2007年7月23日(月)「しんぶん赤旗」

テレ朝系サンプロ

志位委員長語る


塩崎官房長官事務所費疑惑

「光熱水費」年わずか450円

 日本共産党の志位和夫委員長は二十二日、テレビ朝日系「サンデープロジェクト」に出席し、司会の田原総一朗氏やゲストなどの質問に答えました。

 このなかで志位氏は、塩崎恭久官房長官の事務所費問題にかかわる新たな疑惑について明らかにしました。

 司会が、「赤旗」日曜版同日号で塩崎氏の疑惑が報じられていることに触れたのにたいし、志位委員長は「二つ大きな問題がある」とのべました。

 一つは、使途不明金の問題です。塩崎氏がみずから支部長を務める政党支部と同氏の後援会が合同で事務所を使い、これら二つの政治団体の二〇〇五年の事務所費が二千百万円にも及んでいます。しかし、内訳をみると家賃や電話代、リース料以外の千三百三十万円が使途不明金になっていることです。

 志位氏は、二つ目の問題として、後援会の年間事務所費が二〇〇五年で千五百三十二万円にものぼるのに、「光熱水費」が四百五十円にすぎないことを新たな資料で示し、「これだけの事務所費を使いながら、電気もつけず、水も飲まないでやっていたのか。これは架空の事務所だったのではないかという重大な疑惑がある」とのべました。

 そのうえで志位氏は塩崎氏の疑惑について、「きちんと領収書をだして明らかにしなければならない重大問題だ」とあらためて強調しました。

自公政治追い詰める

「大いに野党共闘」表明

 志位委員長は、民主党との共闘について問われ、「政権共闘は無理です。憲法についての考え方が大きなところで違いますから」と発言しました。同時に、「(今回の参院選で)自公政権にきびしい審判が下るでしょう。そのときは、新しい国会で野党共闘を大いにやるつもりです」とのべ、消費税増税反対や、「政治とカネ」の問題で野党共闘を強め、自公政治を追い詰める立場を強調しました。そして、「それをやるうえでも共産党が伸びることが重要です」と強調しました。

 消費税増税問題では、志位氏は「例えば与党は秋の税制改革で消費税の税率を上げるという選択肢を持っています。これについては消費税についての考え方は違っても、食い止める方向で協力を呼びかけたい」と表明しました。

 また、政治とカネの問題では、「私たちは企業献金禁止というのは基本ですけれど、(政治資金の)透明化という点では、(領収書を)一円から出せと。それから資金管理団体だけじゃなくて(政治団体も含めて)全部出せという点では一致していますから、共闘は大いにやりたい」とのべました。

 総選挙などでの選挙協力についても問われ、志位氏は「選挙協力、政権協力というのは、憲法を変えるか変えないか、基本の大きなところで違うんですから、これを棚上げしてやったら有権者を裏切ることになる。ただ、消費税ストップの共同はする。そのためにも消費税増税絶対反対でがんばっている共産党が伸びないと、そういうふうにはいきませんから」とのべました。

日本共産党の党名

資本主義を乗り越える未来社会の展望刻む

 志位委員長は、日本共産党の党名に込められた意味や将来の社会体制など、党の理念問題についても発言しました。

 志位氏は「党名を変えないのか」との問いに、「それでは質問しますが、今の資本主義の制度が人類にとって永久に続く制度だと思いますか」と語りかけました。資本主義のもとで失業や貧富の格差がなくならない問題、先進国と途上国との経済格差が開く「南北問題」、飢餓や環境問題などを指摘。「人類はこれを乗り越えた新しい社会にすすむ展望があります。それは旧ソ連のような抑圧型の社会ではありません」とのべました。

 そのうえで志位氏は、「私たちはすぐに社会主義をめざすわけではありません。今は資本主義の枠内で、アメリカいいなり、あるいは大企業中心(の政治)をただして、国民中心の日本をつくろうとしています」とのべました。

 志位氏は、日本共産党の党名との関係で「資本主義を乗り越える未来社会の展望を党名に刻んでいます。その点ではロマンチックな名前なんだと理解してください」と発言しました。

 志位氏は、アメリカの有力誌『タイム』(六月二十二日号)が“共産主義は日本において活力があり健在だ”と報じていることを紹介。「これはやはり、戦前の反戦・平和の歴史や戦後の自主独立の歴史をもっているからだ」とのべ、「日本共産党の名前に誇りをもってやっていきたい」と語りました。

 将来の社会体制との関連で志位氏は、「世界をみますと、中国、ベトナム、キューバといった国々は、経済・社会の発展段階は違うけれども、社会主義への道を真剣に探求している途上にあると考えています」と指摘。一方、北朝鮮についての質問にたいしては、「私たちは、北朝鮮については、社会主義をめざす国とは考えていません」とのべました。

 また、番組ではコメンテーターが、「志位さんにぜひ一度聞いてみたかった」とのべ、「大企業優遇はとんでもないという主張は、当然、国民が納得する部分がある」としながら、法人税を引き上げると大企業が海外に出ていくのでは、と質問しました。

 志位氏は、「法人税を考える場合、法人の税負担と社会保険料負担と両方でよく見る必要がある」とのべ、日本の場合は社会保険料負担が低く、GDP(国内総生産)に占める税と社会保険料負担の割合では、イタリア、フランスの六―七割で非常に低いと指摘。「ですから、世間並みに上げるのは当然の要求だと思います」と答えました。