2006年11月7日(火)「しんぶん赤旗」

糸数さんで基地のない希望ある沖縄を開こう

政談演説会 志位委員長のあいさつ


 日本共産党の志位和夫委員長が六日、沖縄県知事選の野党五党推薦、糸数けいこ氏の政談演説会でおこなったあいさつ(大要)は次の通りです。


写真

(写真)あいさつする志位和夫委員長=6日、那覇市

 みなさん、こんばんは。日本共産党の志位和夫です(拍手)。

 先ほど、ウチナー(沖縄)の言葉を聞きました。「イナグヤ ヤーヌ ナカバシル(女は家の大黒柱)」(拍手)。ウチナーの言葉はいいですね(拍手)。けいこさんを知事にして、“ケイコ オキナワ ナカバシル”にしようじゃありませんか(大きな拍手)。


「沖縄の心」を体現するすばらしい人、糸数さん

 私は、告示前の公開討論会での糸数けいこさんの発言を拝見し、深く心を打たれました。

 糸数さんは、「私は沖縄戦の体験から、軍隊は住民を守らないということを知りました。その経験から、私は戦争につながるいっさいのものに反対します」ときっぱりいわれました。

 沖縄戦で糸数さんのお母さんはヤンバル(沖縄本島北部)を逃げまどい、幼い子どもさんを飢えで死なせてしまった。この痛苦の体験が、糸数さんの原点だというお話をうかがいました。

 私が沖縄にうかがうたびに感じるのは、沖縄戦でたいへんな犠牲をこうむり、戦後も長く基地の重圧のもとに苦しめられてきた沖縄県民のみなさんの平和をもとめる、たぎるような熱い思い――「沖縄の心」です。

 「戦争につながるいっさいのものを拒否する」ときっぱり言い切る政治家、糸数けいこさんこそ、「沖縄の心」を体現する、沖縄の知事にもっともふさわしい人ではないでしょうか(拍手)。

新基地建設――50年、100年先の沖縄の未来がかかっている

 この選挙戦の最大争点は、新基地建設を許すのかどうかです。V字形の滑走路、今日の新聞を見ましたら、双方向から米軍機が進入するということです。V字形の滑走路に双方向から来るんですから、四倍の危険です。

 今回の新基地建設の計画は、五十年、百年先まで、沖縄を、世界中の戦争への殴り込みのために、基地の島として足場にしつづけようという、アメリカの超長期戦略のなかに位置づけられています。それは、テレビ朝日が、この計画が、ベトナム戦争のころから米軍があたためていたものだったことを暴露したことにもよく示されています。

 ですからこの選挙は、今後四年間の県政のあり方だけでなく、五十年、百年先の沖縄、二十一世紀の沖縄、基地のない沖縄への未来がかかった選挙です。どんなことがあっても負けられないではありませんか(拍手)。

 同時に、日本の未来もかかっています。「米軍再編」は、座間、横須賀、岩国など、全国で大問題になっていますが、自衛隊の元統幕議長は、再編計画は「パッケージ」になっていて、「一部が進展しない場合は、全体としての計画が頓挫する」といっています。沖縄で新基地建設をとめれば、全国の基地強化の計画にもストップがかかります(拍手)。平和を願う日本国民がこぞって糸数さんの勝利を願っていることも私は訴えたいと思います(拍手)。

国いいなりに新基地建設すすめる自公の人にはまかせられない

 自民・公明の人は、本音がすっかり見えました。告示を前に「ベストは県外移設だが、直ちに県外で(移設先を)見つけ難いものは県内移設もやむをえない」と発言しました。

 もともとこの人は、根っからの基地容認派です。昨年十一月、現知事が、県民のみなさんの世論に押されて、名護市辺野古沿岸案を拒む姿勢を見せたときに、「政府と事を構えない方がいい」とのべました。今年五月に、現知事が、県民を裏切って、政府と新基地建設の「基本確認書」を交わしたときには、「これで移設問題の進展が図られると期待し、評価する」と称賛しました。

