2006年11月16日付「しんぶん赤旗」に掲載

年内に 選挙・党建設で大きな前進の波を

「今が選挙」の緊迫感もったたたかいに

幹部会都道府県委員長会議 志位委員長の報告(要旨)


 日本共産党は、十三日に幹部会、つづく十四日に全国都道府県委員長会議を開き、志位和夫委員長が報告とまとめをおこないました。活発な討論がおこなわれ、参院選、いっせい地方選にむけて、年内に選挙、党建設のとりくみで大きな前進の波をつくる決意を固めました。


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(写真)報告する志位和夫委員長=14日、党本部

 志位和夫委員長は、会議の目的について、二中総から四カ月が経過し、いっせい地方選挙まで四カ月、参院選まで半年に迫った時点に立って、二中総以後の情勢の進展と党の役割、二大選挙の勝利に向けた党活動の強化方向について全国の意思統一をはかることにあると述べました。

情勢の進展と日本共産党の役割

 情勢の進展と党の役割では、歴史問題、北朝鮮問題、アメリカ論、格差と貧困、教育基本法をめぐる論戦とたたかい、憲法闘争、野党外交の新しい発展、赤旗まつりの成功について解明しました。

 どの問題でも自民党政治のゆきづまりと矛盾が激化し、“政治の流れの変化”が手にとるように浮き彫りになり、その中で日本共産党の値打ちが際立っていると強調し、「日々の『しんぶん赤旗』を指針に、情勢の生きた進展とのかかわりで党の役割を明らかにし、全党を鼓舞激励する政治指導を、指導の中心にすえよう」と述べました。そして、新しい綱領、大会決定、二中総が生きた力を発揮しており、この決定の内容を全党員に徹底するとともに、大いに国民の中に打って出ようと呼びかけました。

二つの選挙勝利をめざすとりくみ

 来年の二つの選挙勝利をめざす取り組みでは、二中総が、「支部が主役」の選挙戦に取り組むこと、中でもすべての支部が得票目標・支持拡大目標を持ち、支部主催の演説会・小集会を年内に開くことを提起し、十月三日付別刷り「主張」が「対話・支持拡大については、得票目標をこえるとりくみを年内に」と呼びかけたことを指摘し、「どうやって飛躍をつくるか、いくつか議論してほしい問題」として三点を提起しました。

 第一は、選挙は来年のことではなく、すでに激しい党派間のたたかいが始まっていることをよくつかみ、緊張感をもった指導と活動をしているかという問題です。とくに、すべての支部が得票目標を決め、(1)支部主催の演説会・懇談会を年内に取り組む(2)得票目標を超える支持拡大を年内に行う―という「二つの仕事」をやり切る重要性を正面からとらえた活動になっているか、という問題を問いかけました。

 志位氏は「これは年来の活動の弱点の反省に立ったもの」と述べ、前回のいっせい地方選の経験を振り返りながら「『対話が際限なく遅れる』という年来の弱点を今度こそ打開することが必要です」と強調しました。

 第二は、いっせい地方選の帰すう、とくに前半戦の帰すうは参院選にも大きな影響を及ぼすものであり、どの党にも負けない構えと活動になっているか、投票日からの逆算で勝利のためにやりきる戦闘的な取り組みがつくりきれているかです。

 志位氏は▽候補者を決め、選挙体制をつくり、基本的な宣伝物をつくるなど、選挙戦を本格的にスタートさせる上で最優先に取り組むべき課題を、党機関の長の責任で100%やりきる▽政治論戦では、どの党も参院選の前哨戦と位置付け、従来にも増して政党選択を激しく争うたたかいになっている中で、国政と地方政治を一体に、日本共産党の値打ちを押し出す大きな論戦が必要になる▽政令市への移行や定数の削減などで、現有議席の絶対確保、前進のためには、これまでやったことのないような活動で大幅の得票増が必要なところも少なくなく、そうした選挙区で、困難に正面から挑む深い意思統一と取り組みが求められている―と提起しました。

 第三は、同時に「参議院選挙はいっせい地方選が終わってから」という段階論に絶対に陥ってはならないことです。全国すべてでたたかわれる政治戦は参院選挙であり、参院選の勝利のために全党が心を一つにし、とりわけ比例代表選で六百五十万、五議席絶対確保への責任をはたす指導と活動が求められています。

