2006年11月16日(木)「しんぶん赤旗」

最終盤 大接戦 21世紀の沖縄の未来をかけ、必ず糸数勝利を

沖縄 志位委員長の演説(大要)


 日本共産党の志位和夫委員長が十五日、沖縄県那覇市でおこなった、野党五党推薦の糸数けいこ氏の応援演説(大要)は次の通りです。


写真

(写真)糸数けいこさんと志位和夫委員長の街頭演説=15日、那覇市

 みなさん、こんばんは。日本共産党の志位和夫です。(拍手)

 全国注目の沖縄の政治戦は大激戦、大接戦のまま最終盤を迎えました。糸数けいこさんが猛追しています。(歓声、大きな拍手)

自公政権対沖縄県民のたたかい

 沖縄の政治戦の様相は、ひとことで言いまして自民・公明政権対沖縄県民のたたかいになっていると思います。自民党県連の幹事長は、選挙中に「二百人の国会議員が応援に来る」といったそうです。しかし、本土からきた自民・公明の政治家が沖縄で叫んでいることはいったい何か。

 久間防衛庁長官は、嘉手納基地へ米軍がパトリオットミサイルを配備したことについて「沖縄の人は感謝すべきだ」といいました。ミサイルを置くことは、基地強化であり、沖縄が標的にされるということです。基地の強化を感謝せよというのか、標的にされることを感謝せよというのか。沖縄の心がまったくわからないこんな勢力に負けるわけにはいきません。(拍手、指笛)

 十二日にこの同じ場所で演説した公明党代表代行は、訴える政策がありません。そこで糸数さんへの個人攻撃を始めました。「参議院で、沖縄の『お』の字をいうことも聞いたことがない。沖縄のために何一つやっていない」といったそうであります。これはまったくのうそであります。ウチナーグチ(沖縄の言葉)では、ユクサー(うそつき)というそうですが(拍手)、もっとも卑劣なやり方であります。

糸数さんは、基地から泡盛まで、沖縄の立場を堂々と主張

 糸数さんは、委員会は財政金融委員会なので、沖縄や基地の問題をとりあげるのに苦労がありますが、二年余りの四十五回の質問のうち、沖縄の問題を三十四回とりあげています。小泉首相(当時)相手に「辺野古移設を断念せよ」と迫り、沖縄がイラク戦争の出撃拠点になっていることを追及し、さらに沖縄の畜産、パイン、サトウキビ、泡盛の振興問題まで、沖縄の問題を見事にとりあげていることが議事録にはっきり刻み込まれています。(指笛、大きな拍手)

 糸数さんが沖縄の問題を委員会で取り上げようとすると、自民・公明の理事は、「沖縄のことばかりやるな」と二回にわたって妨害したそうです。糸数さんは妨害に屈せず、堂々と沖縄の声を国会に届け続けてきました。みなさん、こういう人こそ、県民の気持ちを政府にしっかりと伝える沖縄の知事にふさわしい方ではありませんか。(歓声、大きな拍手)

 みなさん、このたたかいは、自民・公明政権と沖縄県民のたたかいです。ユクサー・自公連合に負けるわけにはいかない(指笛、拍手)。糸数けいこさんは「戦争につながるいっさいのものに反対する」と訴えつづけています。「沖縄の心」を体現する糸数けいこさんをなんとしても知事に押し上げようではありませんか。(歓声、大きな拍手)

新基地建設――まぎれもない基地機能強化・永久化

 今回の政治戦には二つの大争点があります。「新基地おしつけ」を許すのか、「暮らし・福祉・経済」の問題をどうするのかです。どちらの問題でも、県民の願いにこたえられるのは糸数さんだということが論戦を通じてはっきりしました。

 新基地おしつけの問題では、二つのことがはっきりしました。

 一つは、新基地建設の目的が、負担軽減ではなく、基地機能強化と永久化だということです。この間、米軍がV字形滑走路の双方向からの離着陸を要求していることが明らかになりました。日本共産党の赤嶺政賢衆院議員が政府を追及しますと、日本政府も容認すると言うのです。

