2007年11月3日(土)「しんぶん赤旗」

北朝鮮への制裁措置延長にたいする日本共産党の立場

幹部会委員長 志位 和夫


 日本共産党の志位和夫委員長が二日、国会内でおこなった記者会見で明らかにした「北朝鮮への制裁措置延長にたいする日本共産党の立場」は次の通りです。

 一、本日、衆議院の国土交通委員会および経済産業委員会、衆院本会議で、わが党は、北朝鮮に対する入港禁止措置と輸入禁止措置という二つの日本独自の制裁措置を延長するという閣議決定の承認について、反対するとの態度表明をおこなった。この対応および北朝鮮問題についてのわが党の基本姿勢についてのべておきたい。

 一、わが党は、これらの日本独自の制裁措置に対して、昨年十月にこれが実施されたさいにも、今年四月にこれが延長されたさいにも、賛成してきた。それは昨年十月におこなわれた北朝鮮による核実験という新たな重大な事態にさいし、北朝鮮を対話の道に復帰させ、核兵器問題の外交的解決をはかるための手段として、日本独自の制裁措置をとる合理的な理由があるという立場からのものだった。

 しかし、その後、北朝鮮の核問題をめぐる情勢には、大きな前向きの進展がおこった。この間、北朝鮮は、今年二月の六カ国協議で合意された「初期段階の措置」を実施し、十月の六カ国協議では、年末までに核施設の無能力化と核計画の完全申告を柱とする「次の段階の措置」を行うことに合意している。このように核兵器問題をめぐって新しい情勢が生まれているもとでは、日本独自の制裁措置を継続する合理的な理由はなくなっている。わが党の今回の態度表明は、こうした情勢の進展を考慮したものである。

 一、私は、十月四日の衆院本会議における代表質問において、十月の六カ国協議の合意を、朝鮮半島非核化への重要な一歩として歓迎し、「日本政府が、この枠組みのなかで協力を強め、核兵器のない朝鮮半島を実現するために先頭にたつことは、北東アジアの平和と安定にとっても、日本の平和と安全にとっても急務となっています」と強調するとともに、「この点で、北朝鮮の核問題は、日本にとって一番切実な問題の一つなのに、これまで日本政府が核問題では熱意がないと世界の少なくない国からみられてきたのは残念なことです。私は、現実にそういう弱点が存在するならば、大胆にたださなければならないと考えます」と指摘した。

 昨年十月にとられた日本独自の二つの制裁措置は、北朝鮮による核実験を契機としてとられた対応措置である。核兵器問題の情勢が前向きに進展したにもかかわらず、これらの制裁措置を継続することは、日本政府が核問題の解決で、積極的な役割を果たすうえでの障害になりかねないということを、率直に指摘しなければならない。

 一、拉致問題と核問題の関係では、私は、代表質問のなかで、「日朝平壌宣言の精神にたって、諸問題―核問題、拉致問題、過去の清算問題などの包括的解決をはかる立場が重要であります。包括的解決をはかる過程で、ある問題の解決が先行することもありますが、一つの問題で前向きの突破がはかられれば、それは他の問題の解決の妨げになるのではなく、促進になることでしょう。すなわち、いま進行しているプロセスで核問題の道理ある解決がはかられるならば、拉致問題の早期解決の新しい条件が開かれることになるでしょう」とのべたが、この見地が大切である。

 拉致問題の早期解決のうえでも、六カ国協議の合意にそくして核問題の解決のための積極的な役割を発揮することが、日本政府に求められている。そのためにも、制裁措置にたいしては、情勢の促進にそくした対応をとることが大切であると考える。