 得票目標を持った支部が、いっせい地方選挙をたたかう自治体と、たたかわない自治体との間で落差があることを指摘し、「参議院選挙の取り組みをいっせい地方選挙と一体に推進する。この見地を握ってはなさない」という二中総の見地を銘記してたたかうことを強調しました。

党建設について

 次いで党建設の問題に話を進め、「全党的には残念ながらもう一歩不足で連続後退が続いている。どうすれば『選挙で勝てる強く大きな党』づくりを本格的な前進の軌道にのせることができるか、討論で深めてほしい」と、二つの問題を提起しました。

 一つは、すべての党員、支部が自覚的に参加する党をつくりながら党を大きくする方針を「この道しかない」「いまの努力が必ず実を結ぶ」と確認した二中総決定を揺るがず追求しているかどうかです。

 「自覚的な支部づくりの大事さは分かるが、なかなか党勢拡大に実らない」「これで二大選挙に間に合うのか」との一部の意見に対し、「選挙勝利を考えても、党勢の持続的な拡大を考えても、党のさまざまな活動が一部の党員と支部に担われている現状を前向きに打開して、すべての党員、支部の自覚に支えられた党をつくることなくして、党の本格的な前進はありえない」「『選挙に間に合うのか』でなく『この方針を堅持し、選挙に間に合わせる』という姿勢を貫いてこそ知恵も力もわいてくる」と強調しました。

 第二は、「知恵は現場にある」(二中総)という立場で、教訓から学び、困難をともに打開する指導と活動を貫いているかどうかです。

 この間、常任幹部会としてもこの姿勢に立って活動改善に努力してきたことや、十月に開いた三地区委員長座談会の内容を紹介し、「都道府県委員会の活動として、『知恵は現場にある』という立場で、二中総決定にもとづく地区や支部の探求と苦労をよくつかんで学び、教訓化し、全体のものにする努力がどのようにはかられているか、討論で交流したい」と述べました。

 志位氏は最後に、党中央が大会以来、「特別党学校」「職場講座」など、党建設で長期的視野に立った新しい手立てをとってきていることを紹介し、「いま『強く大きな党』をつくる豊かな条件が存在します。そこに確信を持って、残る十一月、十二月で、これを花開かせ、質的にも量的にも党建設の大きな前進の波を必ずつくりだし、選挙での勝利への道を開こう」と呼びかけました。

討論から

他党を上回る構えと気迫で

 討論では、いっせい地方選が、参院選の前哨戦として党派間の激しい争いとなっていることが、共通して示されました。

 二週間後に県議選が迫った茨城県でも、各党の党首クラスが来県し、とりわけ党が議席を争う四選挙区では、党追い落としの動きを含めた激しい争いとなっています。「参院選をにらんだ党派間闘争の様相が強まっている」。田谷武夫委員長は、そう指摘します。

 こうした激烈な状況が生まれている背景には、悪政の推進への批判が高まり、自民党政治の支持基盤が崩れていることがあることも、それぞれの発言で明らかにされました。

 自民、民主ともに大量立候補の動きを強める東京都では、各行政区で従来の二倍から五倍の住民アンケートへの返信があり、悪政への怒りや悲鳴にも似た声が書き込まれています。批判の高まりを前に、墨田区では自民と公明が、区に“住民税増税へ怒る人たちを納得させる説明をしてくれ”と質問しています。

 若林義春都委員長は、こうした実例を示しながら、「悪政への怒りが噴出し、支持者とのあいだにあつれきが生まれている。党の値打ちと悪政の告発が届けば、党への期待を広げることができる。他党の動きを軽視できないが、恐れることなく、やるべきことをやりきりたい」と述べました。

 参院選を視野に「共倒れになっても、自民党の票を増やせ」と、現職十一人に対し十八人の公認候補を擁立した青森市議選でも、自民党は、「共産党を半減させる」と危機感をむき出しにした反共攻撃も行い、十六人を当選させました。