 しかしみなさん、そもそも、どうして当初の一本の案が、二本のV字形の案になったのでしょう。相手の説明はこうでした。「住民の安全を確保するため、住宅地上空を飛行しないためには滑走路をV字形にして、一本は着陸専用に、もう一本は離陸専用にする」。

 それが二つとも着陸・離陸に使えるとなると、何のためにV字形にしたのかということになるではありませんか(「そうだ」の声)。基地機能を強化するということがはじめからの目的であって、住民の安全のことなどどうでもいいと宣言したにひとしいものではありませんか。(大きな拍手)

自公が推薦する人の新基地推進の正体もはっきり

 もう一つは、自公候補が、まぎれもない新基地推進派だということが、すっかり明らかになったということです。私が、六日にうかがったさいには、相手が推薦する人が「県内移設もやむを得ない」とのべたことが問題になっていました。その後、七日に放映されたNHKのインタビューで、その人はこう言いました。

 「日米(安全保障)協議委員会のレポートを見ても、機能的にヘリの訓練と飛行場というのは、海兵隊の運営上、どうしても近場にないといかん。そうすると県外・海外はどうしても難しい。そうすると名護市への移設というのは大きな選択肢の一つになる」。

 「やむをえない」から「大きな選択肢」に。正体がはっきりしたじゃありませんか。(拍手)

 しかもその理由が許せません。いま紹介した発言でも、「(米国の)海兵隊の運営上、近場にないといけない」。これを理由にしているのです。いったいこの人は、沖縄県民の心を持っているのでしょうか。米軍の代弁者と言われても仕方がないのではありませんか(拍手)。県民の安全よりも、米軍の都合を優先するような人に、県政のかじ取りを任せるわけにはいきません。(歓声、大きな拍手)

 新基地建設ストップ、基地のない沖縄をという願いは、こぞって糸数けいこさんにお寄せください。よろしくお願いいたします。(大きな拍手)

県民いじめの「実績」の「継承」はお断り

 「暮らし・福祉・経済」の問題ではどうでしょうか。自公が推薦する人は、「稲嶺県政の実績を継承する」というだけであります。しかし、自公県政の「実績」とは何か。

 この八年間で、失業者は四千人増えました。県民所得は年間十四万円減りました。沖縄振興開発事業費は四千四百三十億円から二千三百四十億円に半減しました。高すぎる国民健康保険料が払えない。そうすると、無慈悲にも保険証がとりあげられ、お医者にかかれない。健康が悪化し、亡くなる人が相次いでいます。こんな県民いじめの「実績」の「継承」などごめんこうむるというのが、県民のみなさんの気持ちではないでしょうか。(拍手)

 私は、沖縄の県民のみなさんの暮らしと経済をよくするには三つのカギがある、それにすべて応えているのは、糸数けいこさんだということを訴えたいのであります。

第一 観光・地場産業・農漁業・中小零細企業を応援してこそ

 第一は、本土から大企業を誘致するという発想では、沖縄のすばらしい可能性を引き出すことはできないということであります。現に頑張っている観光産業、地場産業、農漁業、中小零細企業を応援することこそ、沖縄経済を土台から立て直す道であります(拍手)。「平和バスガイド」として、観光産業の現場で、地に足をつけて長年がんばりぬき、額に汗して働いている県民のみなさんの気持ちを知り抜いている糸数さんでこそ、この仕事はできる。このことを私は訴えたいのであります。(大きな拍手)

第二 「福祉の心」で切り捨てられた施策の復活を

 第二に、沖縄県は、「出生率日本一」「全国トップクラスの長寿県」です。この豊かな条件に応える福祉にとりくめば、それこそ日本一住みよい県になることは明りょうです。(拍手)

 安心して子どもを産み育てるために、産科の病院を整備する、乳幼児医療費助成制度を拡充する。長年ご苦労されてきたお年寄りが安心して暮らせ、障害者の方々の人間としての尊厳を守るために、切り捨てられた福祉を復活させる。糸数けいこさんが掲げている一つひとつの政策は、「沖縄の心」をもつ糸数さんが、「福祉の心」をもった政治家でもあることをしめしています。(指笛、大きな拍手)

