しませんでした。本気になって査察をしてこなかったことへの反省もなしに、大丈夫といわれて、だれが安心できるでしょう。
自国の農産物を相手国に輸出するには相手国の衛生条件にあわせるというのは、国際ルールです。そして全頭検査、危険部位除去は、BSEの危険を排除する最低限のルールです。わが党は、訪米の手土産に拙速な輸入再開をはかることには断固として反対します。日本政府は、全頭検査、危険部位除去をアメリカが順守することを強くもとめるべきであり、その条件が守られるまでは輸入再開しない――主権国家として当たり前の態度をつらぬくべきであります。