2007年3月25日付「しんぶん赤旗」に掲載

日本共産党県議団を必ず復活させ、県民の声が届く県政を

愛知演説会 志位委員長の訴えから(要旨)


 日本共産党の志位和夫委員長が二十三日、名古屋市内でおこなった演説のうち、地方政治に関する部分(要旨)を紹介します。


 愛知県議選は、前回選挙で日本共産党の議席を失い、この四年間たいへん悔しい思いをしてきました。県議会は共産党のいない文字通りの自民、民主、公明の「オール与党」議会です。名古屋市議会も自公民「オール与党」。「オール与党」対日本共産党がズバリ争点です。

 日本共産党の議席がなくなった県議会がどうなっているか。三つの大問題が起こっています。

共産党議員のいない県議会―三つの大問題が起こった

 第一に、県民の声が届かなくなったことです。請願件数は、党議席があった二〇〇二年までの四年間の二百四十七件から、二十四件に減少しました。福祉、医療、介護の充実など県民の願いは門前払いです。

 第二に、議会が知事のチェック機能をまったく喪失したことです。この四年間、知事提出議案の八百十六件のうち、八百十四件が全会一致で成立しました。全会一致率は99・8%。これでは何のための議会かということになるではありませんか。(拍手)

“選挙野党”は政党の堕落

 第三は、「政党の堕落」です。

 二月の知事選では、現職の神田真秋知事を自民・公明が推し、民主党が「対立」候補を立てました。日本共産党は県政の抜本的転換をもとめて阿部精六氏を推薦して堂々とたたかいました。

 民主党は知事選で“にわか野党”になって県政批判をやりましたが敗北。選挙直後は「建設的野党になる」と宣言したそうです。

 ところが、民主党は、その直後の県議会で、神田知事提出の予算はじめ八十八議案すべてに賛成。地元紙・中日新聞は「『建設的野党』筋通せず」と書き(笑い)、民主党県議が「難癖をつけても、結局は『マル』。これで今後は『ノー』と言えなくなる」とのべたと報道しました。これでは選挙のときだけ野党になる“選挙野党”(笑い)――政党の退廃です(「そうだ」の声、拍手)。日本共産党が堂々と県政改革の大義を掲げてたたかったのは、たいへん大事だったと思います。(大きな拍手)

福祉と暮らしをまもるという自治体の本来の仕事を

 私は、日本共産党の議席を復活させて、二つの仕事をさせてほしいと訴えたい。

 第一は、福祉と暮らしをまもる自治体本来の仕事にとりくむ県議会をつくることです。(拍手)

庶民大増税

 定率減税の半減・廃止や社会保険料の値上げなどで、名古屋市では、年金月額二十万円のお年寄りの場合、税と社会保険料の負担が五万七千円(〇四年)から二十一万三千円(〇八年)になろうとしています。

 そのときに自公民「オール与党」は、県議会でも市議会でも、県・市民税の増税条例に賛成しました。そのうえ名古屋市議会では「オール与党」が、六十五歳以上の所得が少ないお年寄りへの市独自の市民税減免制度を改悪し、四億四千万円の増税までおしつけました。自民、民主、公明の「庶民増税三人組」に厳しい審判をくだそうではありませんか。(拍手)

国の悪政に追い打ちをかける「三点セット」

 国の悪政に追い打ちをかける「追い打ち三点セット」も大問題です。

 一つは、母子家庭いじめです。児童扶養手当を最大半分に減らす国の制度改悪が来年実施されようとしています。その時に「オール与党」県政は、独自の一人親家庭への手当(遺児手当)を大改悪したのです。十八歳まで月額四千五百円の支給で九万二千人が受給していました。しかし、四、五年目は半減、六年目以降は打ち切るというのです。これが自治体のやることでしょうか。(「許せない」の声)