 同市の共産党は攻撃に抗し、過去最高の得票で議席占有率を前進させました。同市議選の反省点にもふれたうえで堀幸光県委員長は、三十三歳の新人候補が二千百回の宣伝で地域の話題になるとともに、電話での対話が苦手な人のために、経験者に学ぶ「お電話学校」も開くなど「支部が主役」の選挙戦を広げるなかで、前議員の一・五倍の得票で当選したと報告。「いかに相手側の動きが激しくとも、党の活動次第で勝利できると実感した」と述べました。

 十二日投票で県知事選をたたかった福島県の最上清治委員長は、「二大政党」キャンペーンのすさまじさを報告しながら、同日投票の南相馬市議選で、定数六の二つの選挙区でトップ当選を勝ち取った経験を発言。「住民の要求との関係で党の存在意義を鮮明にすることができれば、いかに『二大政党』の嵐のなかでも勝利できる」と述べました。

党大会後の努力を実らせて

 年内に選挙と党建設の両面で大きな上げ潮をつくる点での経験や条件の広がりが、討論で共通のものとなりました。

 情勢の流れの変化では、教育基本法改悪反対や憲法改悪反対、地方政治をめぐる要求など、国民の願いやたたかいと、それに応える党のとりくみが紹介されました。

 渡辺和俊京都府委員長は、京都市職員の犯罪や不祥事問題で、「背景にある『解同』(部落解放同盟)の行政への不当な介入を追及してきた日本共産党の議席の値打ちが浮かび上がる条件がでてきた。大山崎町長選、町議選勝利に示されたように、小泉構造『改革』による地域破壊で、従来は考えられなかった共同の可能性がでてきている」とのべました。

 「周産期医療の問題と、『解同』の不正問題の追及で、テレビで連日、党議員が登場し、日本共産党への注目が広がっている」(奈良県)、「全教の副委員長を招いて開く教育基本法改悪反対のシンポジウムに日教組系の元県教組委員長がパネリストになるなど党派を超えた共同が広がっている」(大分県)など流れの変化が各県から報告され、「党が切り開いてきたことを全党員が確信にしていくとりくみと結びつけて、綱領や大会決定、二中総討議を進めていく」(山口県)重要性が語られました。

 年内に得票目標を超す対話・支持拡大を進めるとりくみで、神奈川県の小池潔委員長は「選挙勝利のため選挙活動全体を根本から変えていくことに直結した、やり抜かなければならない問題だ。機関の側が選挙本番の構えと体制をとり、日々たたかい抜く」と語りました。「対話リーフと候補者のビラを支部総会で目の前に置き、自分はどう話すのか議論しようと重視している」(京都府)経験も報告されました。

 支部の小集会、演説会は「中身が議会報告になり、党を語る点が弱かった。改善し、全支部でとりくんでいきたい」(熊本県)と模索しつつ各地でとりくまれ、力になっています。

 鳥取県は保守、無党派層も視野に入れた「攻めの小集会」、「政治への思いや要求を聞かせてほしい。共産党の話も聞いてほしい」と「双方向の小集会」を開き、「鉱脈をつかみつつある」といいます。要求やつながりを生かし、保守層の人たち自身に参加を広げてもらう工夫をしています。

 職場問題学習・交流講座を契機に職場支部が前向きに変化し、全体の活力源になっていることが鮮明になりました。

 「赤旗まつりで看護師が入党した病院の支部は、数カ月間支部会議が開かれていなかった。職場支部援助委員は指導というより悩みを聞くことで四カ月間援助し、まつりで対象者を連れてきて入党してもらうことができた。四カ月とか半年単位の援助で結果が出た」(埼玉県)、「職場『講座』を力に、交流会も開くなどして職場支部の成果支部を広げている」(兵庫県)

 大阪府の山口勝利委員長は「先日の責任者会議は、この間の努力と合わせて非常な確信を広げている。職場支部の変化が地区全体の活力になっている」とのべました。

全支部・全党員参加の党づくり

 「政策と計画」をもった「支部が主役」の自覚的な党づくりをすすめながら、選挙に勝てる大きな党をつくる――党大会と二中総が示した「この道」を、いかに揺るがずに追求するか。討論では、みずからの活動を振り返りながらその大切さを深め、“性根をすえて”「この道」を追求する決意を込めた発言が続きました。

