2006年7月27日(木)「しんぶん赤旗」

全労連第22回定期大会での

志位委員長のあいさつ(大要)


 全労連第二十二回定期大会での日本共産党の志位和夫委員長のあいさつ(大要)は次の通りです。


写真

(写真)あいさつをする日本共産党の志位和夫委員長=26日、東京・江東区

 全労連第二十二回定期大会にお集まりの全国の働く仲間のみなさん。私は、日本共産党を代表して心からの連帯のあいさつを送ります。

こんなにも人間らしい労働のあり方が破壊されているときはない

 私たち、日本共産党は、四月に全国の職場支部の代表が参加して、「職場問題学習・交流講座」を開きました。この会議で、私たちがあらためて痛感したのは、自民党政治の悪政と財界・大企業の職場支配が重なって、正規労働者でも、非正規雇用労働者でも、民間大企業でも、公務労働でも、雇用と労働条件の異常な悪化がすすみ、戦後日本の歴史のなかでも、こんなにも人間らしい労働のあり方が破壊されているときはないということでした。

 七月二十三日にNHKスペシャルで、「ワーキングプア―働いても働いても豊かになれない」と題する特集番組が放映されました。「ワーキングプア」とは、働いているのに生活保護水準以下の暮らししかできない人たちで、日本の全世帯の十分の一以上、四百万世帯以上ともいわれています。番組では、国民のあらゆる階層で貧困がすすみ、それがつぎの世代へと引き継がれていく深刻な実態を映し出していました。都会で、不安定雇用の若者のおかれている実態がどんなに過酷なものか。二十代まではアルバイトなどで仕事が見つかるが、三十代になると途端に働き口が少なくなり、近くに頼れる親がいないと、収入が途絶えたとたん、家を失い、路上生活を送らざるを得なくなる。そういう若者の実態も生なましく告発していました。

 『週刊エコノミスト』の七月二十五日号では、「ここまで来た“働かされ過ぎ”―過労死大国」という大特集を組みました。この特集では、過労による労災申請数は、二〇〇五年度は、脳・心臓疾患・精神障害あわせて千五百二十五人、そのうち死亡が四百八十三人と、どちらも過去最悪となっているとしています。「過労死」の原因が、成果主義や裁量労働が拡大するなかで、果てしない長時間労働がおしつけられていることにあること、正社員だけでなく派遣・請負労働などでも「過労死」がひろがっていることを、この特集では、告発しています。

 みなさん、一方で、一握りの錬金術師がぬれ手で粟(あわ)の大もうけをしながら、他方で「ワーキングプア」と「過労死」という言葉に象徴される痛ましい事態が働くものを襲っている。この事態はなんとしても打開しなければなりません。そのために私たちは、みなさんと共同して、全力をつくす決意を申し上げるものです。(拍手)

日本経済と社会の未来を救う大義あるたたかい

 同時に、私たちが目をむける必要があるのは、これらの労働者への攻撃が、財界・大企業の職場支配をみずから掘り崩す深刻な矛盾をつくりだしていることです。

 たとえば、国産車のリコールが急増し、二〇〇四年度には、過去最高の七百七万台にのぼり、十台に一台がリコールの対象になっています。人間をモノのように使い捨てにするやり方に、未来はないことを、この現実が示しているのではないでしょうか。

 政府・財界の横暴に正面からたちむかい、人間らしい労働のルールをもとめるたたかいは、日本経済と社会の未来を救う大義あるたたかいだということに確信をもち、「社会的連帯で反撃を」の旗を高く掲げて、ともにがんばりぬこうではありませんか。(拍手)

全労連への二つの期待――労働組合運動の原点にたって

 こうしたもとで、全労連の存在と役割が、いまほど重要なときはないと思います。私は、みなさんの運動への二つの期待をのべさせていただきたい。

 第一は、思想・信条の違いをこえて要求実現のために団結する組織としての労働組合運動の原点にたった活動を、さらに大きく発展させていただきたいということであります。

 JMIU、全労連・全国一般、建交労、日本医労連、自治労連、国公労連などの単産と、県労連が共同して、個人加盟組合をたちあげ、非正規雇用労働者の組織化の努力がかさねられ、前進がつくられつつあります。

 全教が中心となって、教員への評価制度を賃金にまで持ち込む攻撃に正面からたちむかい、ほとんどの県で阻止していることは重要だと思います。

 労働者の苦しみに心をよせ、要求にもとづいて団結と共同をすすめる―全労連ならではの活動を、さらに大きく前進させることを、私は、心から願うものです。

 第二は、平和、民主主義、国民生活擁護をもとめる国民的運動の要としての役割を、さらに発揮していただきたいということであります。

 五万人を結集した5・27国民大集会、三万人を結集した7・9横須賀大集会など、国民的運動の発展に、全労連のみなさんは大きな役割を果たされてきました。

 教育基本法改定問題でも、国民的連帯の闘争をよびかけ、集会にうかがうと、全教の旗とともに、各単産の旗、各民主団体の旗が翻っていたことも、たたかいの前進を象徴するものでした。この悪法をつぎの国会で廃案においこむためにみなさんと力をあわせたいと思います。(拍手)

 憲法擁護闘争では、国会内の力関係だけに目を奪われず、国民過半数を結集する運動にうまずたゆまずとりくむことが、改憲策動を打破する最大の保障であります。

 基地反対闘争では、日米両政府が何を合意しようと、自治体ぐるみ、住民ぐるみのたたかいを、発展させることが勝利へのカギであります。

 そして国民・労働者の要求を実現するうえで、政治の改革が必要になります。政治の改革には統一戦線が必要です。その本流は、結成二十五周年をむかえた革新懇の運動にこそあります。全労連が、全国革新懇に参加する最大組織として、生活向上、民主主義、安保廃棄という三つの共同目標での国民的多数派を結集していくうえで、ひきつづき重要な役割を発揮されることを、代表世話人の一人としても、心からお願いするものです。

 ともにたたかう決意を重ねてのべて、連帯のあいさつといたします。(拍手)