 二つ目は、障害者いじめです。国の「自立支援法」で負担が重くなるときに、県は「心身障害者コロニー」(春日井市)の四つの入所施設を廃止・縮小する計画です。十年間で三百九十四人が追い出される。障害を持つ方を切り捨てて恥じない勢力に政治をになう資格はありません。(拍手)

 三つ目は、国保証の取り上げです。名古屋市は今年三月、「資格証の発行を最小限に抑える」という、これまでの方針を転換し、六百八十一人に資格証を送付しました。市議会で保険証を取り上げるなと追及しているのは日本共産党だけです。

 国が悪政をおしつけてきたとき、それに輪をかける悪政で追い打ちをする。これでは自治体とはいえません。共産党県議団を復活させ、自治体らしい自治体をとりもどし、愛知県政に「福祉の心」をとりもどそうではありませんか。(大きな拍手)

ムダな巨大開発をすすめ、大企業への税金ばらまきにストップを

 第二の問題は、ムダな巨大開発と大企業への税金ばらまきにストップをかける仕事です。

骨の髄までの“巨大開発病”をただそう

 自公民「オール与党」県政は、骨の髄まで“巨大開発病”にかかっています。設楽(したら)ダム――「日本で最後の新規大型ダム」をつくるといいます。しかし、工業用水は余り、環境破壊が批判され、建設費は二千億円でさらに膨らむ危険性があります。水需要は水あまり、事業費は水ぶくれ(笑い)―これが全国のムダなダムで共通しています。伊勢湾口道路――志摩半島と渥美半島の間に約二十キロの橋をかけ、九十キロもの道路をつくるともいっています。総事業費は二兆円です。

 こんなムダづかいを止めるには、共産党議員団を復活させるしかありません。(拍手)

あまりにひどい大企業への税金ばらまき

 さらに「オール与党」は、大企業に税金を直接ばらまくことを始めました。

 名古屋駅周辺は大企業の超高層ビルの建設ラッシュですが、巨額補助金を出しているのです。東海一の高さを誇る「ミッドランドスクエア」(地上四十七階)、「名古屋ルーセントタワー」(地上四十階)、「モード学園スパイラルタワーズ」。建てているのは名だたる大企業。「優良建築物等整備事業費補助」などと称して、県・市あわせて三十億円もの補助金をつぎ込んだ。なぜ民間のビルに補助金をつぎこむのか。説明がつきませんね。(拍手)

 大企業の立地補助金も巨額です。豊田自動織機に八億円、三菱重工に十億円、富士重工に五億五千万円です。

 県は、トヨタの研究開発施設と車のテストコースを設置する七百ヘクタールもの用地造成に着手するといいます。豊田、岡崎両市にまたがる山林や農地を買収し、造成してトヨタに引き渡す。十数年がかりで数百億円の総事業費です。県はトヨタの下請けではないといいたい。(拍手)

 母子家庭から月額四千五百円の手当を奪いながら、大企業に野放図に税金をばらまく――そんなカネがあれば、福祉、教育、暮らしにまわせ。この願いを共産党に託してください。(「そうだ」の声、大きな拍手)

愛知には大きな底力―どうしても強力な共産党議員団を

 どうしても県議会に日本共産党の強力な議員団が必要です。

 愛知の住民運動と日本共産党には、たいへんな底力があります。かつて複数の衆院議員をもち、革新名古屋市政をきずき、定数三の参院選で八田ひろ子さんを押し上げた実績があります。

 愛知万博では、県民投票を求める運動に市民団体と一体で取り組み、オオタカをはじめとした約三千八百種類の動植物が生息する「海上(かいしょ)の森」を守りました。(拍手)

 最近でも二十二日、名古屋市の自民党市議団の政務調査費をめぐる訴訟で、名古屋地裁は二千四百六十万円の返還を命じました。共産党が一貫して追及してきたことです。(拍手)

 この力に自信をもち、底力を発揮しきって、県議選、名古屋市議選での躍進、後半戦の全員勝利に向け、残された時間、がんばりぬこうではありませんか。(大きな拍手)