2007年1月6日(土)「しんぶん赤旗」

第三回中央委員会総会

志位委員長の結語


選挙勝利にむけた高い意気込み――全国で七千人が報告を同時に視聴した

 幹部会を代表して、討論の結語をおこないます。

 討論では、十八人の中央役員が発言しました。どの発言も、報告の提起にかみあい、中身も充実した内容だったと思います。

 幹部会報告は、全国で、リアルタイムで、六千六百二十一人のみなさんが視聴しました。普段は、テレビカメラの向こうで視聴しておられる地区委員長さんや候補者のみなさんもこちらにおられますので、その数を入れますと約七千人の方が、報告を一気に視聴したということになります。これは、大会報告の視聴よりも多く、二中総報告の視聴の一・四倍を上回る規模です。これだけのみなさんが、正月早々の一月四日に集って、選挙勝利のために、三中総報告の内容を聞いたということは、それ自体のなかに選挙勝利への強い決意と意気込みがあらわれていると思います。

 全国から寄せられた感想では、「中央委員会の強い決意を実感し、身の引き締まる思いで聞いた」など、勝利への意気込みがたくさんつづられております。討論でも、全国からの感想でも、選挙勝利への決意がみなぎる総会となりました。

 私は、二点にしぼって、討論のまとめをおこないます。

二大選挙にむけた政党配置と日本共産党の役割――三中総の提起の一つの要

 第一に、いっせい地方選挙と参議院選挙に向けて政党配置がどうなっているか、そのもとでの日本共産党の役割は何か、これを明らかにしたことがたいへん積極的に受けとめられました。これは、三中総の提起の一つの要にあたる問題だということを、かさねて強調しておきたいと思います。

 国政における政党配置について、幹部会報告では、安倍・自公政権の危険性とともに、「脆(もろ)さ」を解明しました。また、民主党をどうみるかを、三年あまり前の、民主党と自由党との合併にさかのぼって解明し、「もう一つの保守党」への変質の実態を事実を示して明らかにしました。そして、こういう政党状況のもとで、安倍・自公政権への審判、「二大政党」づくりへの審判――二重の審判をくだし、日本共産党の前進をかちとることこそが政治を変えるたしかな道であることを明らかにしました。

 きょう、安倍首相が、年頭の記者会見をおこなっています。そこで首相は、「憲法改定を安倍内閣で実現したい、参議院選挙の争点としたい」とのべました。時の首相が正面から改憲を選挙の争点にすると言ったのは、おそらく初めてのことだと思います。ただ、この問題をとっても、正面からそれに立ち向かう足場をもっているのは、日本共産党です。民主党は対抗の足場をもてません。それどころか同じ流れのなかにあります。「争点」にするといっても、この問題は、自民、民主の「争点」にはなりえないのです。自民党政治、そして自民・公明・民主による共同の悪政、これに正面から立ち向かえる政党は日本共産党だということが、今年の情勢の展開のなかで、日々明瞭になっていくでしょう。

 地方政治での政党配置について、幹部会報告では、自公民「オール与党」対日本共産党、これが地方政治における政党配置の基本だとのべました。このことは討論でも、全国各地の生々しい事実をもって裏づけられました。福祉と暮らしの問題でも、大企業「呼び込み」の無駄づかいでも、不正・腐敗・堕落の問題でも、「解同」と癒着した不公正な同和行政の問題でも、どの問題をとっても、自公民「オール与党」対日本共産党の対比が、こんなにわかりやすい選挙はないということが、討論でこもごも語られました。

「二大政党づくり」の動き、民主党への批判をどうすすめるか   

 討論のなかでは、「民主党をどうみるかが報告で明瞭になった」という声とともに、「国民の認識との間には大きなギャップがある」ということも率直に語られました。民主党の実態――この党が国政、地方政治においてどういう役割を果たしているかということについては、事実そのものがあまり知られていません。

 こういうもとで、私たちがどういう対応をするのか。二つの点が大事だと思います。

 第一は、自民党政治を根本から改革する日本共産党の議席の値打ちを正面からおしだす、それと結びつけて適切な形で他党に対する批判をおこなうということです。

 第二は、とくに民主党について言いますと、結論を押しつけるのではなく、事実を知らせていくこと、真実を知らせていくこと、いわば情報提供型の対応がたいへんに大切だということです。

 茨城県の県議選の教訓を報告した発言のなかでは、「民主党が野党ポーズをとってくるのに対して、一つひとつ事実を示して有権者の判断を仰ぐという宣伝物が、たいへんに効果的だった」ということが言われました。事実を具体的に示して判断をゆだねる、こういうとりくみが、たいへんに大事であります。

