2007年5月13日(日)「しんぶん赤旗」

「三つの共同目標」かかげ希望ある日本めざそう

全国革新懇総会

志位委員長の発言(大要)


 日本共産党の志位和夫委員長が十二日、全国革新懇第二十七回総会でおこなった発言(大要)は以下の通りです。

 代表世話人の一人として一年半ほど仕事をさせていただいておりますが、この一年間、全国で革新懇運動が新しい前進を開始しつつあるということを実感しています。昨年十一月の岡山の全国交流会には七百六十人という過去最高の方々が参加し、たいへんな熱気を感じました。「全国革新懇ニュース」が二万三千数百部で過去最高とのことですが、これも前進の象徴だと思います。

 日本共産党は、革新懇運動を提唱した政党です。その党の代表者として、また代表世話人の一人として、革新懇運動が前進から飛躍へと発展するように全力をつくす決意をまず表明します。(拍手)

反動的暴走と新たなたたかいの条件

 情勢では、この間、安倍内閣の反動的暴走にたいして、多くの国民のみなさんからの不安と批判が広がっています。教育基本法の改悪、改憲手続き法の強行、この暴走は許せないという国民の声が広がっています。

 いまの情勢を見るさい、とくに強調したいのは、暴走の危険な面とともに、暴走それ自体が矛盾を広げ、たたかいの新しい条件をつくり出している――この両面を見て運動を発展させることが大切だということです。

 この問題では、安倍内閣が“靖国派”内閣であることは、平和と民主主義を守るたたかい、憲法改悪阻止のたたかいにとって非常に重大な問題となっています。これは私は、改憲策動の矛盾に新しい深刻な矛盾をつけ加えたと思います。

 安倍内閣には十八人の閣僚がいますが、うち十五人は改憲・右翼団体「日本会議」の関連団体に属する“靖国派”の面々です。「なんとか還元水」の大臣も入っています(笑い)。「女性は子どもを産む機械」発言の大臣も“靖国派”の「同志」です。こういう人たちも含めて内閣の中枢が“靖国派”によって固められたというのは戦後内閣の中でもきわ立っています。

 「日本会議」というのは一九九七年の結成ですが、「憲法改正」、「教育基本法改正」、「首相の靖国参拝の定着」、「夫婦別姓反対」、「正しい歴史教科書」――これは歴史をゆがめた歴史教科書のことですが、こういうスローガンをずっと掲げて運動をやってきた。文字通りのバリバリの改憲・右翼団体で、この流れが中枢にすわっているのが安倍内閣です。

 私は、安倍首相が「美しい国」というスローガンを掲げた時、何とも気持ちの悪いスローガンだなと思いました。あの人がいう「美しい国」は、多くの人々があやしいと直感したと思いますが(笑い)、そのルーツをたどってみたら、「日本会議」が最初に掲げたスローガンが「美しい日本の再建」だったんですね。「再建」ということは、かつて「美しい日本」があったということになる。すなわち、戦前・戦中の体制、侵略主義と軍国主義の体制が「美しかった」とあこがれている勢力だということがはっきり見えてきました。

 そうしますと、安倍首相がさかんにいう「戦後レジームからの脱却」というのも、「脱却」した行き先がよく見えてきて、戦前・戦中の体制への逆行と回帰、ここにあるということが、たいへん明りょうに浮かび上がってきたと思います。「美しい国」は、まさに「恐ろしい国」の再現であると厳しく批判しなければなりません。

 私たちが“靖国派”と呼んでいる勢力は、「過去の戦争は正しかった」という間違った戦争観とともに、その戦争をおこなった過去の日本は「美しい国」だったという間違った国家観を持っている。戦争観も国家観も時代逆行の立場の勢力が、憲法を変え、海外で戦争をする国に日本をつくりかえるとなったら、これは危ないという声がこれまで以上に広がることは間違いないと思います。

鮮やかに輝く革新懇運動の値打ち

 この動きには、改憲派の中からも、「こんな改憲だったら危ない」という声が聞こえてきます。日本に改憲を迫るアメリカの側でも、フランシス・フクヤマ氏という保守派の論客が、「遊就館のようなナショナリズムをかかえたまま、九条を変えることは、アジアの中で孤立することになりかねない、アメリカは慎重に検討したほうがいい」といっています。憲法を変えろ、変えろといってきたアメリカの側からも、これはちょっと危ないぞ、という声が聞こえてきている。ここにも亀裂が起こり得る。アジア諸国との矛盾は深まる、日本の国民との矛盾もうんと深まっていくでしょう。

 先日の「朝日」の世論調査では、「安倍内閣のもとでの改憲には反対」という方が多かった。一般的には憲法改定には賛成だという方も含めて、安倍内閣のもとではダメだという声が多いのは新しい矛盾の広がりを反映していると思います。

 ですから、こういう情勢のもとで、革新懇運動が「三つの共同目標」を掲げていることの意義はきわ立っていると思います。運動方針案には、「希望ある日本をめざして」とあります。革新懇運動が「希望ある日本」といいますと、本当に希望がわいてきます(笑い、拍手)。そうした日本をめざして、平和、民主主義、国民の暮らしという三つの大きな問題で「共同目標」をつねに高く掲げて、運動を発展させていく革新懇運動の値打ちというのは、安倍内閣が暴走している道と鮮やかな対照をなして、くっきりと輝き、革新懇運動にこれまでにない広範な方々が参加する条件を広げています。

草の根からの新しい前進を

 運動方針上、大事だと思った四点をのべさせていただきます。

 一つは、革新懇が、憲法改悪反対運動を、草の根から支える大黒柱になっていることです。「九条の会」は六千を超えて広がり、全国革新懇が提唱した憲法改悪反対署名は五百四十万を超えて広がっています。

 第二に、身近なところにどこでも革新懇をつくろうという提唱です。小中学校区単位で革新懇がつくられ、住民のあらゆる要求を実現するよりどころとなり、政治革新のよりどころにもなるとりくみが各地で始まっています。これを全国に広げていくことに私も大賛成です。日本共産党も、小中学校区まで網の目のようにつくろうという活動の一翼を担って頑張る決意です。

 三つ目に、職場革新懇が、企業別、産業別、地域横断型、私鉄沿線型など、さまざまな形でつくられ前進を始めているということです。職場の要求実現と政治革新の拠点となって広がるように力をつくしたい。

 第四に、いま青年がたいへんに元気なことはほんとうにうれしいことです。先日のメーデーで、「若者が声を上げてたたかったメーデーだ」とテレビが報じたといううれしい話も聞きました。若者の中でも、革新懇運動がかつてなく大きく広がっていく条件があると感じています。

 最後に、運動方針案の中で、今度の参議院選挙について、「三つの共同目標の実現をめざす勢力の大きな躍進を期待する」といわれました。期待されているのはおそらくわが党(笑い)と思われます。これはわが党自身のたたかいでありますが、ご期待に応える成果を必ずあげる決意を申し上げて私の発言とします。(大きな拍手)