2007年2月7日(水)「しんぶん赤旗」

日本共産党をのばし自治体に「福祉の心」をとりもどそう

大阪演説会 志位委員長の訴え(要旨)


 日本共産党の志位和夫委員長が五日、大阪市内でおこなった演説のうち、地方政治に関する部分(要旨)を紹介します。


写真

(写真)演説する志位委員長=5日、大阪城ホール

 大阪府議会でも大阪、堺の両政令市議会でも、日本共産党以外は、自民、公明、民主すべて与党です。地方政治の場合、自公民「オール与党」を選ぶか、日本共産党を選ぶかがズバリ争点です。「オール与党」の府政・市政には三つの特徴があります。

暮らし壊す国の悪政に追いうちの自治体でいいのか

 第一の特徴は、「福祉の心」がないという問題です。自治体とは「住民福祉の機関」です。国が悪い政治をやったら、そこから住民の福祉と暮らしをまもってこそ、自治体といえます。ところが「オール与党」は、国の冷酷な政治に追いうちをかけているのです。

異常な負担増の押しつけ

 たとえば、異常な負担増の押しつけです。昨年六月、定率減税の半減、お年寄りへの増税、連動した国民健康保険料や介護保険料の値上げという「雪だるま負担増」がおこりました。今年も定率減税の全廃で二度目の負担増が押しつけられようとしています。

 その時に、大阪市は何をしているか。なんと独自に介護保険料、国保料の大幅値上げをすすめているのです。年金月額二十万円のお年寄りの場合、二〇〇四年に九万三千円だった税と保険料負担が、〇八年には三十五万二千円になろうとしています。いわば「スーパー雪だるま負担増」です。

 調べてみますと、全国十五の政令市で、国保料の高さは堺市が二位、大阪市は四位です。介護保険料の高さは堺市が一位、大阪市が三位です。国が大増税の波をかぶせてきたら、そこから住民を守るのが自治体の役目のはずなのに、逆に負担増の追いうちをかける――この「オール与党」政治に審判をくだそうではありませんか。(拍手)

国保証とりあげ

 国保証のとりあげも大問題です。国保料を払いたくても払えない人から保険証をとりあげ、資格証明書を発行して、窓口で十割負担を求めるというむごいものです。大阪府の資格証明書の発行は、五年間で六・四倍、二万二千五百八十六世帯にのぼります。

 これは国の号令ですすめられているものです。国民すべての健康を保障する国保の目的に真っ向から反するやり方ではないでしょうか。(拍手)

 全国では、資格証明書への置き換えをやっていない自治体もあるのです。自治体の姿勢が問われています。しかし、大阪市は国いいなり。そして、国保証とりあげをけしかけているのは、市議会の自公民「オール与党」です。市議会は“取り立て屋”ではありません。市民の暮らしをまもるのが市議会ではありませんか(「そうだ」の声、拍手)。保険料減免を共産党の勝利でかちとろうではありませんか。(拍手)

生活保護世帯への見舞金の廃止

 生活保護世帯への見舞金の廃止もひどい。いま国は生活保護の老齢加算、母子加算の廃止をすすめています。そのときに、大阪府は〇五年度から独自の夏期・歳末の見舞金制度を廃止してしまいました。国が生保を切り捨てるとき、府も追いうちをかける――これでは何のための自治体か。

 日本共産党は、府民の運動と力をあわせ、暮らしをまもって政治を動かしてきました。大阪では、障害児・乳幼児・母子家庭への医療費自己負担が導入された際に、負担軽減策をとらせました。自公民「オール与党」の政治にないのはお金ではない。「福祉の心」です(「そうだ」の声、拍手)。共産党をのばして、自治体に「福祉の心」をとりもどそうではありませんか。(拍手)

ケタはずれのムダづかいをただそう

 第二は、ムダづかいはケタはずれという問題です。関空二期工事など見通しのない巨大開発にはあぜんとします。

「夢舞大橋」

 「夢舞大橋」というのをご存じでしょうか。大阪湾の二つの人工島――夢洲、舞洲を結び、大型船が通過する際に、タグボートで橋を動かして航路を開く旋回式の橋です。総事業費六百三十五億円、〇一年に完成しましたが、大型船が来ないのです(笑い)。橋を動かそうとしたのは五回で、すべて訓練(笑い)。「市幹部は『巨額の税金を使ったガラクタと批判されかねない』と嘆く」(「朝日」〇五年十一月十九日付)――まさに道楽的なムダづかいというしかないではありませんか。(拍手)

りんくうタウン

 それから、六千九百五十四億円もの事業費をつぎこんだ、りんくうタウンです。十七年たっても分譲率45%、最終赤字は千八百億円といわれます。進出企業のために地下に廃棄物収集システムをつくったが、企業が来ずゴミも出ないため、使われないまま廃止されたといいます(笑い)。「ゴミと化す 『廃棄物収集システム』廃止」(「毎日」〇六年五月八日付)――ゴミ収集システムがゴミになったと。(笑い)

 ところが府は、りんくうタウンへの企業の誘致補助金を百五十億円に五倍化するというのです。失政のしりぬぐいに、府民の税金をムダづかいすべきではありません。(拍手)

ニュータウンづくり

 ニュータウンづくりも問題です。箕面・止々呂美地域の山を切り開いて、ニュータウンを開発するという「水と緑の健康都市」計画です。総事業費九百八十五億円で、計画通りでも七百五十億円は赤字になります。

 そこへのアクセス道路として、八百十三億円かけて「箕面グリーンロード」をつくりました。そのトンネルが環境被害をひきおこしています。トンネル工事で水系が壊され、江戸時代から摂津の名所となってきた「箕面の滝」が枯れてしまい、電気ポンプで滝の水をくみ上げていたというのです。「水と緑の健康都市」というよりは、「水くみあげ、緑破壊の浪費都市」というべきです(笑い)。いまからでも中止すべきです。(拍手)

同和行政の不正・腐敗は根絶を

 第三は、同和行政の不正・腐敗は根絶すべきだという問題です。

 大阪の同和行政のヤミの底深さをまざまざと示す二つの事件がおこりました。

 一つは、「解同」系の民間病院「芦原病院」事件です。大阪府と市で総額三百二十億円の巨額の貸付金・補助金を不正に流用していた事件です。病院の報告書をもとに、不正を明るみに出す追及をしてきたのは日本共産党市議団でした。

 もう一つは、飛鳥会事件です。「解同」大阪府連飛鳥支部の支部長が、市から運営を委託された駐車場の収益を過少に申告し、総額一億三千百二十万円も横領していた事件です。被告は「暴力団より金もうけがしやすいと考え、解同飛鳥支部長に就任した」とのべ、「解同」が暴力団まがいの反社会的利権集団にほかならないことを自ら認める事件となりました。

 この問題でも、発端は共産党の追及でした。市営駐車場の疑惑を一九七五年以来一貫して共産党が追及してきたのです。日本共産党の勇気ある追及が「解同」タブーをうちやぶりつつあります。(拍手)

 「オール与党」は、乱脈・不正の予算に賛成してきただけではなく、「解同」と癒着の関係にあります。四年前の府議選では民主党十九人、公明党八人が「解同」の推薦・支援をうけ、自民党府連は、牛肉偽装事件で有罪判決を受けた「解同」役員が会長を務めていたハンナンにパーティー券を買ってもらっているではありませんか。「オール与党」に審判をくだし、不公正な同和行政の完全終結を求めていこうではありませんか。(拍手)