 北海道委員長の発言では、民主党が道議会のなかでいったいどんな役割をしているのか、暮らし破壊の悪い政治にどういう態度をとっているのか、大企業「呼び込み」のための巨額の誘致補助金にどういう態度をとっているのか、これらを一つひとつ具体的に明らかにするなかで、民主党は事実上の与党にほかならないということを浮き彫りにしているということが語られました。

 まだ国民の多くは、民主党の実態について事実が知らされていません。ですから、事実を知らせると、それ自体が新鮮に受け取られるという発言もありました。こういうとりくみが、たいへん大事であります。

 いま、自民党の支持基盤の大規模な崩れが、全国どこでもおこっています。そういうもとでは、国民のなかで、いわば「藁(わら)をもつかむ」思いで民主党に期待を託そうかという流れもおこりえます。そういう民主党に期待を寄せている国民のみなさんにも理解を得る方法で、この問題にとりくむ。そして、そうしたとりくみの中で、日本共産党の議席のもつ値打ちをおしだし、どんな情勢が展開しても、日本共産党の議席と得票を伸ばしていくということが、何よりも大事だということを強調したいと思います。

3月8日までにやりきる二つの課題――「力をつくせばやりきれる」

 第二に、幹部会報告では、いっせい地方選挙前半戦の投票日の一カ月前の三月八日までに、やりきるべき二つの課題を提案しました。(1)選挙勝利に必要な草の根での諸課題をやりきること、(2)党勢拡大では「しんぶん赤旗」の読者で少なくとも前回比をこえる陣地を築き、すべての党支部で新しい党員をむかえて選挙をたたかうこと――こういう課題を提案しましたが、これは討論でも、全国からの感想でも、たいへん積極的に受けとめられ、しかもたんに受けとめられただけではなくて、「今度は力をつくせばやりきれる」と確信をもって受けとめられました。たいへん心強いことであります。

 私は、「今度は力をつくせばやりきれる」と全党のみなさんが感じだしていることには、三つの要因が働いていると思います。

現状打開を願う国民のエネルギーが発揮され、党が大きな役割をはたしている

 一つは、自民党政治の「三つの異常」と国民との矛盾がどの分野でも深まり、どの分野でも現状打開を願う国民のエネルギーが深いところから発揮され、要求にもとづくさまざまな国民運動がこんなにも力強く発展している時はないということであります。それは、教育基本法改悪に反対するたたかいでも示されました。また、増税に反対し、国民の生存権をまもるたたかいにも示されています。さらに、職場から無法を一掃し、人間らしい労働のルールを築くたたかいにも示されています。発言では、全国各地で、いっせい地方選挙にむけて、住民アンケート活動にとりくみ、多面的な要求がかつてなく切実になっていることを、党支部や党機関、議員団が生の形でつかみ、住民とともに要求実現の活動をすすめている姿が、こもごも語られました。そして、国民のどんなたたかいでも、日本共産党が大きな役割を発揮し、信頼を高めていることが生きいきと報告されました。

 いま自民党政治が歴史的に大きくゆきづまるもとで、この現状を変えたいという日本国民のエネルギーがふつふつと沸き起こっている。それにこたえることができるのは日本共産党だということが、去年一年間のたたかいを通じて全党のみなさんにつかまれつつあるのではないでしょうか。

 幹部会報告で、憲法二五条に保障された生存権をまもる国民的大運動――貧困打開と生活防衛の国民的大運動を呼びかけたことが、たいへん積極的に受けとめられました。討論のなかでも、福岡県での国民健康保険証の取り上げのむごい実態、北九州市の餓死者や孤独死など、深刻な実態がたくさん紹介されました。この貧困打開と生活防衛の闘争は、国民の苦難の軽減のために全力を尽くすという日本共産党の存在意義をかけたたたかいであります。このたたかいを担う党を、二つの全国選挙で大きくすることは、国民への責任でもあります。

「支部が主役」の活動が豊かに広がり、党が新たな活力をえて前進しつつある 

 二つ目は、この一年間、党大会決定に導かれて、「支部が主役」の活動が、実に豊かにひろがっていることです。党が新たな活力をえて前進している。新しい発展の芽が全国どこでもたくさん生まれている。多くの発言のなかで、「四年前とは違う。『支部が主役』のとりくみがひろがっている」との自信と確信が語られたのも討論の特徴でありました。