第三 基地のない沖縄への道を歩んでこそ、経済の明日が開ける

 第三に、基地のない沖縄への道を歩んでこそ、経済の発展の道が開けてきます。そのことは那覇市の新都心にもはっきりしめされています。北谷町のハンビータウンにもしめされています。石垣市では、復帰後240%の経済成長をしていますが、革新市政の大浜長照市長は、このように述べています。

 「人口四万八千の石垣市に、年間七十七万の観光客が訪れます。同じ沖縄でも、基地がなければ、農業や水産業も大いに発展して、基地関連の収入よりはるかに大きな生産的な収入があります」。

 みなさん、石垣市の経験がしめすように、基地のない沖縄への道を、一緒にすすんでこそ、暮らしをよくする道も大きく開かれて来るのではないでしょうか。その願いを糸数さんに託そうではありませんか。(大きな拍手)

糸数さんとともに、基地のない沖縄めざす島ぐるみのたたかいを

 県民のみなさんにとっては、四年間の県政が問われている政治戦というだけではありません。五十年先、百年先の沖縄の未来がかかった政治戦です。相手陣営は「基地の撤去など非現実的だ」といいます。しかし私はいいたい。県内のたらいまわしこそ、基地を永久化する道です。これに固執する限り、基地の問題は永久に解決しないということは、みなさんが身をもって感じておられることだと思います。(拍手)

 沖縄県民のみなさんが島ぐるみで団結すれば、越えられない壁はありません(拍手)。一九九五年のあの事件があったあと、島ぐるみの基地なくせのたたかいがおこりました。そのあと、SACOの合意が結ばれ、辺野古の新基地建設の計画が持ち上がったけれど、みなさんのたたかいによって、くい一本、打たせてこなかったではありませんか。(拍手)

 そしてさらに思い起こせば、本土復帰も、島ぐるみのたたかいで勝ち取った偉大な成果であります。もともとサンフランシスコ条約では、日本政府は沖縄の施政権を放棄してしまって、条約上では不可能なたたかいが本土復帰闘争でした。しかし島ぐるみのたたかいによって、不可能を可能にした。島ぐるみで団結すれば越えられない壁はありません。

 “糸数県政”を誕生させ、それを出発点にして、島ぐるみのたたかいを発展させ、基地のない沖縄への道を開く政治戦にしていこうではありませんか。(歓声、拍手)

 みなさん、この政治戦は、日本の未来がかかった政治戦です。「米軍再編」というのは、沖縄だけではなく、神奈川県の座間や横須賀、山口県の岩国など全国各地で大問題になっています。これは「ワン・パッケージ」の計画になっていて、どこか一つが駄目になれば全体が駄目になる。ですから、沖縄で基地強化の計画にストップをかければ、全国の平和を願うたたかいの限りない励ましになるということも私は訴えたいと思うのであります。(大きな拍手)

沖縄から世界に向け平和のメッセージを

 そしてみなさん、この選挙で、世界の平和にたいする貢献となる結果を出そうということを訴えたいのであります。

 イラク戦争では、この沖縄が出撃拠点とされました。しかしイラクはいま、内戦の寸前といわれる状態まで情勢が悪化し、この前の米国の中間選挙では、ブッシュ政権に、アメリカ国民自身がノーの歴史的審判を下しました。(拍手)

 イラク戦争を進めた張本人のラムズフェルド国防長官は更迭されました。同長官は「米軍再編」の計画をつくった張本人でもあります。みなさん、「米軍再編」の計画も白紙に戻させようではありませんか。(歓声、拍手)

 この政治戦を、沖縄から日本を変える、そして沖縄から世界に向けてすばらしい平和のメッセージを発信する政治戦にしていこうではありませんか。 みなさん、政治戦はこれからが勝負です。よく沖縄では「三日戦争」といいますが、最後の最後まで頑張りぬいたものが勝利をつかめます。日本共産党も、ともに頑張る決意を申し上げて私の訴えとさせていただきます。ありがとうございました。(歓声、大きな拍手)