 二中総で「不覚にも『月間』が提起されると思ってやってきたが、報告を聞き、討論を聞いて、この方針でこそ前進がつかめる」と発言した石川県の秋元邦宏委員長は、「選挙を控え、やるべきことが多いからこそ、全党員の力を集めることが欠かせない」と、二中総具体化、実践の努力を重ね、党勢拡大でも支部会議や党費の納入でも前進を切り開いている経験を紹介し、注目を集めました。

 なかでも、加南地区は、基地強化に反対する共同を広げながら、“「支部が主役」の活動は支部会議の開催から”を合言葉に、自覚的な支部を広げてきました。こうした努力を通じ、支部会議が開かれていなかった支部を四割から一割に減らし、すべての支部が二中総の討議を開始するまでになります。この努力と、絶対に後退させない構えが結びつき、59%の支部が読者を増やし、七カ月連続で読者を前進させていると報告しました。

 福岡県の岡野隆委員長は、「振り返ってみると、揺れがあった」と反省を込めて発言しました。同県は六月から十月まで党勢拡大で連続後退。十月は、月前半で一カ月分の拡大をし、後半は前進のための拡大をしようと議論したもののうまくいきませんでした。

 しかし、党大会後六カ月前進している地区もあります。そこでは、五割の支部が週一回の支部会議を開き、二中総を討議した支部や、「政策と計画」を持った支部はともに九割台。これを土台に、大会後に党勢拡大で成果をあげた支部を五割以上に広げています。岡野氏は、この経験にもふれながら、「結局は、やれそうな支部や党員に依拠することになってはなかったか。全党員に立ち上がってもらうという大会決定と二中総の立場に立ち、正面から挑戦したい」と結びました。

 宮城県の中島康博委員長は、要求実現や憲法を守るためにアンケートや署名運動に取り組む支部を広げてきた塩釜地区が、月末の努力も強めるなか、七カ月連続で読者を前進させてきたことを紹介し、「『政策』をもつことを重視してきたことが、支部を活性化させる力になっている」と報告。新潟県の小日向昭一委員長は、「政策と計画」で決めた「毎月一部以上は前進する」ことにこだわり、減紙を必ず取り戻して前進を続けている支部の努力を示し、「こうした方向にこそ道がある」と述べました。

志位委員長のまとめ

「支部が主役」の活動揺るがず貫いて

 討論のまとめで志位委員長は「常任幹部会の報告とかみ合った討論になった」とのべ、三点について発言しました。

 第一は討論全体を通じて明らかになった、選挙の新しい様相として非常に激しい党派間闘争となっていることをどうつかむかです。

 志位氏は「激しさを直視し、他党を上回る気迫と構え、とりくみが必要です。同時にみておく必要があるのは、他党のとりくみが国民との矛盾を深めている中での対応だということです」と強調しました。

 自民党の大量の候補者擁立が、参院選を前に崩れている支持者をつなぎとめようという危機感から生まれていること、民主党は地方政治でもともと「オール与党」であり「対抗軸」が無い矛盾を抱えていると指摘。「住民を痛めつける『オール与党』政治と対決し、暮らしの守り手としての役割を果たしている日本共産党の役割と値打ちは、とりくみいかんで大いに浮き彫りにできる条件があります」とのべました。

 第二に「きょうの会議は、年内に選挙と党建設の両方で大きな上げ潮を必ずつくろうというのが、意思統一の眼目でした」とのべ、二つの点を指摘しました。

 一つは客観的な条件として、憲法改悪反対や教育基本法改悪反対、職場の無法を正すたたかいなど、「政治の“流れの変化”」に着目した活動の経験が豊かに語られたことです。

 もう一つは主体的条件として、四月の「全国職場問題学習・交流講座」の中身をつかんで職場支部に新しい変化が生まれていること、全支部が小集会を開こうという提起に応える豊かな活動のはじまりが報告されたことです。

 第三に、全体の課題をやりとげるうえでカギとなる「支部が主役」の活動を「揺るがず貫く」ことが大事だと指摘し、「ことしの残る一カ月半のとりくみが非常に大事です。きょうの決意を実際の成果と前進に実らせるため、お互いに頑張りましょう」と呼びかけました。