 国いいなりで新基地建設を後押ししてきた人物に、沖縄県政のかじ取りをまかせることは絶対にできません(拍手)。

 平和を願い、基地のない沖縄を願う、「沖縄の心」を総結集して、糸数けいこさんを知事に押し上げ、新基地ノー、米軍再編ノーの県民の意思を示そうではありませんか(歓声、大きな拍手)。

県民の暮らしよくする三つのカギ 「福祉の心」を持った糸数さんで

 経済と暮らしの問題も重大な争点です。自公県政の八年間で、沖縄の失業率は7・9%に悪化し、県民所得は一人当たり十四万円も下がりました。高すぎる国民健康保険料が払えず、保険証を取り上げられ、医者にかかれない方がたくさんおられます。高い保険料と利用料でまともな介護が受けられない。障害者への負担増で、共同作業所から追い出されています。暮らしが悲鳴をあげています。

 どうしたら沖縄県民の暮らしをよくする道が開かれるか。私たちは三つのカギがあると思います。そしてそのすべてに糸数候補はこたえていると思います。

 第一は、本土から大企業をいかに誘致するかという発想では、沖縄が誇る豊かな可能性が生かされないのではないでしょうか(拍手)。沖縄で現に頑張っている産業――観光産業、地場産業、農漁業、中小企業を応援することこそ、沖縄経済を土台から立て直す道です(拍手)。観光業の現場で大きな実績を積んできた糸数さんにその願いを託そうではありませんか。

 第二は、沖縄は「出生率日本一」の県であり、「全国トップクラスの長寿県」です。安心して子どもを産み育て、長年ご苦労されてきたお年寄りに報いる福祉第一の県政に切りかえれば、沖縄の未来は大きく開けてきます(拍手)。

 糸数さんの具体的な政策――県立北部病院の産婦人科の再開、乳幼児医療費の病院窓口での支払いをなくす、重度障害者の入院給食費助成を復活させるなどはまさに県民の福祉への願いにこたえたものです。「沖縄の心」を持った糸数候補は「福祉の心」を持った政治家でもあります。

 第三は、基地のない沖縄への道を進んでこそ、沖縄経済の発展の道が開かれます。基地の重荷を取り除いたら、どんなに素晴らしい未来が開けるかは、那覇の新都心が示しています(拍手)。基地のない石垣市では、観光と沖縄の自然を生かした一次産業を結びつけ、復帰時の240%という経済成長をとげて、全国から注目されています(拍手)。糸数さんとともに基地のない沖縄をめざすなかで、暮らしと経済も栄えた沖縄を一緒に築こうではありませんか(拍手)。

糸数さんで島ぐるみのたたかい発展させ、基地のない沖縄を

 自民党幹事長は、「基地の即時撤廃論は、現実問題として基地の永久化固定化につながる」といいました。永久化を狙う人たちがなんという厚かましさでしょう。

 私は逆だと思います。「基地のたらいまわしでなく撤廃」という立場こそ、基地のない沖縄をつくるもっとも現実的な道だということを訴えたいと思います(拍手)。

 そして沖縄県民の意見がひとつにまとまり、島ぐるみのたたかいとなれば素晴らしい力を発揮します。あの一九九五年の事件があったあと、島ぐるみのたたかいがおこりました。その力でこの十年間、杭(くい)一本打たせてこなかったではありませんか(拍手)。

 本土復帰をかちとったたたかいでも、条約の上からは不可能なことを可能にしたのは、島ぐるみの本土復帰闘争でした。島ぐるみでたたかえばどんな壁も打ち破ることができます。

 五党が結束し、糸数さんを中心に島ぐるみのたたかいを発展させれば、基地のない沖縄、希望ある沖縄の未来は必ず開けます(拍手)。

 糸数けいこさんの勝利のために、最後まで頑張りぬく決意を申し上げてあいさつにかえさせていただきます(歓声、大きな拍手)。