 石川県委員長は、「支部が主役」の党づくりをいっかんして追求するなかで、読者拡大で59%の支部が成果をあげ、連続前進をかちとり、「しんぶん赤旗」の日曜版で大会現勢を上回って前進している経験を語りました。発言を聞いて印象的だったのは、職場支部が、教育基本法改悪問題で大奮闘をするなかで、半数をこえる職場支部が読者拡大で成果をあげていると報告されたことでした。

 発言をうかがっていますと、職場支部が全国どこでも元気になっている。「職場講座」、教育基本法改悪反対のたたかい、労働分野での無法を一掃するたたかいなどを通じて、全国の職場支部が新鮮な活力をえて前進をはじめている。これはたいへんに心強いことであります。「支部が主役」の選挙戦を、文字どおり全党の力を総結集してたたかうには、地域支部とともに、職場支部が総決起することは不可欠です。

 大会決定をうけての一年間の「支部が主役」の党づくりのすべての経験、教訓を生かせば、三月八日までにこの仕事をやりきって、選挙戦本番のたたかいに勇躍していどみ、勝利をつかむことができる。そういう手ごたえを感じた討論だったのではないでしょうか。

選挙勝利をめざす本格的活動を開始するなかで、この会議をむかえた

 三つ目に、二大選挙勝利を正面にすえて、草の根から選挙勝利のとりくみ、党勢拡大のとりくみを本格的にすすめる活動は、二中総をうけ、とくに昨年十一月の幹部会決定をうけて、全党ですでに開始されているなかで、この会議が開かれたというのが、たいへん重要だと思います。

 大阪府委員長の発言では、昨年末までのとりくみで、支部主催の演説会が44%の支部で開かれ、一九九八年の大躍進した参議院選挙のさいの46%に近づいているとの報告でした。支持拡大の到達点も、不十分な到達とのべていましたが、四年前の同時期の約三倍になっているとのことでした。

 四年前のいっせい地方選挙のとりくみを振り返ってみますと、年初めの一月七日に開いた全国都道府県委員長会議で、選挙勝利に必要な草の根からの課題を、二カ月間でやりきって本番のたたかいをむかえようということを提起したわけですが、全党の努力はあったものの、その結果は、この提起をやりきって選挙をむかえたとはいえないものでした。対話・支持拡大でも、これが「際限なく遅れる」という弱点を、四年前は克服できないまま選挙戦の本番をむかえました。「しんぶん赤旗」の読者数も、四年前のいっせい地方選挙は、前回比で日刊紙85%、日曜版84%という水準でたたかうことになったことを、この選挙を総括した第二十二回大会・六中総では、「大きな反省点」としています。

 四年前の選挙と比べても、今回は、全党が選挙勝利にむけて本格的なスタートを切っているもとでこの会議を開いたことに、たいへん重要な意味があると思います。すなわち、選挙のとりくみ、とくに対話や支持拡大が「際限なく遅れる」という弱点を、全党はいま克服しつつある過程だと思います。

 しかも今回は、年初めから第三回中央委員会総会と全国都道府県委員長・地区委員長会議を連続して開いて、選挙勝利のための意思統一をはかりますが、こういうこれまでやったことのない新しいとりくみを、いま私たちはすすめています。全国都道府県委員長・地区委員長会議は、最後に開いたのは一九九五年のことですから、明日から二日間の会議は、十二年ぶりの会議となります。

 昨年来の党活動の全体の流れからいっても、全党が、二中総決定、幹部会決定を受けて、選挙勝利に向けて本格的にスタートしはじめた、それを自動車でいえばトップギアに入れて加速するというのがこの会議であって、そういう点でも、今度こそこの課題をやりきって、選挙勝利に実らせようではないかということを訴えたいと思うのであります。

選挙勝利と党勢拡大の課題をすべてやりきって、必ず勝利をかちとろう

 三月八日までにやりきるべき選挙勝利と党勢拡大の課題は、そのすべてをやるということが大事です。一つやればいいということではありません。もちろんすべてを一気に、というわけにはいきませんし、どこかからまず突破するということはあるでしょうが、結果としてすべてをやりきる、そして選挙本番のたたかいにのぞむ。そうしてこそ確実な勝利への道が開かれます。

 そのうえでは、まず一月が大切です。現実に、三月八日ということを考えましたら、一月と二月とあと二カ月ですから、まず一月でどういう結果を出すかが、ひじょうに大事です。一月四日にこういう会議をやっただけのことはあるなと、後で振り返って言えるような結果を、一月から必ず出し、二月はさらに末広がりに前進させ、三月、四月の選挙本番で、いっせい地方選挙で必ず勝利をかちとり、さらに参議院選挙でのわが党の前進につながる前進の大きな波、大きなうねりをおこしていこうではありませんか。以上をもって、討論の結語といたします。(拍手)