2007年9月3日(月)「しんぶん赤旗」

NHK「日曜討論」

志位委員長の発言(大要)


 日本共産党の志位和夫委員長は、二日のNHK「日曜討論」でインタビューにこたえました。聞き手はNHKの影山日出夫解説委員。


内閣改造

貧困・格差、改憲押しつけノーの民意に真っ向から挑戦

 影山 内閣改造ですが、参院選挙で敗北した教訓なり、民意をくみ取ったような布陣になっていますか。

 志位 私は、一言でいって、参院選挙で下された厳しい民意に真っ向から挑戦するといいますか、踏みにじるものになっていると思います。

 「政治とカネ」の問題で、あれだけ厳しい批判があったのに、直後にああいう農水相の問題がおこる。それに対し、まともな対処がとられていません。

 政治の中身という点では、参院選挙で下された民意は、「政治とカネ」の問題にとどまらず、一つは、貧困と格差を拡大し、国民に負担増ばかりを押し付ける「構造改革」路線、これへの“ノー”ですね。それから、「戦後レジーム(体制)からの脱却」、これを旗印にして憲法を変えようと、この路線を押しつけてくる、これへの“ノー”。この“二つのノー”が下された。

 しかし、改造後の内閣の基本方針に、消費税増税が、また出てくる。さらに首相自身が三年後の国会で、改憲の発議をする方針にかわりがないのだと(発言した)。つまり、いちばん“ノー”といわれたところで、間違った路線にしがみついているという点では本当に反省がない。

 ですから、私たちは、この内閣にたいし、増税、改憲、そして「政治とカネ」の問題について、大いに攻めていきたい、ただしていきたいと思います。

農水相疑惑

長年に及ぶ不正疑惑 辞任・罷免に値する

 影山 「政治とカネ」の問題ですが、遠藤農水相は罷免に値するとお考えですか。

 志位 当然、辞任、罷免に値すると思います。何しろ、不正に税金をだまし取っていたという問題で、その(置賜農業共済組合の)組合長はやめながら、農水相はやめないという議論は通用するものではありません。

 「しんぶん赤旗」が独自に取材してみましたら、(同組合)関係者の証言によりますと、少なくとも十四年前から、こういう事態が二〇〇〇年度まで続いていたといいます。一九九九年だけの問題ではない。しかも、これは担当者だけでなくて、上の指示でやられていたということですから、(農水相が)知らぬ存ぜぬということは通用しませんね。

 それから、会計検査院が指摘したのは三年前ですから。三年間、この問題を放置していた責任も重いですから、これは辞任、罷免に値しますし、これができないのなら当然、問責(決議案)ということも考えなければならないと思います。

貧困拡大

消費税増税狙う 負担増路線に反省なし

 影山 格差の問題ですが、安倍首相は、改造後の記者会見で、改革に伴う痛みを和らげる、そのことに力を尽くしていきたいといっているんですが、政策転換に期待できないですか。

 志位 言葉のうえではあるんですが、その中身がないですね。

 実際に「成長戦略」ということでこの間やってきたことは、庶民に対しては住民税の大増税がありました。それに加えてさきほどいった、消費税の増税の問題も、この秋、具体化するのはなかなか難しい面もあるのだろうけれども、しかし、二〇〇九年度をめざして具体化するんだということが、財務相からも、官房長官からも出てくる。こういう事態がおこっています。ですから、そういう負担増路線で貧困と格差を拡大するという筋はかわっていないですね。

国会対応

一致点での共闘とともに自民政治の“三つの異常”をただす論議を進める

 影山 参院選挙で与野党逆転が実現しましたが、野党の中では民主党の一人勝ちです。そういう中で、だからといって共産党が国会の中で独自路線を強めていくと、野党の足並みが乱れて、過半数とった意味合いが薄れてしまう。そのへん難しいところもあると思いますが、どう対応していきますか。

 志位 私たちは一致点で野党の共闘をやることは、大いにすすめていきたいと思います。たとえば、テロ特措法の延長に反対すると。これは、当然のことです。私たちは、一貫してああいう戦争ではテロはなくならないといってきましたけれども、今のアフガンの実態で、タリバンの復活をみても、あるいはアルカイダが世界中六十カ国に拡散したといわれている問題を見ても明瞭(めいりょう)ですから、これは、きっぱりやめると。こういう諸問題で力を合わせることは当然やっていきたい。

 ただ、同時に、私たちは今度の国会でも、そして次の国政選挙をめざしても、重視したいと思っているのは、自公政治にかわる新しい政治の中身が何なのか、ということについて、大いに共産党の主張を国民と語り合っていきたいと思っているんですよ。

 たとえば、過去の侵略戦争に無反省という問題があります。「従軍慰安婦」の問題が世界中で大問題になっています。こういう問題がある。

 それから、あまりにもアメリカいいなりという問題があります。その立場から、憲法をかえる、あるいは米軍基地の強化をおこなう―こういう問題があります。

 そして財界の利益第一で、国民のくらしそっちのけという問題がある。財界は空前のもうけですけれども、そのもうけが国民にいかないという問題があります。

 こういう大きなところで、国の政治を変えていく。私たちは、「三つの異常」を変えようといっているのですが、歴史問題の異常、アメリカいいなりの異常、財界いいなりの異常―これをただす日本の改革をやろうじゃないかという大きな論戦を今度の国会ではやろうと思っています。

テロ根絶

“貧困をなくすために日本はもっと協力を”

 影山 与党側は、テロ特措法を廃止して自衛隊の活動をやめてしまうと国際的に孤立するといっていますが、そこはどうお考えですか。

 志位 アフガンに派兵しているのは、米英軍、あるいはNATO軍、(その他)若干ですよね。圧倒的な国はそんなやり方をしていないわけです。

 そして、テロをなくすのに、何がいちばん効果的かというと、私もパキスタンにいって話し合ってきましたが、関係諸国、周辺諸国のいちばんの声は、“貧困をなくすために、日本はもっと協力してほしい”と。これが真っ先にでてきます。テロがあれだけはびこっていくいちばんの土壌にあるのは、貧困ですね。あるいは教育がやれていない。こういう面で日本がしっかり責任をはたすべきだと思います。

 影山 民生支援が中心だと。

 志位 そこが当然(やるべきこと)です。

 影山 ありがとうございました。