2006年12月13日(水)「しんぶん赤旗」
日本共産党の志位和夫委員長が十日、新潟市で開かれた演説会で、訴えた新潟県政の部分(大要)を紹介します。
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地方政治の問題に話をすすめます。
新潟県政と、新潟市政について見てみますと、県政も市政もどちらも、野党は日本共産党だけなんです。自民系も、公明党も、民主系も、社民系もすべて与党です。「オール与党」です。つまり、知事や市長が出す提案はみんな賛成する。右から左に機械のように通してしまう。ですから、今度のいっせい地方選は、「オール与党」をえらぶのか、日本共産党か、これがズバリ争点です。
「オール与党」の県政で、どういう姿になっているか。私は、県の財政の使い道を調べてみました。総務省が出している『統計でみる都道府県のすがた』の最新版(二〇〇六)をみますと、新潟県は、県の財政に占める土木費の割合は全国三位です。21・7%にもなります。
民生費(福祉予算)はどうか。全国で四十七位です。こちらは最下位です。6・5%です。
福祉予算の三倍以上を土木費に使っている。全国でも断トツにひどい、「逆立ち」県政と言わなければなりません。
朱鷺メッセ――赤字タレ流し、4年間で9億円の税金が消えた
この逆立ち県政、二つの重い病気を抱えていると思っています。
第一の病気は、「巨大プロジェクト病」です。たとえば、この「朱鷺(とき)メッセ」(笑い)。これは、総事業費四百六十億円をつぎ込んだ、巨大なコンベンションセンターです。
ある週刊誌ではこう言っています。「税金ムダ遣い追及ルポ」「豪華使われないコンベンションセンター 日本中にこんなにある」。「新潟、静岡、高松、別府…毎年数億円の赤字タレ流し」
朱鷺メッセの大きな写真も出ています。
読みますと、「’04年度の稼働率は約41%だが、施設の一部使用や、準備・撤去日も含めたデータで、実際に展示場全体でイベントが行われた日はもっと少ない。…各施設を繋(つな)ぐ全長350mの『エスプラナード』(通路)。ご覧の通り人影は少ない」
私は、さっき行きましたら、今日はみなさん方が歩いていましたが。(笑い)
そういう状態です。県は、この赤字の穴埋めに、毎年約二億円をつぎ込んでいるわけです。すでに四年間で九億円の税金が消えた。これは、問題ですね。
産業団地――7割売れ残り、値下げ・補助のツケは県民に
もう一つ調べてひどいと思ったのが、産業団地です。県が南部と中部と東部に、五百十五億円かけて三つの産業団地を造成しました。九〇年代前半のことです。九五年から分譲を始めましたが、しかし、十年以上たって売れたのは二百六十ヘクタールのうち、七十三ヘクタール。七割以上は売れ残りなんです。
泉田知事は「売れ残ってしょうがない」と、昨年十月に、土地の販売価格を最大31%値下げした。ダンピングです。今年度からさらに、進出企業に最大五十億円を助成する「スーパー補助金制度」までつくりました。いくらなんでも知事はやりすぎではないかと言う声があがりました。知事は「売れない団地にぺんぺん草をはやすよりいい」と言ったそうです。こうなってくると、やけくそとしか言いようがない。そこまで、値下げしても補助しても売れない。このツケは全部、県民に回されるんですよ。しかし売れない。
わずかに売れた部分をみますと、進出企業の八割は県内企業です。「日経新聞」はこう書きました。「肝心の県外企業誘致はほとんど進んでいない。…『市営団地から県営団地に企業を引っ張っているだけ』」。さっぱり、県の産業の活性化にならない。まさに共食い状態ですね。
「朱鷺メッセ」といい、産業団地といい、失敗したら反省するのが当たり前でしょう。
三点セット――必要性も採算の見通しもないのに新たに巨大プロジェクト
ところが、少しは反省したのかと思ったら、新潟日報には、県と市が二人三脚で新しい巨大プロジェクトをすすめようとしていると書いているではありませんか。
「息を吹き返した巨大プロジェクト」という特集で、「三点セット」の計画を書きました。一つは、新潟駅と新潟空港を結ぶ鉄道を建設する。二つ目は、新潟駅を高架化する。三つ目は、羽越本線を高速化する。
事業費は、一つ目と二つ目だけで、二千億円かかる。必要性、採算の見通しはあるのか。新潟日報は、「事業採算性がネック」とズバリ書いています。採算の見通しがないということです。
「県内の航空関係者は『ありがたい話だが』と前置きしながら『現時点での空港アクセスに不満はない。鉄道を乗り入れたからといって格段に空港利用者が増えるとは思わない』と語る」
「JR東日本の幹部は、空港乗り入れで収支が見合うのは利用者数で一日一万人が目安だと指摘。『かつての試算では新潟空港は三千から三千五百だった』」
私が、調べてみましたら直近の数字でも、新潟空港の利用者数は三千四百人。鉄道ができたら一万人になるわけないでしょ。こんな採算の見通しもない、必要もない、「巨大プロジェクト」はもうやめさせようじゃありませんか。(拍手)
ところが県議会を見ますと、共産党以外「オール与党」でしょう。ですから自民、公明、民主、社民も、「みんなで無駄づかいやれば怖くない」、こういう調子です。
無駄づかいの尻をたたいている。今年二月定例議会の建設港湾委員会の議事録をもってきました。こういう議論をやってるんですよ。
自民の県議が「売れない産業団地なんとかしなければならない。どうやって売ってゆくのか」と聞いている。自分でつくっておいて「どうやって売ってゆくのか」と。(笑い)
企業局長は「百パーセント有効な手段はない。…徹頭徹尾セールスをかけるしかない」。こう答えるしかありません。自民県議は「ぜひ頑張って売っていただくしかないので、頑張っていただきたい」。
自分たちでやった無駄づかいの反省の一つもあれば、まだ救いようがありますが、こうやって尻をたたいているだけなのが、「オール与党」です。
そういう中で唯一、この「巨大プロジェクト病」をなおせるのは、日本共産党だけです。
市民のみなさんの運動がぐっと広がって、共産党の五十嵐さんと力を合わせて、この間、二つのダムを止めましたね。
清津川ダム、二千五百億円。佐梨川ダム、六百五十億円。中止させました。住民のみなさんの運動の成果です。新しいこれ以上の無駄づかいはやめさせて、そして、そういうお金があるなら福祉に回せ、この声を今度の選挙であげてゆこうではありませんか。(拍手)
(つづく)