2007年8月20日付「しんぶん赤旗」に掲載

吉川さんで福祉・平和の県政を

埼玉知事選 志位委員長の訴え


 日本共産党の志位和夫委員長は十九日、埼玉県知事選での吉川春子候補の応援のため、同県に駆けつけ、大宮駅前で訴えました。

 志位氏は冒頭、選挙戦は、現知事と吉川候補の事実上の一騎打ちとなっているとして、対決構図の特徴をのべました。

参院議員24年豊かな実績

 まず、民主党衆院議員から知事になった上田清司現知事について、冷酷な福祉切り捨てでも、改憲を公言することでも、歴史をゆがめる教科書の押し付けでも、「自民党以上に自民党的な知事だ」と厳しく指摘。この候補者を、自民、公明両党が「支持」し、民主党が「友情支援」していることを紹介しながら、「参院選では、『攻撃』し合っていた両者が、直後の知事選では事実上の相乗りをする。推している政党の頭数は多くても県民に説明する道理も大義もありません」と批判しました。

 つぎに、日本共産党の参院議員を二十四年間務めた吉川候補について、「女性、子ども、人権、平和の戦闘的で情熱的な守り手」と紹介した志位氏は、吉川氏がとりわけ「従軍慰安婦」問題での論戦と研究で、高い評価と信頼を受けていることを指摘。三月には安倍晋三首相に、はじめて国会の場で「おわび」をいわせ、国際的なニュースになったことを紹介し、「多数の県民の声を代弁し、世界の道理に立った大きな仕事をしてきた吉川さんを知事に押し上げよう」と訴えると大きな拍手がわき起こりました。

 その上で志位氏は、県民の「三つの願い」を吉川さんに託してほしいと力を込めました。

医師不足解消公約実現へ

 第一は、暮らしの安心と福祉の願いです。

 現知事は「埼玉を日本一にする」といっていますが、志位氏は、「医師・看護師数は日本一少ない」と指摘。十万人あたりの医師数は、全国平均では二百一人ですが、埼玉では百二十九人にすぎません。

 志位氏は、そのしわよせが小児科と産科に集中し、とりわけ、小児救急医療体制が穴だらけになっていることを生々しく告発。「現知事は、(医師数)最下位でも心を痛めず、改善する意思もない」と批判したうえで、公約の第一に医師・看護師不足解消策を掲げている吉川候補を知事にすることは、「県民の命、子どもの命を守るうえで、待ったなしです」と訴えました。

 また志位氏は、現知事が二〇〇五年二月に策定した「埼玉県行財政プログラム」にそった「改革」で、かつての革新県政時代の制度を根こそぎ破壊してきたことを批判。「とくに冷酷さがきわだつのが重度心身障害者手当の削減だ」とのべ、現知事が所得制限を導入し、二万人を制度から締め出したことを告発しました。

 その上で志位氏が、吉川候補の勝利で「県政に福祉の心を取り戻そう」と訴えると大きな拍手が起きました。

大型開発事業きっぱり中止

 第二は、税金の無駄遣いをなくせの願いです。

 現知事は、「行革」といって削るべきでないお金を削り、削るべき無駄遣いは温存・拡大してきました。

 現知事は「日本一少ない職員数」を「行革」の成果として誇っています。しかし、「その中身は何か」と問いかけた志位氏は、現知事が保健所を七つも減らし、七十二人の職員を削減したことなどを指摘。「福祉を支えているのはマンパワー。それを削って何が『日本一』か。知事失格です」と批判しました。

 また志位氏は、現知事が四年前の選挙で「大型開発の見直し」を公約にしながら、この四年間で中止・縮小した大型開発事業は一つもないと指摘。過大な水需要予測をもとに建設する八ツ場(やんば)ダム(事業費、四千六百億円)について、「需要は水増し。事業費は水ぶくれだ」と批判し、「吉川知事できっぱり中止を」と訴えました。

「靖国」派知事ただす吉川さん

 第三は、平和の願いです。

 志位氏は、東京新聞が十六日、両候補が終戦記念日に行った訴えを対比した記事を掲載したことを指摘。現知事が、「従軍慰安婦」について「日本軍が強制したという証拠はなく従軍ではない」などと訴え、改憲を公言しているのに対し、吉川候補が「憲法を守り、暮らしに生かしていく」と決意を訴えたことを報じていることを紹介し、「どちらを選ぶのか。こたえははっきりしています」と強調しました。

 現知事は侵略戦争を美化する「靖国」派です。この間、「新しい歴史教科書をつくる会」の前副会長を教育委員に選任し、「つくる会」の教科書の押し付けをはかりました。しかし、すべての地区で採択されず、採用した学校は一校もありませんでした。

 「埼玉県民の良識に敬意を表したい」と力を込めた志位氏は、「『靖国』派は、世界でも大破たんしています。埼玉でも県民から見放されつつあります」と強調。「歴史をゆがめる『靖国』派をただすために一貫して力をつくしてきた吉川さんに代わってもらおう」と力を込めました。

 最後に志位氏は、「参院選で示された民意を生かす道はどこにあるか」と問いかけました。自公政権が歴史的大敗をした根本の原因は、(1)弱肉強食の「構造改革」で貧困と格差を拡大したこと、(2)「戦後レジーム(体制)からの脱却」などといって戦争美化と改憲を押し付けたことにあり、これに国民がノーの審判をつきつけたとのべ、「上田知事がやっていることは、きびしい審判を受けた安倍内閣がやってきた政治とうり二つです」と強調。「参院選で示された民意を生かす道は、上田県政の根本的転換を訴える吉川候補への一票にこそあります」と訴えました。

 志位氏が、「三つの願いは埼玉県民多数の願い。吉川さんを知事に押し上げよう」と訴えると、大きな拍手がわき起こりました。